十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

沈丁花

2011-06-12 | Weblog
  沈丁花心重たき日を香り    宅野幸子

「沈香」と「丁字」の香りにたとえて、沈丁花の名があり、
とても強い芳香を放つ。その香りに出会う時、あるいは気づく時というのは、
一体どんな時なのだろう?心弾む日ではなく、やはり「心重たき日」
でなければならないような気がする。「心重たき日に」でなく、
「心重たき日を」とした一字の助詞に、作者の詩心が感じられる。
ふっと、震災の日のことが頭を掠めた。
「阿蘇」6月号「雑詠」より抄出。(Midori)