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十七音のアンソロジー★。・.:・゜'☆,。.:・゜'★

虚と実のあはひに遊ぶ  Since 2008 by Midori♡ H

神の旅

2020-11-17 | Weblog


熊本県北の南関インターから荒尾方面にまっすぐに伸びているバイパス。広い歩道は絶好の吟行を兼ねた散歩道。明後日の句会の兼題は「神の留守」あるいは「神の旅」。(Midori9

  大空へつづくハイウェー神の旅

小春

2020-11-13 | Weblog
小春日が続く中、自宅から車で15分という、和水町の金栗四三生家まで出かけた。山々に囲まれた小さな村はまさしく日本の原風景!折しも今日、11月13日は、四三の命日だとか。入館料は無料、おまけに記念の布袋まで頂いて恐縮の至り。学芸員さんの懇切丁寧な説明を聞き、思いがけず楽しく幸せな時間を過ごさせて頂いた。(Midori)

   ふる里の言葉弾める小春かな

「阿蘇」11月号 *撫子

2020-11-11 | Weblog
撫子に神の鋏のこまごまと    井芹眞一郎

動物はもちろん草木に至るまで、大自然に適った固有の形や色が与えられていることに驚く。「撫子」といえば、あのギザギザの花びら。ここに着目した作者が創作したものは、「神の鋏」。「こまごまと」に造化の営みが感じられ、撫子の花が形成されるまでの一過程を見る思いである。「鋏」の具象が何と言っても素晴らしい一句。今月号の巻頭句である。(Midori)  

「阿蘇」11月号 

2020-11-07 | Weblog
つちくれのやうな太陽原爆忌
源流は黄泉の国なり天の川
拭きあげて跣で過ごす母の家
夏痩の眼大きく異議唱ふ

*「阿蘇」11月号、岩岡中正選

11月の誕生日を過ぎて、もうすぐ母の年齢を超える。「ようやく」という思いが大きいが、一日一日を豊かに過ごして行きたいもの。(Midori)

猪垣

2020-10-29 | Weblog
すでに刈田が広がり、秋晴の日が続いているが、稲の穂が色づきはじめた頃より田圃の周りには、金網柵が張り巡らされていたが、これは猪の侵入を防ぐためのもの。つまり、それほど猪の被害が大きいということを物語る。せっかく植えた100本の里芋もすべて猪にヤラレタという知人が、「もう作らん」といっていたのを思い出した。(Midori)

猪垣に眠らぬ闇のありにけり     *中正選、土曜例会

「阿蘇」10月号 *山翡翠

2020-10-22 | Weblog
山翡翠の眼に球磨川の夜明けかな    杉本康子

想像もしなかった球磨川の大氾濫は、多くの人家を呑み込んでいった。掲句は「山翡翠」の眼が捉えた球磨川である。「夜明け」が意味するものは、氾濫のあとの時間の経過としての「夜明け」とも取れるが、「山翡翠の眼」に映ったものは、災禍からの「球磨川の夜明け」であったに違いない。(Midori) 

「阿蘇」10月月号 *梅雨夕焼

2020-10-18 | Weblog
避難所は母校でありし梅雨夕焼     永村美代子

7月6日の豪雨では、まさに経験したことのない濁流に命の危険さえ感じられたほどだった。作者もそんな中、避難を迫られたのだろう。しかし、避難所が母校であるいう信頼感は大きい。地域の小学校や中学校が避難所に指定されることは珍しくはないが、こうして一句にされると思わぬ発見に気づかされる。「梅雨夕焼」に安堵感を覚える一句である。(Midori)

「阿蘇」10月号 *花柘榴

2020-10-03 | Weblog
巻貝の中よりオラショ青葉潮
母許に一夜の寝茣蓙敷きにけり
金剛のひかり湛へてゐる泉
つま先に旅の疲れや花石榴

*「阿蘇」10月号、岩岡中正選

ようやく句会が再開されるようになった頃の句。吟行には行けなかったものの、どの句も過去の映像が元となっているので、「記憶の再現」と言ったところでしょうか。自粛が続く中では仕方のないことですが、これからは過去や既成観念にとらわれない新たな目線を持ちたいものです。(Midori)

曼珠沙華

2020-09-27 | Weblog


佐賀県小城市の棚田。
稲穂と曼珠沙華のコントラストが見事。自然と人間の合作の美でした。(Midori)

子規忌

2020-09-20 | Weblog
9月19日は、正岡子規の108回目の忌日。結社の定例例会の会場には、子規の遺影が置かれ、鶏頭や芒が飾られていたが、毎年ながら、このお心遣いも楽しみの一つになっている。48名の参加者を得て、様々な角度から、素晴らしい「子規忌」が詠まれた。(Midori)

   鶏頭のいろ極まつてゐる遠忌    *中正選

「阿蘇」9月号 ☆花柘榴

2020-09-12 | Weblog
花石榴疫病の神の嘴太し     岩岡中正

「疫病の神」の存在にまず驚いたが、「嘴太し」とはまるで鸚鵡のようである。何とも不気味な姿に、「花石榴」の濁音が微妙にひびき合う。昨今コロナウイルスの感染が拡大する中、熊本ゆかりの妖怪「アマビエ」が話題だ。アマビエは、江戸末期に熊本に現れたとされる妖怪。「もし疫病が流行したら、私の絵を描いて皆に見せよ」と言い残したという。その姿は、地面に着くほどの長髪で、体は人魚のように鱗で覆われ、くちばしがあり、足は3本あるのだとか・・・。一日も早いコロナの収束を願いたいもの。(Midori)

カンナ

2020-09-04 | Weblog
兼題は、「カンナ」。カタカタの季語ではあるが、昔から常に身近にあった花である。赤や黄の逞しい花をどう詠むか、兼題でなければなかなか詠まない花。カンナのいろんな側面に気づかされた句会であった。(Midori)

    感染爆発カンナは赤くあかく燃え      *中正選 in NHK.c

「阿蘇」9月号 *揚羽

2020-09-01 | Weblog
異界より王の如くに黒揚羽
騎馬像の弓手の放つ黒揚羽
妹山の裾のむらさき花樗
桑の実のいろに暮れゆく峡の空

*「阿蘇」9月号、岩岡中正選

コロナ感染拡大の第一波に外出自粛を余儀なくされていた頃の句である。幸い、近くに人通りの少ない丘陵があるので、毎日のように登っていたが、その時に見かけた黒揚羽がとても印象的で、やっと一句にしたものである。後日調べてみると、揚羽蝶は、日向と日影を行ったり来たりする習性があるのだとか・・・。2句目の「黒揚羽」の句は、西南の役の激戦地、田原坂の騎馬像である。(Midori)

胡瓜蒔く

2020-08-25 | Weblog
胡瓜蒔く棲みにくき世の片隅に
一草のやうに吹かるる子蟷螂
空よりも碧く翡翠の一閃
あをあをと風の眠れる新樹の夜

*「阿蘇」8月号、山下しげ人選

今年は、コロナ禍による外出自粛のため、することもなく、庭のあちこちを耕して夏野菜の苗を植えた。胡瓜はその一つ。しかしこの猛暑、例年の元気はないが、収穫の喜びは同じ。子蟷螂は、大きくなって昨日、わが家の壁にじっとしているのを見つけた。(Midori)

天の川

2020-08-23 | Weblog
「天の川」あるいは「銀河」は、無数の星の集まりであるが、夜空を流れる川をイメージして命名されたことにより、私たちは限りないロマンを感じることができる。季語の持つ物語性を生かしながら詠みたいもの。(Midori)

    源流は黄泉の国なり天の川     *中正選 in NHK、C