「ドラえもん」の主題歌について(3)

 思いがけず続いてしまったこの話題も、今回で終わり。

 と言っても、主題歌タイアップ自体に対する私の考えは、前回の終わりの方で、ほぼ書いてしまった。今回は、その補足的な内容として、ずっと気になっている点に触れておく。
 それは、映画「のび太と翼の勇者たち」以降ずっと続いている、歌手の声優ゲスト出演の事だ。一体、どんな効果を期待して行われているのか、未だにさっぱり分からない。映画を観た限りでは、演技力で起用されたとは思えないし、演技は下手でも声質がキャラクターにぴったりと言うわけでもない。適当な役に当てはめているだけだ。

 これが、「のび太とふしぎ風使い」のゆずのような単なる脇役ならば、話題づくりのお遊び企画だろうと理解できるが、「のび太と翼の勇者たち」のツバクロウ(声:知念里奈)や、「のび太のワンニャン時空伝」のチーコ(声:島谷ひとみ)のように比較的重要なキャラを演じている場合もある。これらのキャラは、セリフも多くて演技力が要求されるので、誰が声をあてるかが映画の出来に影響するはずだ。それを、声優としては素人である主題歌歌手に演じさせる意図が分からない。
 ツバクロウは、無理矢理少年っぽい声を出そうとして変な声になっており、聴くに堪えなかったし、チーコにしても、演技自体はそんなに悪くはなかったが、別に登場するシャミー(声:かないみか)が「YUME日和」を島谷ひとみの声で歌っているせいで、ややこしくなっていた。さすがに島谷ひとみにシャミー役は任せられなかったのだろうが、そこまでして歌手を出演させる必要があったのだろうか。

 今年、メインスタッフが入れ替わってアニメ「ドラえもん」がリニューアルされたが、来年の「のび太の恐竜2006」でも、やはり主題歌を歌うスキマスイッチのゲスト出演を検討していると言う。結局、この方針が続いているという事は、監督などの現場スタッフではなく、もっと上の方で歌手を出演させたがっている人がいると言う事なのだろう。リニューアルでアニメドラのイメージが一新されて、映画も一年休むことで制作期間をたっぷりと取って作られているのに、このような悪習を引きずっていては、台無しだ。

 現在、「ドラえもん」という作品自体、単なる漫画・アニメの枠に留まらない巨大な作品になってしまっているが、だからこそ「ドラえもん」を引っ張っていく人たちには、目先の話題づくりにこだわらず、これからもずっと「ドラえもん」が作品として生き続けていくような方針で、盛り上げていくようにしていただきたい。タイアップなら、主題歌を流すだけで十分だろう。まあ、個人的には、しなくてすむならタイアップ自体無くてもいいと思っているのだが。


 以上、3回に渡って書き続けたが、どうもまとまりの無い文章になってしまった。1回目を書いた時に、全体の流れはほぼ出来ていたのだが、2・3回目でかなり内容が変わってしまった。
 ところで、そもそもこの文章を書くきっかけは「ハグしちゃお」「ドラえもん☆ミニアルバム」の購入だったのだが、考えてみるとこのCDの感想を書いていなかった。

 「ハグしちゃお」は、フルサイズもテレビサイズと特に大きく印象は変わらない。やはり歌詞に「ドラえもん」とは入っていない点は残念だが、あらためてフルサイズを聴いても、軽快なテンポで、なかなかいい曲だ。
 「ドラえもん☆ミニアルバム」は、全6曲収録。どの曲も、新世代ドラの歌としてふさわしい曲だと思う。特に「のび太くん0点」は、のび太の情けなさが良く出ている。今回は、ドラが5曲、のび太が1曲歌っているので、しずか・ジャイアン・スネ夫の曲も入れた第2弾を出して欲しい。
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