はなバルーンblog

藤子不二雄や、好きな漫画・アニメの話がメイン(ネタバレもあるので要注意)

今年もひどかった「新魔界」TV放送

2008-03-23 18:18:44 | 藤子不二雄
 21日に、昨年公開の映画「ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」がテレビで初めて放送された。


 昨年の「ドラえもん のび太の恐竜2006」テレビ放映は、OP・ED及び本編一部カットで2時間枠に無理矢理押し込んだひどい物だった。今回は18時~20時48分の3時間枠(正確には2時間48分)なのでノーカット放映を期待できるかと思っていたのだが、結局今年もEDはカットされた。
 「のび太の新魔界大冒険」では、EDは本編ラストにかぶる形で歌が流れて、そのままエピローグへと続くのだが、それを機械的にスタッフロールが流れる部分をばっさりカットしており、歌の途中でいきなりエピローグへ場面が飛んでいる。
 本作のEDは、スタッフロールが流れるタイトルバックの部分も本編の続きとして話が描かれているので、作品冒頭で描かれた現実世界の危機など、今回のテレビ放送だけでは意味不明の場面がいくつか生まれてしまった。その点で、昨年以上にひどいカットの仕方だと思う。

 今回、3時間枠をとったにもかかわらずEDが流れなかった原因の一つには、番組最初の30分で「ドラえもん」テレビシリーズの中編「特撮ウラドラマン」を流した事が挙げられる。「ウラドラマン」は2パート構成で、尺は全体で21分30秒。レギュラー枠の本編が22分なので少し短めではあるが、ほぼレギュラー枠用作品の転用とみていいだろう。
 特番にテレビシリーズの新作を加えるのなら、初めから尺を考えて作るべきだと言いたいところだが、もし尺を調節していたら、おそらく「宇宙大魔王」上映会の自主製作映画本編部分がカットされただろう。この部分はアニメならではのアレンジで面白いと思ったので、個人的にはここを切れとは言いにくい。

 それで、今回の特番をDVD-RAMにコピーして、チャプターを分割して各パートの時間を調べてみたのだが、別に「ウラドラマン」をいじらなくてもEDを流せた事が判明した。
 CM明けに流れた歴代の映画紹介(各10秒)と、プレゼント告知の「ドラえもんニュース」を合わせると約3分40秒。それに対して、カットされたEDの尺が約3分10秒。つまり、映画紹介を付けず、プレゼント告知を30秒にまとめれば、EDは流す事が出来たはずだ。なお、ここで尺をカウントした「ドラえもんニュース」はOP前に流れた1分間を含んでいないし、更に言えば番組冒頭の1分20秒にわたる番組紹介部分も。もっと短くする事は可能だったろう。
 結局、番組を構成したスタッフがEDを作品に不可欠な要素と考えていないからこんな事になったのだろう。本来EDで流れるスタッフロールはOPで表示したから、EDは切ってしまおうと言う程度にしか考えていなかったのではないか。「完全版はDVDで」商法だと言う可能性もあるが、それにしては歌の途中でブッツリ切れる編集は杜撰すぎる。そんなに深く考えずにカットしてしまった結果のように思えてならない。

 3時間枠を用意してもこんな有り様では、今後「ドラえもん」のみならず、「クレヨンしんちゃん」なども含めてテレビ朝日でのアニメ映画の放送には一切期待しない方がよさそうだ。最初から、完全な放送はないと思っていた方が、精神衛生上いいだろう。


 ところで、映画と言えば今年公開の「ドラえもん のび太と緑の巨人伝」公式ファンブックが発売されたので、映画本編の疑問点が監督インタビューで少しでも解消される事を期待して、買ってきた。
 しかし、渡辺監督の場面場面での「見せ方」の意図はある程度語られていたものの、「なぜその場面であのような描写をしたか」という根本的な部分はよくわからないままだった。インタビュアーも映画がよく理解できない状態でインタビューを行ったために、疑問点をズバリ付いた質問が出来なかったのではないかと勘ぐりたくなってしまった。

 とりあえず、この本で一番よかったのは、原作短編「さらばキー坊」の初出版扉絵がカラーで掲載されていた点だ。「ぼくたち地球人」キャンペーンについて触れられていたのも、懐かしくて嬉しかった。両方とも、今回の映画には直接は関係の無い部分だが。
 しかし、1,200円と言う値段を考えると、映画自体に興味のない人には勧めにくい本だ。昨年の「新魔界」ファンブックに比べると、原作関連の記事は少なくなっている。買い逃してあとから後悔したくない人は、一応押さえておいた方がいいですよとだけ言っておこう。


 それにしても、今月は年に一度の「ドラえもん映画公開月間」なのに、映画に対してあまりいい印象が無く、ここ数年で一番楽しくない3月だった。来年こそは、映画を楽しく観ていい気持ちになりたいものだ。