JAZZを聴きながら ふたたび

恥も顧みないで再々開、よろしければお付き合いを

いわれある差別

2012年08月31日 | s-u

 

「放射能雲が通った、だから福島ばかりじゃございませんで、栃木だとか、埼玉、東京、神奈川あたり、だいたい2、3回通りましたよね、あそこにいた方々はこれから極力、結婚をしない方がいいだろうと。結婚をして子どもを産むとですね、奇形発生率がドーンと上がることになっておりましてですね、たいへんなことになるわけでございまして」

公益財団法人「日本生態系協会」の池谷奉文会長(70)が、自治体議員ら65人が出席して東京都内で2012年7月9日に行われた日本生態系協会主催の講演の中でこんな発言をしたという事が問題視されています。

講演に出席した福島市議4人が、議長らとともに、「福島の人とは結婚しない方がいい」と受け止められたとして、8月29日に会見し、「不適切な差別発言であり、容認できない」と発言の訂正・撤回を求めた。というものでありますが・・・・・・

「やっぱりね」
私的にはそんな感覚です。

池谷氏が言ったとか言わないとか、あるいは適切か不適切かとか、そういったことはどうでもよく、ただ、大なり小なり池谷氏と同じ思いというか、感覚というか、そういったものを心にお持ちの方は多いのではないかということです。
私は、以前から言っているように、そこに原発事故の本当の恐ろしさがあるのではないかと・・・・・

そりゃね、私なんぞはエエンですわ。孤独死だろうが何だろうが、後は福島県内で生殖能力もほとんど無くした生涯を何事もなく過ごせば済む話ですから。
だけどね、何処出身などということはほとんど気にもせず、恋をし、悪さもし、結婚して子供もつくり・・・・・というあたりまえで普通だったあの青春時代が、これから福島県の若者にはあたりまえじゃなくなってしまうかもしれない。

そしてね、もっと深刻だと思うのは、例えば「黒人差別」や「同和問題」のごとく「いわれ無き差別」であれば、「闘い捕る差別撤廃」もあるかもしれませんけど、放射能に関する不安からもし差別が生まれたとしたら、差別する側だけでなく差別される側もある意味同等の不安の中で「差別撤回!」と叫ぶという、つまり「いわれある差別」になってしまう可能性があるじゃないですか。だって、今回の内部被曝で今後何も起こらないという保障があるかっちゃ無いんですもん。

だから何を言いたい・・・・・
ともかく、そんな「いわれある差別」を生み出すような根本原因『原子力』なるものが、私は、嫌いですし憎いですね。(えっ?それだけ?)

いやいや、私の心の中もムチャクチャで
「原発反対」は揺るぎないものですが、正直言えば、安い電気をいっぱい使いたいからぜんぜん関係のないところでの原発なんかどうでも良いとか、心の何処かじゃ思ってるかもしれません。
「福島原発事故の放射性廃棄物最終処分場が安全な施設だと言うなら、やっぱ福島原発の恩恵を得ていた東京を中心とする関東圏内に造るべきだ。」てな事も思うし、「いやいや300年安全なんてあり得ないから、やっぱ少しでも遠い方がいいだろ」と思う心もあるっちゃある。
しょせん人間はワガママなんです。

でも一つ言えることは、「「いわれある差別」はけして消えることはない。」これだけは間違いないことですし、今後福島県の若者はその現実を受け止めて人生を歩まねばいけないのです。それを思うと同県人としていたたまれません。
「差別しないでくれ!」と言いきれない現実が歯がゆくて虚しくて・・・

けっきょく最後は愚痴のようになってしまいました。
ともかく、私は池谷奉文会長の発言を批難しません。ある意味誰もが思っている本音を代弁してくれたというところもあるように思うし、それが原発事故というあってはならない事故の一つの悲劇で現実だということをみなさんには重く受け止めていただきたいと思うのです。
ほんと、愚痴しか口に出来ない自分が情けなく思うバブ君でありました。

さて、今日の一枚は、ホレス・シルバーです。
このクソ暑いさなか、ムチャクチャ冬の装いのジャゲを持ってくるってぇのはいかがなものかとは思ったんですけど、まっエエでしょう。

この頃、シルバーとアル(アルフレッド・ライオンをシルバーはアルと呼ぶ)との関係はじつに良かったということは、私が取り上げるまでもありませんが、その最大の理由は、あるていどシルバーの思うがままの演奏を録音をさせてもらえたという点であったのでしょう。
このアルバムもまた、そういったブルーノートでのシルバーを象徴するような一枚であるように思います。とはいえ、何故かブルーノートでのシルバーのアルバムとしては再発盤がなかなか出なかった一枚でもありました。
それはどうしてか?・・・・ははは、そんなこと私は知りませんよ。

たしかに、俗に言われるようなそれまでとは違った「脱原発」おっと違った、「脱ハード・バップ」を暗示するような云々・・てなところはあるのかもしれませんが、それが再発を拒んだ原因では無かったように感じますし、「未来への探求」(タイトル)とまで大げさなものじゃないと思いますが・・・・まっそんなこたぁどうでもいいか。(笑)

聴いているだけの私なんざぁよく分かりませんけど、一曲目「THE OUTLAW」なんざぁラテンとスイングを複雑に行き来する・・・ともかく、聴く以上に難曲なんだそうですけど、あまりそんなところは感じず、つまりそれがシルバーの妙で、エレガントなファマーも、「男だねぇ」っていうジョーダンも、全てシルバーの手の内での姿だから凄いんだそうであります。(ふむふむ)

まぁまぁ、それがシルバーの妙であろうと無かろうと、とにもかくにも聴いて悪い印象のアルバムでは無いわけで、いやむしろ私なんざぁブルーノートでのシルバーで、そうとう好きな方に属するアルバムであります。
エエですねぇシルバーも。

FURTHER EXPLORATIONS BY THE HORACE SILVER QUINTET
1968年1月13日録音
HORACE SILVER(p) ART FARMER(tp) CLIFF JORDAN(ts) TEDDY KOTICK(b) LOUIS HAYES(ds)

1.THE OUTLAW
2.MELANCHOLY MOOD
3.PYRAMID
4.MOON RAYS
5.SAFARI
6.ILL WIND