或る「享楽的日記」伝

ごく普通の中年サラリーマンが、起業に向けた資格受験や、音楽、絵画などの趣味の日々を淡々と綴ります。

ソジュ

2015-12-18 08:55:10 | 650 酒
韓国旅行の大きな楽しみがグルメ。よく言われているのが、唐辛子の“辛さ”。かつて数十年前に出張した時、仲間と一緒に来賓食堂へ案内され、ランチコースをご馳走になったのだけど、その最初に出てきたスープが経験したことがないぐらい辛くて。それでも自分ともう1人は美味しいと完食したけど、残りの3人は一口でギブアップ。その時自分は辛さに強いと認識したっけ。

連れからは、いろんな種類を食べて楽しみたいと。正直なところ、あまり韓国料理には詳しくなかったのでネットでサーチを。予定した店と違ったのもあったけど、ほぼ当初の狙いどころを網羅。初日の昼は、明洞の地下鉄の駅に程近い「王妃家 本店」で豚カルビ定食を。その品数の多いこと。だけど料金はウォン高でもリーズナブルだと思った。周りに日本人が多かったなあ。

初日の夜は東大門でのショッピングの後だったので、タッカンマリ通りを探すことに。地下鉄の駅から歩くにつれて人通りも少なく不安になってきて。「本当にこっちにあるの?」なんて連れにダメ出しされながらグーグルマップを頼りにさらに進むと、鄙びた路地の先に店の集落らしい明りが見えてきて。その中で唯一行列ができていたのが「陳玉華ハルメ」。

ここがタッカンマリの有名店。店内は満席で待つこと約20分。席に案内されると注文もしていないのに鶏が1匹まるごと入った鍋が眼の前に置かれて。後は店員が肉のとりわけ等の全ての作業をやってくれて。まさに繁盛店の雰囲気。酢、醤油、唐辛子を好みに応じて混ぜてつけダレを作り、いざ食べてみると、これが美味しかった。今回の旅行でベストだったかも。

2日目の昼は「サンボンファログイ 押鴎亭店」で定番の牛三枚肉のサムギョプサルとカルビを。評判程は美味しいと思わなかったけど。夜は明洞に戻り、「明洞餃子」へ。ここもほぼ満席で水餃子が美味しかった。最終日の昼は「明洞焼肉専門店」で焼肉コースを。リブ付肉をハサミでカットするというオーソドックスな韓国風で、これまた美味しくて。それで、全店共通で注文したのが韓国焼酎のソジュ。度数が低めで甘く飲みやすかった。グルメについては十分満喫したと思う。


東京新潟物語

2013-08-06 05:19:44 | 650 酒
新潟へ出張する際に、自分の場合は必ず上越新幹線を利用するのだけど、車内の額面広告が気に入っている。長岡市に蔵元がある日本酒の吉乃川株式会社がシリーズ化している”東京新潟物語”。その写真とコピーが何とも言えずしみじみとしていて。広告を見るたびに、学生時代に広島の実家を離れて、初めてひとり暮らしをした頃を懐かしく想い出す。

そのせいでもないのだろうけど、この蔵元の吟醸酒や純米酒を愛飲するようになってもいて。そのフルーティで華やかで、しかもすっきりと癖のない味は、あたかも上質のワインを偲ばせるような味わいで素晴らしい。たまたま広島の地元のスーパーに置いてあることに気づいてからは、賀茂鶴の”一滴入魂”と共にずっと我が家に常備するようになっている。

それで今日の話は、先週有名な”長岡の花火大会”を堪能した帰りに、”東京新潟物語”の新バージョンが掲載されているのを見つけ、そういえばいつだったか花火大会がネタになっていたことを思い出して。ネットで調べると、ありました。2012年の夏バージョンで、コピーは「子供の頃から見ていた 長岡の花火を 見に行かなかった はじめての夏。」

なんかねえ、甘酸っぱいものが脳裏をかすめて。毎年当たり前だったことが、ある時途切れてしまう。それは意図的な場合もあれば、そうでない場合もある。さりげないことなのだけど、後になって自分の生活や気持ちが変化していたことに気づく、なんて感じ。自分で言えば、小学校の頃に、夏休みになると毎年田舎の親戚の家へ遊びに行って川魚を釣っていたことかな。

周囲の様子は随分変わったものの、その小川は今でも残っていて、毎年祖父母の墓参りに行く時は必ず行くし、見る度に昔のことを思い出す。いつ頃から釣りをしなくなったのか憶えていなくて、高校生になったぐらいだったかもしれない。そう言えば、スーパーの店先に広島名物の盆燈篭が並び始めた。夏休みに釣りをしていたのは、この時期だったなあ。



極上吉乃川飲み比べセット 720ml×3

極上吉乃川飲み比べセット 720ml×3価格:5,250円(税込、送料込)


KILDALTON

2013-01-21 05:57:25 | 650 酒
昨日に引き続いてアードベッグ話の第2弾。少し前に記事にしたけど、新潟県長岡市にある「BAR 黒船」でマスターと話をしていた時のこと。自分がアードベッグ好きだと説明していると、「そう言えば昔のギフトがあったなあ」と棚から取り出してくれたのがミニチュアボトルのセット。酔っ払っていてよく憶えていないのだけど、その中の1本に”KILDALTON"のロゴを発見。

スコットランドのアイラ島にある地名じゃないのと嬉しくなってきて。「飲んでもいい」と聞くと、「いいよ」との返事が。それで注いでくれたテイスティンググラスにおそるおそる口をつけたまでは良かったのだけど、なんと完全にアルコールが抜けていた。「マスター、こりゃ全然だめだよ」と言うと、残念そうな顔をしていたけど。サンプルだからキャップがゆるんだのだろうな。

帰広してネットで調べると、2004年に1300本だけ瓶詰めされた24年物の限定品で、アードベッグ・コミッティ会員向けの限定告知かつ限定販売のレア物らしい。なるほどね、だから知らなかったのか。勿論もう売っていないし、当時何処かのバーが購入して置いていたとしても飲み終わってカラになっている可能性が大。となるとどうしても飲んでみたくなるのが人情というもの。まあでも、いつかどこかでひょっこり出会える可能性もない訳ではないし、その時を期待せずに楽しみとしておこう。

キルダルトンという知名に話を戻すと、ここはアイラ島の南東の外れに位置していて、ラフロイグ、ラガヴーリン、アードベッグといった蒸留所に通じる道を更に東へ進むと、民家が視界から完全に消えた頃にようやく辿り着く。そこにあるのが有名なクロスの石碑。当時の原住民であるケルト人が9世紀頃に建てたもの。とにかく周囲に何もなく薄気味悪かったのを憶えている。

ということで、なんか今年はシングルモルト熱が再燃してからというもの、アードベッグのおかげでアイラ島の思い出が蘇るのでとても楽しくって。こりゃ当分バー通いが続きそう。


UIGEADAIL

2013-01-20 12:05:17 | 650 酒
会社の若手に刺激されて、およそ15年ぶりでシングルモルトに再びハマりつつあるのだけど、この空白の期間の影響は大きく、最近リリースされたボトルをほとんど知らなくて。自分がこよなく愛するアードベッグにもいろいろと新製品があるということで、とりあえず"UIGEADAIL(ウーガダール)"と"CORRYVRECKAN(コリーヴレッカン)"の2本を手始めに購入。

それまでアードベッグで保有していたのが10年と17年のオフィシャルボトル。もっぱら10年を愛飲していて、そのパンチの効いたヨード香がたまらなくクセになっていた。だけどさすがにジジイになってきて、シェリー香とかの甘みも欲しいなあと思っていたのも確か。その意味ではウーガダールの封を開けた時には、理想のアードベッグに出会えた気がしたなあ。

コリーヴレッカンは逆に正統派アードベッグを感じさせるテイスト。だけど10年程の若い刺激ではなく、オトナのシブい刺激。これはこれでまた良しってところ。こうなると自分でもなんとなく予感するのが、アードベッグフェチ化してしまうのではと。これはマズイよね、オフィシャル以外に手を出し始めるとキリがないし、お金がべらぼうにかかり始めるから。閑話休題。

それで懐かしかったのがウーガダールという名前の由来。ボトルの箱を何気なく眺めていると説明がされていた。アードベッグ蒸留所から北へ山を登っていった所にある湖の名前で、ここから仕込み水を引いているのだとか。googleマップでは見つからなかったので、アイラ島で買っておいた地図で探索するとさすがに載っていて。洒落たネーミングをしてくれるもんだ。

アイラ島を旅行したのが一昨年の4月。その時もこの地図を眺めながら、明日は何処へいこうかとあれこれ悩んだっけ。なんだかとても懐かしくて。でもそんなことを思い出させてくれたのだから感謝しなきゃね。

アードベッグ ウーガダール

アードベッグ ウーガダール
価格:6,500円(税込、送料別)


アードベッグ コリーヴレッカン

アードベッグ コリーヴレッカン
価格:6,143円(税込、送料別)


BAR 黒船

2013-01-12 09:46:57 | 650 酒
今週は出張で新潟県長岡市へ。北国という言葉がぴったりで雪がよく降る。瀬戸内海沿岸に住んでいると年に数回ぐらい雪を見てそれで終わり。たまーに積雪で道路が渋滞するなんていうこともあるけど、それも年に1度あるかないか。若かりし頃はスキーによく行っていて、雪は楽しむものというイメージができていたのだけど、北国へ来るとそれが崩れていきそう。

現地の人から話を聞くと、同じ新潟県でも新潟とか柏崎とか、沿岸部ではほとんど雪が降らないらしい。降るのは燕三条あたりから。そこから加速度的に降雪量が増え、六日市とか山間部で豪雪地帯になるのだとか。新潟市で雪がほとんど降らないというのは意外だった。だけど広島県でも県北にはスキー場もあるし、逆にそれを話すと驚かれるのと同じことか。

そんな話はさておき、同僚と二人で食事をした夜のこと。40cmぐらい根雪が残っているところに雪がしんしんと降り続いていて。まだ時間は早いしバーにでも行こうかということになったので、お目当ての店へ。それが「BAR 黒船」。実は昨年会社の若手とバーへ行った時、長岡に出張した時には是非立ち寄ってみてくださいとリコメンドされていた。

場所は歓楽街である殿町のど真ん中。寂れて奥まった小路のビルの2Fに上の写真の看板を見つけ店内へ。そこは10人も入れば満席になるぐらいの狭さ。正面に酒のボトルがぎっしりと並んでいて、マスターが中央に立っていた。確か吉田拓郎の歌だったと思うけど、懐かしのポップスが流れていて。後で聞くと創業40年以上ということで、さすがの歴史を感じたなあ。

それからしばしマスターと話をしたのだけど、カクテルコンテストの審査員を務めていたぐらい超有名なバーテンダーの割には、きわめて気さくに応対してくれた。例えば女性客から「私に似合うカクテルを作ってくれる」なんて言われても、「そんなの分かる訳がなくて、服の色に合わせるぐらいだね」なんて感じで。とてもほんのりした良い気分で店を後にしたかな。


bar&cafe 志

2012-12-04 05:08:24 | 650 酒
少し前の話だけど、会社の若手を誘って2人で食事と飲みへ。サラリーマンとしては失格なのだろうけど、会社の仲間と食事したり飲みに行ったりするのはあまり得意じゃなくて。その意味ではジジイには珍しく、オンとオフを明確に区別するタイプ。特に最近では、どうせ飲むなら家でという感じで、もっぱら自宅に好みの酒を揃える傾向にある。これはまさにジジイ。

先日ヤフーの記事でみたけど、アンケートで会社の上司と飲みに行きたくない若者が70%以上もいることを知って、なんかホッとしたというか、誘わなくてもいいのかと嬉しかったっけ。それでその若手の話だけど、かなりのシングルモルト好きらしく、「一緒に飲みに行きましょうよ」と以前から誘われていた。それから約半年。いつかはと気にはしていたけど、ようやくその機会が。

きっかけは、「広島駅の近くにシングルモルトが置いているバーを知ってる?」と自分が彼にした質問。「ええ、1軒ですけど」と返事が返ってきて。それじゃそこに行ってみようということに。とりあえず会社の近くの安い居酒屋でおでんやラーメンを食べた後で、いざバーへ。連れて行かれたのが、南口から程近いガード下。この辺りは寂れていて足を踏み入れたことがなかった。

暗い入口のドアを開けると、店の中もやけに暗い。そこが"bar&cafe 志(こころ)"。カウンターの奥に若いマスターが座っていて。それからマスターのオススメのモルトを楽しみながら、しばし自分にとっては久しぶりのモルト談義に花が咲いた。しかしマスターがやけにモルトに詳しいし置いてあるボトルもレア物揃いだし。逆につまみは、おそらくナッツとかの乾き物だけ。

店を出る時に、ライティングされていない看板を発見。あえて照らさないようにしているのだとか。これは相当コアな店だなと。東京とか都会ならまだしも、広島にこんな店があろうとは。これがきっかけで購入したのが自分にとっては初めてのモルト2種類。”グレンドロナック(Glendronach)15年(rivival)”と”ベンリアック(Benriach)12年(sherry wood)”。シェリー香を楽しむ入門酒としては絶好だったかな。


ベンリアック 12年 シェリーウッド 700ml

ベンリアック 12年 シェリーウッド 700ml価格:3,864円(税込、送料別)



テキーラ

2012-10-23 05:50:47 | 650 酒
米国のミシガン州、オハイオ州、そしてメキシコのモンテレイと10日間に渡った出張がようやく終わり、20時間以上の長旅の末金曜日の深夜に広島へ到着。お陰で土日は時差ボケで朦朧としていたかな。しかしアトランタから成田までのフライトはきつかった。B席という3列シートの真ん中。両サイドに客がいるものだから身動きがとれない。満席だったから仕方ないけど。

ようやくゆっくりできた土曜日の夜に飲んだのが自宅用のお土産として現地のスーパーで買ってきたテキーラ。銘柄は”el Jimadol"と”Real Hacienda"。渡航前にネットでサーチしておいた。どちらも”レポサド(reposdo)”と呼ばれ、60日以上樽で熟成したもの。樽詰しない”ブランコ(Blanco)"や1年以上樽で熟成した”アネホ(Anejo)"と種類が分かれている。

自分がホテルで飲んでいたのは上の写真のホテルの隣のコンビニでとりあえず購入したブランコ。クセがなく美味しかった。情けない話だけど、テキーラを飲んだのはこれが生まれて初めて。現地の仲間が、「テキーラはサボテンからできているんだよ」と言ったので鵜呑みにしていたけど、帰国して調べるとアガベと呼ばれる植物の根茎が原料で、サボテンとは無関係。ハメられたかな。日本では観葉植物として利用されているらしい。

それでお土産としてテキーラを2本購入。現地で110ペソ(約700円)だったかな。”アガベ100%”で混ざり物がない割には安かった。お味だけど、”el Jimadol"が洗練されているのに対して”Real Hacienda"は素朴。自分的には”el Jimadol"がストレートで飲み易くて気に入った。

ネイティブは、ライムに塩をつけたものをアクセントとして楽しみながらテキーラを飲むらしいから、今度トライしてみよう。そうそう、アトランタで飲んだマルガリータに入っているのもテキーラだっけ、気づかなかったけど。テキーラというのはどうも英国のシングルモルトウィスキーと似ていて、皆が普段飲んでいる訳ではなくて、あくまで酒好きのファンが楽しむものらしい。

エルジマドール レポサド

エルジマドール レポサド価格:2,877円(税込、送料別)


CAVICCHIOLI

2012-09-26 05:35:14 | 650 酒
なんかあっと言う間に秋めいてきたって感じの今日この頃。2週間前ぐらいまでは朝夕もまだまだ暑かった。それが台風が去った途端に涼しくなり始めて。たまたまこの土日に予定がなかったので、これは独りでチヌ釣りへでも行こうかと渡船の船長へ電話してみると、既に満杯で空席がなかった。今年初めてということで期待が膨らんだだけに、悔しかったけど後の祭り。

久しぶりに自宅でまったりしていると、カミさんから「今日はお彼岸だから墓参りをしなきゃ」と切り出されて。自分としては、墓を建ててからほぼ毎週のように行っているので、いまさらかよと思ったけど、父達はお盆以来だったので仕方ないなと。近所のスーパーへ行くと入り口にタイミング良く切花のコーナーが設けられていて。菊を2束買ってお墓にお供えしてきたけど。

帰宅すると娘が居間にいて、「今日はお母さんの誕生日だけど、一緒に食事にでも行く?」との誘いが。いやあ、すっかり忘れていた。この時ばかりは釣りへ行かなくて良かったなと。というのも、もし行っていたら釣果の料理で外食どころじゃなくなっていたから。とりあえずよく利用している鉄板焼屋を予約。夜7時前になって家族3人でようやく重い腰を上げて夕食へ。

店で席に着くと、コース料理を注文した後でいつものようにワイン選び。最近はスパークリングを選ぶことが多いのだけど、この店の白が辛口で、かつて女性陣に評判が良くなかったことを思い出し、イタリア産の赤を注文。白とロゼはよく飲むのだけど赤は初めて。注いでもらってテイスティングしたけど、甘口なのに後にタンニンがしっかり残ってけっこう美味だった。

ラベルをチェックすると、「CAVICCHIOLI(カビッキオーリ)」と書かれていて。女性陣にも好評だったので、家に帰って楽天でチェック。種類は”Lambrusco Rosso Dolce”で、イタリアで結構売れているのだとか。なんと最安価格が1本661円。「おいおい、店だと3千円以上したよな」とニガ笑い。「商売がうまいなあ」と感心しながらこのブランドのものを4~5本注文しておいたけど。

[CAVICCHIOLI] LAMBRUSCO ROSSO DOLCE

[CAVICCHIOLI] LAMBRUSCO ROSSO DOLCE価格:661円(税込、送料別)

     

カビッキオーリ4本セット

カビッキオーリ4本セット価格:4,189円(税込、送料込)


BAR 25ans

2012-02-20 06:00:39 | 650 酒
先日は会社のつき合いで広島市街へ。会員制という、いかにも隠れ家的な日本料理屋で旬の食材を楽しんだ後、2次会のカラオケのお誘いを丁重にお断りして別行動を。カラオケはとんとご無沙汰。完全にジジイ化してきたなと。だけどカラオケに行った面子が皆自分より年上なので、ジジイ化でもないような気もするけど。それでまだ時間が早かったのでどうしようかと。

こんな状況ですぐに思い浮かぶ店がないのが情けない。それに拍車をかけているのが最近のオーディオ熱。お気に入りのスピーカーJBL4429を購入してからというもの、これを聴くのが一番の楽しみ。酒についても、シングルモルトの品揃えがヘタな店より格段に充実しているから始末が悪い。つまり自宅が音楽と酒を堪能できる最高の場所になってしまっている。

なんて言い訳は置いといて、その夜に向かったのがBAR「25ans」。フランス語でヴァンサンカンと読むというのを知ったのはつい最近。どういうきっかけだったかは憶えていないのだけど、このところ自分が利用している数少ない店のひとつ。入り組んだ雑居ビルの2Fにあるので、看板を見逃すと迷ってしまう。メインはカウンターで、後はテーブルが数席のこじんまりした店。

この店をひいきにしている最大の理由は、バーテンダーの女性がシングルモルトに詳しいこと。一昨年にアイラ島へ蒸留所巡りに行って帰った後に現地の話題で盛り上がって。しかし実際に訪問した自分以上に蒸留所に詳しいのには驚いた。それからは、訪れる度に彼女のオススメの品を注文することが増えているかな。言わばシングルモルトの師匠的な存在。

だけどそんな店なのに前回がいつだったか思い出せない。半年前ぐらい前かな。つき合い以外で市街に出ること自体がなくなりつつあるし。どうも自分の中でBARという文化が過去のものになっているなと。思えば煙草の匂いが嫌になり始めた頃からかもしれない。最近では禁煙の居酒屋が流行っているぐらいだから、禁煙のBARでもあれば嬉しいのだけど。

黒楽

2011-12-07 05:50:20 | 650 酒
京都の大原の話の続きだけど、寂光院の紅葉を堪能した後にのんびり山道を下っていると、焼物屋がぽつぽつと軒をつらねていて。その中に小奇麗な店があったので、冷やかし半分で入ってみると、店の奥でカップルが足湯を楽しんでいた。食べものも出していて、なんだか何屋なのか志向がよく分からない店だなあと思ったけど。それから焼物が並べられた棚を眺めて。

こういう店での自分の狙いは決まってぐい呑み。知らない間にけっこうな数が揃ってきていて、季節やその日の気分によってどれを使うか選ぶのもまたおつなもの。その店には10種類ぐらい置いてあったかな。眼に止まったのが写真の黒楽。すぐに買物モードに入ったかな。値札をみると2千円もしなかったので即決。コートのポケットに無理矢理突っ込んで帰ったけど。

あれから1週間。自宅に戻ってしげしげと眺めているのだけど、実に自分好み。手とヘラだけによる「手捏ね(てづくね)」の雰囲気がとても良い。温もりと黒色が見事に調和している。その適度ないびつさがまた渋くて。江戸時代に瓦職人だった長次郎が、千利休の指導により聚楽第を建造する際に使用された土を使って焼いたのが楽焼の始まりとか。

しかし、つくづく黒好きだなあと。色による性格診断というのがあって、抜粋すると”黒が好きな人は、色彩や音、言葉に対する感覚が鋭いアーティストタイプな人が多い”、”黒が好きな人は一人で、好きなことをするのがいちばん向いている”、”みな同じように「右」といわれても右を向くことは本意ではないということが多い”、なんて感じ。けっこう当たっている気がする。

そういえば最近アップルの創始者であるスティーブ・ジョブズが話題になっているけど、彼がメディアに登場する時に必ず着ていたのが黒いタートルネックのセーター。それには気づいていたのだけど、三宅一生に特注して作らせたもので、しかもその数がなんと500着というのは最近知った。なるほどね、こだわる人はこだわるんだ。しかし上には上がいると思ったっけ。