みなさんは『ヴェローナ』といえば何を連想しますか?
おそらくシェークスピアの“ロミオとジュリエット”を連想する人が多いのではないでしょうか。
ツアー旅行のパンフレットなどでも、
ヴェローナを紹介するのに「ジュリエットの家」の写真がよく使われているようです。
でも、この物語、本当はまったくのフィクションなのです。
「えーっ、それならなぜ家が?なぜお墓が?」と思う人もいるでしょう。
実はこれらは現代になってから、ヴェローナ市が観光用に作ったものなのです。
一応「ジュリエットの家」と「ロミオの家」は中世に対立関係にあった貴族の館とされる建物で、
物語的にはつじつまが合うようになっています。
で、ここからがイタリアらしいというか、えーっと驚く話なのですが、
「ジュリエットの家」は物語にあわせて1940年に改築して、
もともとなかったバルコニーをつけ加えてしまっているのです。
しかも、その材料は昔の石棺だというのだから、二度びっくりです。
つまり、「ジュリエットの家」を訪れて、バルコニーで写真を撮っている人は、
どこかの誰かのお棺の中に足を突っ込んで写真を撮っているということになりますね。
それにしても、物語の人気に便乗して、
世界中に売り出しているヴェローナってすごいですよね。
でも、世界遺産に指定されるくらいの街ですから、
街の人たちは“ロミオとジュリエット”だけでなく、
中世の面影を残す街並みや、ローマ時代の遺跡、
美しい数多くの教会などをもっと見ていってほしいと
思っているかもしれませんね。