教会の裏手に回ると、そこにはナポリの雑踏とは別世界が広がっていました。
中庭を十字に横切る通路に沿って、マヨルカ焼のタイルで装飾された列柱が並んでいます。
それらの柱には、空をイメージしたさわやかな青をベースに緑の葉とオレンジの花や果実が
描かれています。
そして、柱と柱のあいだは、やはりマヨルカ焼のタイルで装飾されたベンチになっています。
おそらくここは修道女たちの静かな憩いの場だったのでしょう。
回廊そのものも、やわらかな雰囲気のフレスコ画で一面装飾されています。
どちらかといえばけばけばしく派手な装飾の多いナポリの街にあって、
ここだけが異質な空間のように思われます。
こんなところにもマヨルカ焼が使われています。
さあ、それでは再びナポリの混沌へと足を踏み入れましょう…。
ナポリの街の物語―そこにイタリアの全てがある街 | |
寺尾 佐樹子 | |
主婦の友社 |