JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

アナログ人間に愛の手を

2009年05月18日 | s-u

昨日とはうって変わっての晴天、雨に勢いを増した緑が輝いています。それにしても暑いなぁ(笑)

最近の母の怒りはテレビに向けられています。特に日本テレビ系。
というのも、母の楽しみである巨人戦の観戦が出来ないからです。
「せっかく巨人が調子良いっていうのに、何がBSだ!」
てなもんで、昨日のデイゲームもようやく地上波での放送かと思いきや、我が地区の地方放送では放映無し、
「まったくもう」
しかたなく映りの悪い首都圏放送を必至に見ておりました。
「それにしても頭に来る、BSだかデジタルだか知らないけど、全部が全部見られる人ばっかじゃなかろうに」
母の怒りもごもっともであります。
土曜日から見切り発車をした『エコポイント制度』、何に使えるポインとかも分からないまま、やはりこれを機に我が家のTVもデジタル化を考えるべきなのか?迷うところです。

「最近はコマーシャル見ても何が何の宣伝なのか、ち~~ともわがんね。」
食事をしながらTVを見ていた母が、そうつぶやきました。流れていたのはNTTドコモのドコモ動画「BEETV」のCMです。
「なんだ○○(私)、今は携帯でテレビが見られるのはあたり前なんだろ?」と母。
「あ~、これはそのワンセグが見られるとかいうんじゃなくて、ドコモの専用動画が見られるネットTVの宣伝だろ。」
私もほとんど内容を知らずに答えておりますが
「ワンセグだの、デジタル放送だの、ネットテレビだの・・・関係ねぇがらもういい」
「自分で訊いてきたんだろうが・・・・」
母の頭の中は、アナログのまま完全にストップしています。

いやいや、母のことを言えたもんじゃありません。私も最近世に出回る代物について行けないのが現状で、思えばレコードからCDへ移行して以来、徐々にその傾向は蓄積されてきたように思います。

- ユニバーサルより20万円のガラスCD『クリスタル・ディスク』2タイトルが発売! -
この『クリスタル・ディスク』なるガラスのCDの存在は、以前より知ってはおりましたが、
「なになに?」
- 今回発売されるのは、1974年録音、カルロス・クライバーの不滅の名盤『ベートーヴェン/交響曲5番、7番』と、ジョン・コルトレーン不朽の名作『バラード』の2タイトル。後者はルディ・ヴァン・ゲルダーのリマスタリングによるマスターを使用している。いずれのタイトルもクリスタル・ディスクと比較試聴用通常盤CDの2枚がセットになっており、その他に2種のオリジナルジャケットをあしらった紙ジャケ、ブックレット、さらに特製アクリル・ケースが封入されている。 -
「ほほう、一枚一枚手作りプレスなんだぁ・・・・え~~!?価格が20万??!!

SHM-CD、HQCDにBlu-specCD、それらのCDの違いだって理解していない私には、いかに手作りとはいえ20万の価値がどうにも理解できません。
っていうかぁ、そもそも我が家のステレオ・システムでその20万円の音を楽しむことが出来るんでありましょうか?(再生できるか云々ではなく、音質的にね)

「バブちゃん、やっぱ自称コルトレーン信者としては、押さえておかなくちゃいけないアイテムじゃないのぉ」
と勝手なことを言うのはいつもの喫茶店のマスター
「いやいや、コルトレーン自身、20万円のリマスター盤の発売を快く思ってはいないんじゃないかなぁ」

話を戻しましょ
技術は進み、新たな製品やサービスが、春っ先の筍のごとく、所かまわず出てくる現代。それはそれで良いんですが、それに順応できない人も数多くいるわけでして、そんな人たちのことも忘れてもらっちゃ困りますよね。

分からないから訊こうと思って電話をすれば
「音声案内に添って該当する番号をお押し下さい。」
って、きっと途中であきらめている人が何人もいると思いますよ。
「なお、詳しくはホームページをご覧下さい。」
って、みんながみんな、ホームページを閲覧できる環境にいます?
「お財布携帯の契約をして手続きしてきたんだけど、何処でどう使うんだか分かんなくて」
なら、契約するなと言ってしまえばお終いですが、そんな人だっていますよ。
HDに録画した番組を
「○△さんも見逃したっていうから、貸してやりたいんだけど、どのテープに入ってる?」
なんて人、ぜったいにいますって

「アナログ人間に優しくない社会は、いたるところにはびこっているのだ」と言いたい、時代遅れのバブ君でありましたとさ。チャンチャン。


紫陽花は梅雨をひた待ちにしているようです。

さて、今日の一枚は、スタンリー・タレンタイン、シャーリー・スコット夫妻のブルーノート盤です。

まさに夫唱婦随といった感じの二人は良いですねぇ、タイトル曲の「NEVER LET ME GO」なんか、いつものブゥアアアアってな感じを押さえて、じつに甘く語りかけるタレンタインと、それに耳を傾けながら寄り添うスコット、みたいな感じで、「へへ、今のうちだけ、今のうちだけ」なんて皮肉でも言いたくなるような気さえします。

そこの旦那さん、ひょっとして「GOD BLESS THE CHILD」「NEVER LET ME GO」この2曲のバラードを流しながら、奥様とお酒なんぞをお飲みになったら、甘い恋愛時代を思い出したりなんかして、ちょっと酔っぱらった奥様が
「ぜったいに私を離さないでね。(NEVER LET ME GO)」
なんちゃって・・・・・ナイナイ
 ♪ Never let me go
     わたしを離さないでね
     Love me much too much
     もっと、もっと愛して
     If you let me go
     もし、あなたが私を放り出したら
     Life will lose its touch
     とても味気ない毎日になるわ
            ・・・・・・・・ ♪
てなこと言うわきゃないでしょ、ねぇ旦那ぁ。(笑)

かといって、違う女性に試そうとしても、すでに時遅しですから、そちらも諦めますように(笑)

そのバラードももちろん、他の曲も二人の共演が基本的に好きな私にはじつに心地よいアルバムです。

NEVER LET ME GO / STANLEY TURRENTINE
1963年2月13日録音
STANLEY TURRENTINE(ts) SHIRLEY SCOTT(org) MAJOR HOLLEY JR., SAM JONES(b) AL HAREWOOD, CLARENCE JOHNSTON(ds) RAY BARRETTO(conga)

1.TROUBLE
2.GOD BLESS THE CHILD
3.SARA'S DANCE
4.WITHOUT A SONG
5.MAJOR'S MINOR
6.NEVER LET ME GO
7.YOU'LL NEVER GET AWAY FROM ME

追伸、
「バブちゃん、ところで『ルディ・ヴァン・ゲルダーのリマスタリング』って、どういう意味?」とマスターに訊かれましたので、ここでザックリと

まず、ルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder)ですが、彼は、ブルーノートを始め、インパルス、ブレスティッジ、リヴァーサイド、サブォイ、CTI、等々いわゆる有名ジャズレーベルの、しかも名作と称されるアルバムに、まぁこれでもかっていうくらい携わったレコーディング・エンジニアです。


ちょっと写りが悪いですが、
今日のアルバムもルディ・ヴァン・ゲルダーの録音です。

そんなゲルダーも当初は、ニュージャージーのハッケンサックに父が立てた自宅のリビングルームで、趣味の録音を行う眼鏡の検眼技師でした。もちろん趣味といっても、根っからの凝り性だったゲルダーは、そんじょそこらの好き者とはモノが違うわけでして、そんな彼と彼ののリビング・スタジオに目を付けたのが、ブルーノートのアルフレッド・ライオンだったのです。
当時、メジャー・レーベルであれば社内にレコーディング・スタジオを持っていることがあたりまえでしたが、ブルーノートのようないわゆるインディペンデント・レーベルがスタジオを保有することは難しく、ゲルダーとライオンの出会い、これは二人にとってその後を大きく左右するものでありました。
思えば、ゲルダーが独学で録音技術を磨いたところに、彼の良さが、いやジャズ向きの独創性を生んだ原因があるのでしょう。
クリアなピアノ、太く鳴り響くホーン、ドラムの音も、ベースの音も、彼ならではの録音スタイルを確立したのでした。

まだまだ、話は尽きませんが、そんな超名レコーディング・エンジニアが、リマスタリング(古い音源を最新の音響技術を用いてマスタリングし直す)した音源を『ルディ・ヴァン・ゲルダーのリマスタリング』というわけです。

余談ですが、マスターテープ(これはアナログ)からレコード・カッティングまでの流れは、以前我がHPで触れていますので、こちらをご覧になってみて下さい。

こんなもんでよろしいでしょうか、マスター?



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