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十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

「阿蘇」4月号 Ⅲ

2021-04-19 | Weblog
ゆつくりと時遡る炉火明り        堀 伸子
おほかみの星呼ぶ声と思ひけり    圭 々
寒月の凍り時代の変はる音       岡本 妙

一句目、「炉火明り」の仄かな色合いが、モノクロームの時代へと遡る。二句目、絶滅したと言われる狼の句は、やはりファンタジー。ここにもモノクロームの世界が広がる。三句目、時代が変わる瞬間を捉えて美しい。どの句も透明感のある好きな句である。(Midori)

「阿蘇」4月号 Ⅱ

2021-04-11 | Weblog
人類が試されてゐる去年今年    大石伊津子
ウイルスに翻弄されて国凍つる     石橋みどり
子の描く地球大きなマスクして     宅野幸子
身支度の一つとなりしマスクかな     八木花栗

第4波が心配される中、ワクチンの早期の接種が待たれるが、やはり国産ワクチンの開発の遅れは、不甲斐ない話である。掲句、「試されてゐる」、「翻弄されて」という措辞は。そんな期待と不安の象徴ではないだろうか。私たちにできることは、「マスク」によって、人に移さない移らないという意識の表明だけである。(Midori)

「阿蘇」4月号

2021-04-04 | Weblog
マスクして自粛づかれの眼かな
ぽつぺんを吹いて神よぶ疫病の世
底冷の街に疫病の第三波
眠りたる山の懐より兎

*「阿蘇」4月号、岩岡中正選

掲句は、まだまだ自粛が続く1月に詠んだ句。奇しくも3句目まで新型コロナウイルスの句になってしまったが、句会が開催されない中の郵送による通信句会で主宰より選を頂いた句である。マスク生活もすっかり慣れてしまったが、外せる日が何とも待ち遠しい。(Midori)

「阿蘇」3月号 *落椿

2021-03-08 | Weblog
丁寧に置きたるやうに落椿    岩岡中正

昨日は、熊本市内を流れる白川沿いを久しぶりに吟行。薄日が差す中、白川はいつものようにゆったりと流れ、日頃の閉塞感を忘れさせてくれた。さて、そんな中、一際目についたのが、椿である。藪椿、姫椿、肥後椿とそれぞれ個性を誇っていたが、句にするのは難しく、つい類想が頭を過る。さて、掲句。「丁寧に置きたるように」とは、言い得て妙!重量感のある椿は、恰も誰かがそっと置いたかのようだ。言葉での写生とは?じっと見ることの大切さを改めて実感。(Midori)

「阿蘇」3月号 

2021-03-02 | Weblog
火の鳥の翼となれる櫨紅葉
隧道の口ほつかりと山眠る
今生の棘あかあかと冬薔薇
猫抱けば日向の匂ひ漱石忌

*「阿蘇」3月号、岩岡中正選

2月下旬、ようやく緊急事態宣言が解除されたが、掲句は宣言下にあって、通信による主宰選である。自宅周辺の自然の美しさに改めて気づかされた貴重な時間でもあった。(Midori)

古小代の里

2021-02-17 | Weblog


               

毎年、「梅まつり」が実施されている、熊本県北、小代山麓の登り窯。この地は、約400年前から窯業が発展したところで、「小代焼」は国の伝統的工芸品に指定されている。今も尚、窯を守っていらっしゃる女性より、「小代焼」について説明を頂き、ちょっぴり地域の文化に触れさせていただいた。(Midori)

   梅東風や登り窯守る陶の里

「阿蘇」2月号 *冬鵙

2021-02-03 | Weblog
冬鵙やうつすら乾く空のいろ
天心へうす紅を解く返り花
風はいま光に変はり神の旅
大空につづくハイウェー神の旅

*「阿蘇」2月号、岩岡中正選

【選評】 冬の印象を、冬鵙の声でひろがってゆく空のいろや空気で詠んだ、詩的で鋭い感覚の一句。「乾く」のは空気だけではない、作者の冬めく思いなのである。(中正)

「冬鵙」の句は、熊本市監物台樹木園での吟行句である。心配していた雨も上がり、うっすらと青空が見えて来たときは本当に嬉しかった。「神の旅」は兼題ではあったが、吟行からイメージを膨らませた句である。(Midori)

「阿蘇」1月号 *ばつた

2021-01-24 | Weblog
コロナ禍をおんぶばつたも生きてをり     宗像和子

「コロナ禍」という措辞をどう捉え、どう詠むかは、詠むものの生き方や考え方に大きく左右される。「おんぶばつたも」の「も」によって、「おんぶばつた」と作者が同格に位置付けられて、こちらまで勇気づけられる思いである。平明でありながら心が癒される一句である。(Midori)

山眠る

2021-01-11 | Weblog

 
南関インターから荒尾方面に伸びるバイパスから見た松風隧道。ここを通れば昔ながらの商店が並ぶ町に出ます。(Midori)

隧道の口ぽつかりと山眠る    *中正選(通信句会)

迎春Ψ

2021-01-03 | Weblog
猪垣に眠らぬ闇のありにけり
祈る背の小さく見ゆる人の秋
一刷の雲に翳れる返り花
豊年や郷土力士の勝名乗り

*「阿蘇」1月号、岩岡中正選

明けましておめでとうございます。
心配されていた大変な積雪もなく、煌々と輝く寒満月と一面の雪、という何とも美しい年越しとなりました。これも神様のお計らいと感謝です。今年もどうぞよろしくお願いいたします。(Midori)

上床山 Ⅲ

2020-12-21 | Weblog


上床山。「うわとこ山」と平仮名にすると、宮沢賢治の童話に出てきそうな山の名である。写真は丁度中腹あたりに植林された桜の木。すっかり裸木となってもその美しさは変わらないが、これも下草を刈ってくださる管理人さんのお蔭。(Midori)

   枯木立こゑなきこゑにつつまるる

「上床山」Ⅱ

2020-12-11 | Weblog


上床山の頂上付近には蜜柑畑が広がっている。先日までは蜜柑を収穫する女性たちの賑やかな声に迎えられたものだ。この蜜柑畑を抜けて、細い参道を登ると、目的地である宮地岳神社に到着する。祭神は、息長比売命(神功皇后)、勝頼、勝村の三柱神である。ここには、加藤清正が検地を行って、肥後と筑後の国境の地点としたという石碑も置かれている。下山までの時間は約一時間半。コロナ第一波から私のよい散歩コースになっている。(Midori)

    比売神の膝に山々眠りけり

「上床山」

2020-12-11 | Weblog


わが家から真正面に見える山が、「上床山」(うわとこやま)。標高200mの小高い山。笹鳴きを聞きながら急な歩道を登って行くと、北欧を思わせるような黄葉が何とも美しい。メタセコイヤだろうか?(Midori)

「阿蘇」12月号

2020-12-01 | Weblog
書に栞して虫の音に耳澄ます
前衛のいろとなりたる唐辛子
新涼や天に撒きたる星の数
感染爆発カンナは赤くあかく燃え

*「阿蘇」12月号、岩岡中正選

このところ曇天が続いていたが、今日は久しぶりの良い天気!いつもの散歩コースの墨摺川では、鴨が元気よく飛び回り、鶲まで足元近くススっと横切って行った。鳥たちも太陽の日差しは嬉しいものと見える。(Midori)

第25回『草枕』国際俳句大会

2020-11-26 | Weblog
第25回『草枕』国際俳句大会は、コロナの関係で、今回俳句部門は事前投句だけとなりました。新聞掲載によると全国から602人、2288句の応募があったとか。私も毎年参加させていただいているが、今回初めて西村和子さんの入選!入賞者の皆さんの句から、一部紹介します。(Midori)

風薫る漱石囲む中に祖父       岡田春人(千葉県) *俳句大賞
黍嵐村に最後の帰還兵        平村久恵(北九州市)
端居して過ぎしことより明日のこと  渡邊佳代子(菊陽町)
野分けあと黒々と立ちあがる     北野昭夫(熊本市)
涼新た星ひとつづつ語りだす     境眞木子(熊本市)
風を読む二百十の漁師の目      前原啓子(沖縄県)
百合包む戦後を語る新聞紙      畑田孝子(美里町)

堂々たる掲句のあとで、お恥ずかしい限りですが、私の入選句です(*^o^*) 

木の葉髪切つて真珠のイヤリング    *西村和子選