はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

「ボクがもらった幸せ」読了

2007-07-16 23:43:30 | マンガ・アニメ
 おけやあきら著「ボクがもらった幸せ」(牧歌舎)を、昨日ようやく通して読んだ。
 桶谷氏の訃報を知ってからAmazonに注文して、7月4日には届いていたのだが、一気に読みたいと思いつつなかなかまとまった時間がとれず、10日以上も置いてしまった。


 全体の感想を述べると、本書は「優しさと苦しさが一緒に伝わってくる本」だと感じた。
 詩集の形を取ってはいるが、実質的に桶谷氏の自叙伝と言える内容で、誕生から少年~学生時代、脚本家としての仕事、そして末期ガンの宣告を受けての闘病生活までが、桶谷氏の心情と共に描かれている。
 特に、『宣告』以降の闘病生活を描いた部分は、桶谷氏が既に亡くなられているだけに、読んでいてつらかった。中でも『データサルベージ』や『旅立ちの準備』からは、桶谷氏自身が残された時間が少ない事を十分すぎるほど自覚している事が伝わってきて、さらに実際の残りページ数も一緒に少なくなっていくのだから、非常に胸に迫るものがあった。

 本書では、脚本家としての思い出も書かれているが、関わった作品について具体的に触れた部分は多くない。『F先生の空き地』で「エスパー魔美」、『ひとつの奇跡』で「ぶぶチャチャ」、『星力』で「Cosmic Baton Girl コメットさん☆」について書かれている程度だ。
 中でも、藤子ファンとしては『F先生の空き地』を一番興味深く読んだ。藤本先生の言葉が桶谷氏によって語られる事で、より優しく伝わってくるように感じられた。

 また、出身地の鎌倉について書かれた詩もいくつかある。
 鎌倉と言えば、「Cosmic Baton Girl コメットさん☆」の舞台にもなっている土地だ。「コメットさん☆ スター・ダイアリー」での神戸守監督との対談では、桶谷氏は「知りすぎている場所というのも逆によくないかな」と、鎌倉を舞台とするのに抵抗があった事を語っているが、やはり鎌倉で育った桶谷氏が参加していたからこそ「コメットさん☆」が魅力的な作品になったのだと、本書を読んで、あらためて思った。


 正直言って、今はあまり冷静に読む事が出来ないが、桶谷氏の手がけたアニメと同様の「優しさ」が伝わってくる本だと思う。いずれ、落ち着いてからじっくりと読み返してみたい。


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