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JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

出会いは千差万別

2010年06月14日 | a-c

いよいよ鬱陶しい季節がやって来ました、梅雨入りです。今年は梅雨らしい梅雨だと聞きましたが、我が部屋にカビが生えないかと心配しています。(笑)

突然ですが、出会いというのは、千差万別、人間一人一人に違った物語があるから面白いんであります。
先週の朝日新聞土曜版『be』の「song 歌の旅人」の題材は、ニニ・ロッソ「夜空のトランペット」でした。

私とジャズとの出会いは以前お話ししたとおり、小学校4年生の時に聴いた「TAKE FIVE」であり、その後ブラス・ロックにハマッタゆえの「トランペットの音っていい」から始まったジャズ喫茶通いでした。
そのトランペットとの出会いですが、じつはブラス・ロック以外にもう一つあったのです。

これも以前お話ししたことですが、私は父の勤めの関係で、小・中学校時代に何度も転校の経験があります。今いるこの地に移り住んだのも中学一年の夏でした。(その後も父の転勤は続き、私は下宿暮らしを余儀なくされたのですけどね)
その時、同時に同じ中学に転校してきたのが、昨年母を連れ立ってお悔やみにうかがったお宅の息子さんA君でした。

A君のご両親は、お母さんは踊りや手芸、お父さんは釣りに絵画に音楽に(シャンソンがお好きで)と、当時からなかなかの趣味人でいらして、その影響でしょうか息子のA君もわりといろんな物に手を出す傾向があったように思います。(女にも手が早かったし・・って、コラコラ)

ある日、彼の家に遊びに行くと、部屋の片隅に楽器らしきハードケースを発見しました。
「なに?これ?」
「あ~~、小学校の時にやってたトランペットだよ」
すると、頼んでもいないのに(笑)ケースの中からトランペットを取り出し、おもむろに吹きだしたのです。
「夜空のトランペット」でした。
これがまた、ひどい演奏であったのですが
「しばらくやってなかったからなぁ」

今考えてみると、いかにひどい演奏(A君、何度もごめんね。)だったとはいえ、ブラバンにも所属していなかった私が、間近で聴いた初めてのトランペットだったかもしれません。つまり、もう一つのトランペットとの出会いです。

そんな夏のある夜、哀愁漂うトランペットの音色が山あいに響いた。ジャズのスタンダード曲「スターダスト」だった。山中に潜んだパルチザンと米軍、ふもとの村を占領するナチス。兵士たちはみな満天の星がきらめく夜空を見上げながら、家族や恋人のことを思い出した。

記事内で紹介されていたパルチザン時代のニニ・ロッソのエピソードであります。
あのニニ・ロッソ独特の寂しげで力強いトランペットは、こんな経験の中で培われてきたのでしょうね。

残念ながら、A君の「夜空のトランペット」を聴いたからといって、私がニニ・ロッソにかぶれることはありませんでしたが、私の大好きな映画『道』にしても、アラン・ドロンに嫉妬しながら観た『太陽がいっぱい』にしても、ニニ・ロッソのあのトランペットが映画の魅力を倍増させてくれたことは間違いありません。

ツアー先で知り合ったシルビアさんと結婚して間もなく、バック・バンドの一員として参加したテレビ番組で突然休演したゲストの代わりに演奏したソロ「夕焼けのトランペット」がきっかけでソロデビューし、イタリア軍の兵士のための慰問コンサートで、軍隊の消灯ラッパに使われていた旋律をイントロにして、ほぼアドリブで演奏した「夜空のトランペット」が大評判となり、レコード化された歌詞入りバージョンには、シルビアさんへの「僕が遠くにいても、この曲を聴いたら思い出せるよ」という想いを込めた歌詞を書き上げ・・・・・・

幼少期に過ごしたアパートでのジャズとの出会い、愛器「カロリーナ」(トランペット)との出会い、パルチザンとの出会い、作曲家ニーノ・ロータとの出会い、そしてシルビアとの出会い、「夜空のトランペット」にはそんなニニ・ロッソの出会いが全て凝縮されているかと思うとじつに深いものを感じるのであります。


これがニニ・ロッソの愛器「カロリーナ」
(朝日新聞土曜版『be』より)

出会いは千差万別、人それぞれです。ニニ・ロッソが出会ったそれらと、私とトランペットとの出会いなど比べることすらバカげた話ですが、「夜空のトランペット」の記事を読みながら、そんなもう一つのトランペットとの出会いを思い出したのでありました。(いやはや、こりゃ浅すぎる・・・・笑)

さて、今日の一枚は、クリフォード・ブラウンです。
私がジャズと知り合った当初、トランペッターとして一番知り合いたかった人は誰かと訊かれれば、間違いなく「ブラウニー」と答えたでしょう。
まっ、もちろんその後数々のトランペッターの演奏を耳にしてその考えが全く揺るぎないかとなると自信はありませんが、それでもブラウニーは私にとって唯一無二のトランペッターであることは間違いありません。

このアルバムは、メッセンジャーズでもなく、ブラウン=ローチでもない、いわゆるミーツ・ウェストもので、「互いにやり合いババーン!」てな感じではありません。ただそのぶん邪魔にならないしっかりしたバックの演奏に、ブラウニーのソロがより映える印象があります。
こうして聴いてみると、いかにズートだろうがマンだろうが、ブラウニーがフロントで吹けばどうでもいいほど引き立て役になってしまう、つまり、ブラウニーという人はそれほど凄いんだなぁと思ってしまいます。ハッキリ言って「BONES FOR ZOOT」なんぞいりませんな・・・って、それは言い過ぎか(笑)
ともかく、この時期のブラウニーがいかに素晴らしいトランペッターであったか、じゅうぶんに理解できる一枚だと思います。

JAZZ IMMORTAL / CLIFFORD BROWN
1954年7月12日, 8月13日録音
CLIFFORD BROWN(tp) STU WILLIAMSON(valve tb) ZOOT SIMS(ts) BOB GORDON(bs) RUSS FREEMAN(p) SHELLY MANNE, MEL LEWIS(ds) JOE MONDRAGON, MONTY BUDWIG, CARSON SMITH(b)

1.TINY CAPERS
2.GONE WITH THE WIND
3.FINDERS KEEPERS
4.BLUEBERRY HILL
5.JOY SPRING
6.BONES FOR JONES
7.BONES FOR ZOOT
8.DAAHOUD



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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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この新聞・・・ (coffee winds)
2010-06-15 13:55:06
おはようございます♪
偶然でしょうか?先ほどお見えになったお客様がこの新聞をお持ちくださり、今読み終わったところです。
我が家は、「朝日新聞」でないのでこの記事は知りませんでした。
なかなか興味深い内容で、「ふむふむ」と頷きながら読んでおりました。
イタリアの空気を運ぶ「映画」に一役かっていた彼の「カロリーナ」からはいい音が流れてましたね(^_^)v
返信する
Coffee Windsさん (バブ)
2010-06-16 10:06:14
ニニ・ロッソが好きだ嫌いだじゃなく、あのトランペットを聴くと不思議に哀愁を感じるのは何故なんだろう?と思っていたのですが、この記事でなんとなく分かったような気がしました。
けっこう土曜版『be』って面白いんですよ。
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