JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

超人や!

2007年10月04日 | s-u

崩れるはずの天気が一日もってしまいました。浮かぶ雲も高さを増して、未だ残暑に悩まされている西日本以南の皆様には申し訳ありませんが、まさに秋です。

昨日、朝食を食べているとテーブルの上に梶山季之の『黒の試走車』が置いてありました。もちろん私の本でもありませんし、家人が読む本とも思えません。
「なに、この本?」
すると母が
「あ~あ、昨日Kさんから借りてきた本。」
母が梶山季之というのも、どうにも解せませんので
「珍しいの借りてきたねぇ」
話を聞けば、昔、田宮二郎が主演した同原作の映画を観に行ったことがあるらしく、なんとなく懐かしくなって借りてきたのだそうです。
「へぇ、映画ねぇ、かあちゃんも映画なんて観に行ったんだぁ、いつ頃の話よ?」

そんな話を会社で同僚に話すと、
「DVD持ってるよ。明日持ってきてやるよ。」
DVDがあることもビックリですが、それを持っている同僚にもビックリ、今日ありがたく借していただき母に渡すと、明日にでも観てみると嬉しそうにしておりました。

ところで、我が本棚に梶山季之を探してみれば『赤いダイヤ』の上下二冊だけ、一世を風靡した流行作家だったわりには、私は読んでいない作家の一人かも知れません。時代的に合わなかったからでしょうか。

『赤いダイヤ』といえば、小豆相場にのめり込んでいくその様は、なんともドロドロとした怖いお話でありましたが、たしかに一時「電話での勧誘から素人が小豆相場に手を出して自殺に追い込まれた。」的お話は良く聞きましたよねぇ。
れいの『円天』もそうですけど、そうそう美味しい話は転がっていないし、まして相場に素人が口を出すなど以ての外ということでしょう。

梶山季之はギャンブル好きで、先輩作家の借金をチャラにしてもらうために、ホテルの開業記念式典の壇上で「私はポルノ作家の梶山季之であります。人生は、お○○こであります。」と言ってのけたとか、また、その言葉が嘘とも言えず、そうとうの「女好き」あったそうでもありますが、反面、人の良かった梶山は頼まれごとには二つ返事で答える人で、膨大な仕事量を抱えていたにもかかわらず、予定していた作家の原稿が土壇場で上がりそうもないと編集部がワラにもすがるおもいで頼みに来たときも、二日半で原稿用紙三百枚の小説『ミスター・エロチスト』を書き上げてしまったという凄いお方でもあったわけです。
そうそう、船で航海しながら勉強するという「太平洋大学」(船上でやる意味が今ひとつ分かりませんけど)の講師として乗船していたときも、たまたま台風のせいで帰港が遅れ、締め切りに間に合わなくなった原稿を、雑誌社がヘリコプターを飛ばして洋上に取りに行ったのだとか。そんな船上でまで執筆していた梶山も凄いですが、高額であろうヘリコプターまで使っても原稿を必要とした、つまりそれだけ人気があったということも凄いと分かるエピソードです。

あれ?なんの話をしてたんでしたっけ?
そうだ!私はあまり読んでいない梶山季之ですが、土曜日にでも私も映画『黒の試走車』を観てみようかと思ったということでした。(なんじゃそりゃ、前置きなげ~~~~)

さて、今日の一枚は、アート・テイタムです。
「また、ずいぶんと昔のピアニストを」なんて思う方もいるかも知れませんが、二日半で三百枚という驚異的な仕事をこなした梶山季之に敬意を表して、4回のスタジオ入りで124曲をレコーディングしてしまったというこのアルバムを選んだわけです。

このレコーディング量というのは、半端じゃなく凄いですよねぇ。ある意味「マイルスのマラソン・セッションなど目じゃない」てな感じですけど、詳細は1953年12月28日に35曲、翌29日も35曲、翌年4月22日に27曲、そのまた翌年1月19日に27曲と、完全にノーマン・グランツにそそのかされたとしか思えないようなレコーディング量です。


これが13枚組のLPボックスです。

テイタムが亡くなったのは1956年11月5日ですから、晩年の録音になりますが、そのストライド・ピアノはまさに『剛速球』、「昔のピアニスト」なんてとんでもない話です。
ただね、私は聴いているうちに、少々飽きが来る傾向はあります。(124曲をぶっ続けで聴ける人がいたら、その方にも敬意を表しますけど......笑)
だからというわけではありませんが、全レコーディングを収めた13枚組LPボックスは所有していません。
今日は私の持っているCD盤のVol.1で紹介します。

それにしても、梶山季之もテイタムも、その創作意欲・能力たるや常人ではありませんよね。まさに「超人や!」

THE TATUM SOLO MASTERPIECES Vol.1 / ART TATUM
ART TATUM(p)

1.MOONGLOW
2.LOVE FOR SALE
3.BODY AND SOUL
4.JUST A-SITTIN' QND A-ROCKIN'
5.IT'S ONLY A PAPER MOON
6.HAVE YOU MET MISS JONES
7.STAY AS SWEET AS YOU ARE
8.MY LAST AFFAIR
9.WILLOW WEEP FOR ME
10.TOO MARNELOUS FOR WORDS
11.YOU TOOK ADVANTAGE OF ME
12.SOPHISTICATED LADY
13.I'M IN THE MOOD FOR LOVE
14.EVERYTHING I HAVE IS YOURS
15.BLUE LOU
16.EMBRACEABLE YOU

おまけ、
巨人軍、セリーグ優勝おめでとうございます。
優勝の瞬間をテレビで観戦できなかった母も、おおいに喜んでおりました。
「何とかシリーズっていうのは、テレビで放送すんのかなぁ?」と心配はしておりましたが、昨年は意気消沈していた母を思えば、テレビ放映の有無など問題ではありません。(これはイヤミですよ)
クライマックスシリーズ、日本シリーズに進めるのは、巨人か?中日か?阪神か?楽しみですね。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿