ポルティコの歴史は、中世に始まるといわれています。
そもそもは歩行者の利便性を考えたものではなく、
部屋を増築するために考えられた窮余の策だったようです。
斜塔の近く、ロッジア・ディ・メルカンティ
(商工組合の建物)のすぐそばに、
ポルティコの原型をとどめている建物があります。
建物の2階部分が道路にせり出して木の柱で支えられていて、その下を歩道として活用しています。
ポルティコよりさらに2階部分がせり出しているのがわかります。
実は、このような土地利用の方法は、中世のイタリアではあちこちで見られます。
では、どうしてボローニャで特に発達したのでしょうか。
そのわけは、ボローニャ大学にあるらしいとのことです。
ボローニャに大学ができると、各地からやってきた学生で、ボローニャの人口は急激に増加しました。
そのため、限られた土地に少しでも多くの部屋を確保するため、このような建築方法がとられたようです。
そして、一時期ボローニャでは、道路に面した建物を増改築するときには、
ポルティコを維持することが義務付けられていたそうです。
ポルティコのある街並みを守っていこうとした人たちのおかげで、今のような姿が残っているというわけですね。
ボローニャ紀行 (文春文庫) | |
井上ひさし | |
文藝春秋 |