喪心に春落葉踏みしめてゆく 岩岡中正
2月10日、熊本の作家、石牟礼道子さんが亡くなった。その翌日の火の国探勝会とあって、会員の誰もが哀悼の思いを深くしながらの吟行会となった。作者は、石牟礼道子さんを良く知る人の一人。「踏みしめてゆく春落葉」ではなく、「春落葉踏みしめてゆく」である。前者は「春落葉」に力点が置かれるが、後者は、「踏みしめてゆく」に力点が置かれる。今月号の『俳句管見』の末尾に、「何を考え何を石牟礼さんから引き継いだらいいのか。すべてはこれから始まる」と結ばれている。「踏みしめてゆく」は、喪失感から脱却への一歩のような気がした。「阿蘇」4月号〈近詠〉より抄出。(Midori)
2月10日、熊本の作家、石牟礼道子さんが亡くなった。その翌日の火の国探勝会とあって、会員の誰もが哀悼の思いを深くしながらの吟行会となった。作者は、石牟礼道子さんを良く知る人の一人。「踏みしめてゆく春落葉」ではなく、「春落葉踏みしめてゆく」である。前者は「春落葉」に力点が置かれるが、後者は、「踏みしめてゆく」に力点が置かれる。今月号の『俳句管見』の末尾に、「何を考え何を石牟礼さんから引き継いだらいいのか。すべてはこれから始まる」と結ばれている。「踏みしめてゆく」は、喪失感から脱却への一歩のような気がした。「阿蘇」4月号〈近詠〉より抄出。(Midori)