ドラえもんプラス4巻とデンカ1巻

 発売日は過ぎてしまったが、12月1日発売の藤本作品2点について、思うところを書いておきたい。


・「ドラえもん プラス」第4巻(てんとう虫コミックス)

 収録作品を見渡すと、今回は完全な単行本初収録作品が少ない点が気になった。
 藤子不二雄ランド収録作品が9本、ぴっかぴかコミックス収録作品が4本で、残り7話のうち「ミニサンタ」「エネルギーせつやく熱気球」は「ぼく、ドラえもん」付録に再録され、「ドラえもんとドラミちゃん」もコロコロ文庫「ドラミ編」に収録済みなので、単行本初収録作品は「「チャンスカメラ」で特ダネ写真を…」「みせかけ落書きペン」「テレテレホン」「でんしょひこうき」の4本だけ。これまでは各巻に初収録が7、8本あったので、少し寂しい。
 また、あくまで個人的好みだが、この初収録4本は内容的にパッとしないものが選ばれた感じだ。その代わりに、すでにFFランドに入っていた話には、面白いものが多い。「百万ボルトひとみ」「風の子バンド」「雪男のアルバイト」「災難予報機」「動物くんれん屋」などは、特に好きな話だ。全体としては面白い話が多く入っているので、FFランド未読の人は十分に楽しめたと思う。

 今回、注目していたのは、文庫では下手くそなトレス版が収録された「ドラえもんとドラミちゃん」冒頭2ページがどうなるかと言う点だったが、オリジナル版のカラー原稿が収録されたので一安心だ。これで、わざわざ文庫版「ドラミ編」を買う必要もなくなったが、トレス版が読みたいという物好きな人は、持っていてもいいだろう。なお、「ドラえもんとドラミちゃん」は初出時は巻頭カラーで掲載されたため、当然扉絵もカラーだったが、1986年「コロコロコミック別冊」再録時に現在の形になった。初出版扉絵にはカムカムキャットとゴーゴードックは登場していない。
 カラーと言えば、「雪男のアルバイト」扉絵もFFランドではトレスで収録されたが、今回はカラー原稿が使われた。この「プラス」シリーズは、極力オリジナル原稿を尊重する方針をとっているようなので、ファンとしては頼もしい。

 今回の4巻帯にも書かれていたが、「プラス」はとりあえず5巻までの予定になっている。未収録作品にもまだまだ面白い話が残っているので、5巻にどの話が収録されるのか、気になるところだ。近いうちに、個人的な収録作品予想をしてみたい。



・「ウメ星デンカ」1巻(ぴっかぴかコミックス)

 「パーマン」に続いて、全作品がてんとう虫コミックス未収録で、しかもほとんどが単行本初収録と言う素晴らしい内容。FFランド収録作品は1本入っているが、私自身がまだFFランド版「デンカ」を揃えていないので、今回の第1巻は全て初読の作品ばかりだった。

 個人的に「ウメ星デンカ」は、藤本作品の中でも何故かこれまであまり触れる機会がなかった作品で、一応てんコミ版全3巻は持っているが、入手したのはたった数年前。それまでは、ほとんど読んだことがなかった。シンエイ藤子アニメ全盛期にテレビアニメ化されなかったために、コロコロや学年誌などで触れる機会がなかったせいかもしれない。
 FFランドの藤本先生単独作品は、ほぼ全巻近く集めているが、現在残っているのが「ジャングル黒べえ」と、この「ウメ星デンカ」(4巻のみバラで入手済み)なのだ。特に理由があって買っていなかったわけではなく、手に入る物から順に揃えていったら、何となく最後に残ったとしか言いようがない。

 前置きが長くなったが、そんなわけで私にとって「ウメ星デンカ」は、藤本作品の中では比較的馴染みが薄いのだが、そのせいか、かえって今回のぴかコミ第1巻は素直に楽しめた。「ドラえもん」の原型的な部分が散見される点も興味深いが、話自体、マイペースなデンカ達の行動一つ一つが味わい深くて面白い。FFランド版も、はやく揃えたくなってしまった。
 なお、第1巻表紙絵は「月刊絵本」、カバー裏の登場人物紹介は「小学三年生」1969年4月号より。表紙絵については「藤子・F・不二雄の世界」にて大きなサイズで観ることができる。これまでのぴかコミ同様、細かいところまで未収録のイラスト・カットを載せてくれる点は嬉しいところだ。
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