カンピドーリオの丘とパラティーノの丘にはさまれた低地に広がる古代ローマの遺跡、
それがフォロ・ロマーノです。ここは、古代ローマの政治と宗教の中心だった場所です。
ここを初めて訪れた20年ほど前には、
まだその辺に大理石のかたまりがごろごろと転がっており、
さびれた雰囲気も残っていましたが、
今では復元・整備が進み、だいぶ様子が変わっています。
フォロ・ロマーノの見学は無料で、
入り口や出口がはっきりと決まっているわけではないので、
いろいろなところから出入りすることができますが、
私は“聖なる道”を南の方から進むルートをおすすめします。
はじめに現れる“ティトゥス帝の凱旋門”をくぐると、
気分はすっかり凱旋将軍です。
そこから巨大な“マクセンティウスのバシリカ”や、
“ロムルスの神殿”などを右手に見ながら、
少しずつフォロの中心へと進みます。
やがて、右手には広場、左手には“ユリウスのバシリカ”が現れます。
凱旋将軍は演壇へと進み、広場に集まった民衆を前に勝利の演説を行い、
それから元老院に勝利の報告をする、というわけです。
最後に、市庁舎の脇の階段からカンピドーリオの丘に上ると、フォロ・ロマーノの全景を見渡すことができます。
また“聖なる道”を戻って、パラティーノの丘に上り、チルコ・マッシモ越しに夕日を眺めても、
皇帝気分を味わえるかもしれません。
いずれにしても、フォロ・ロマーノを楽しむには、想像力が必要です。
皆さんも「将軍」や「皇帝」になりきって、この遺跡を歩いてみてください。
とんぼの本 ローマ古代散歩 | |
新潮社 |
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