A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【灰野敬二 in 秋葉原】不失者1981/The Silence 2018.3.2(fri) & GIGANOISE5 2018.3.21(wed)@秋葉原Club Goodman

2018年03月27日 10時46分05秒 | 灰野敬二さんのこと


2018年3月 秋葉原クラブ・グッドマンの灰野敬二
Keiji Haino at Akihabara Club Goodman in March 2018


●秋葉原と私
昭和の秋葉原は電子部品専門店が軒を連ねるマニアックな街だった。中学3年生で東京に引っ越してきた筆者が初めて秋葉原を訪れたのは、高校2年のころ、ギター雑誌のファズ(エフェクター)自作記事を見て、作ってみようと思い、電子部品なら秋葉原だろうと出かけたのである。吉祥寺からオレンジの中央線でお茶の水で黄色い総武線に乗り換えて一駅の秋葉原は、今よりずっと雑然とした電子部品の迷宮だった。専門用語しか通じないような店構えに気圧されて、電気工作の知識が皆無に等しい筆者にはどこで何を買っていいかわからなくなった。それでも意を決して優しそうな女性店員のいる店でトランジスターやコンデンサーを幾つか購入したと記憶する。しかし結局部品が足らず、武蔵関のプラモデル屋で残りの部品を調達し、ハンダ付けで組み立てたエフェクターは、かなりノイジーな音がして「NOISE BOXX」とシールを貼って暫く愛用したが、大学に入って最初のライヴでステージでギターを叩き壊した時に一緒に粉砕してしまった。秋葉原にはその後レコード/CDや電気製品を買いに行ったり、最近ではアイドル・イベントで行く機会が増えたが、今でもアキバと聞くといつも思い出すのは、無数に並ぶ電子部品の色とりどりのカラフルなビニール線とジージー鳴るばかりで操作が効かないNOISE BOXXの金属臭い記憶である。
嗚呼、また自分語りが長くなってしまった。お叱りを受けるかもしれないのでそろそろ本題に行こう。

●クラブ・グッドマンと私
そんな秋葉原のはずれの楽器店の地下にあるライヴハウス「クラブ・グッドマン」は、ここ数年は地下アイドルのイベントも多く開催されるようになったが、もともとロックを中心に、地下音楽/ノイズ/パンク/前衛ジャズ/プログレ系が多数出演する異色の倶楽部である。初めて訪れたのは2007年12月1日、灰野敬二+ナスノミツル+石橋英子のライヴだった。割礼と早川義夫+佐久間正英が対バンのイベントで、なぜ秋葉原?と疑問を抱くこともなく純粋に楽しんだと記憶している。
灰野敬二+ナスノミツル+石橋英子@秋葉原Club Goodman 2007.12.1(sat)

その後も灰野をはじめ非常階段やアシッド・マザーズ・テンプルやマリア観音、最近ではクリス・ピッツィオコスなどの変態音楽系ライヴへ何度も通うことになった。だから筆者にとっての秋葉原の音楽シーンはアイドルよりも地下音楽色が濃い。それにしても筆者がクラブ・グッドマンで灰野敬二や非常階段を観ていた時に、でんぱ組.incが500メートルも離れていないディアステージでパフォーマンスしていたと思うと、今の自分の嗜好も決して迷走・盲信ではない気がする。

●2018年3月クラブ・グッドマンの地下音楽
この3月中に筆者は秋葉原の街に4回訪れた。うち2回はアイドル・イベント:

3月5日(月)成瀬瑛美生誕祭2018☆〜ギラメタスえい誕スターズ!☆〜 @秋葉原ディアステージ
3月14日(水)「別冊「IDOL FILE」SUPPIN発売記念「インストアトークショー&サイン会」@秋葉原書泉ブックタワー

それを挟むようにして訪れたクラブ・グッドマンの地下音楽系ライヴについて記すのが本稿の趣旨である。

●3月2日(金)東京・秋葉原クラブグッドマン


~深遠にして深淵なる不可思議 vol 2~
不失者1981、The Silence,

19:00 open/ 19:30 start
adv. 3,000円 / day 3,500円 +drink代

不失者1981:
灰野敬二 Gt, Vo
臼井弘行 Dr
渡辺弘之 Bass
1981年当時の初期メンバーによって奇跡の始動!free jazz、即興畑の猛者、伝説の打楽器奏者臼井弘行 Drumsと灰野の激しい化学反応に、触媒として渡辺 Bassが絡む。結成初期のオリジナルメンバーによる現在進行形の破壊的創造の夜を見逃すな!


The Silence:
馬頭将器 Gt, Vo
岡野 太Dr
山崎 怠雅Bass, Vo
吉田 隆一B Sax, Flt
米シカゴのレーベル Drag Cityから今夏4作目の新譜をリリースする。日本の伝説的アシッドフォーク、サイケデリックグループGhost(1984-2014) の母胎から産まれた彼らは、アンダーグラウンドの帝王だ。ジャズと真のサイケデリックロック、覚醒と混沌、神秘と幻想を我々の前に音で提示してくれるだろう。


灰野敬二が不失者を結成したのは1978年。最初は白石民夫(シンセサイザー)とのデュオだったが、すぐにトリオのロック・バンド編成になり、数多くのメンバー・チェンジを経て現在も活動を続けている。灰野(vo.g)、臼井弘行(ds)、渡辺弘之(b)のトリオは1981年に半年間ほど活動しライヴは6回ほど行ったという。37年経った今このラインナップが突然復活したきっかけが何かは分からないが、マルチ奏者として国内外で活動する臼井がかつて在籍したGhostの馬頭将器の尽力で実現したイベントである。渡辺弘之の活動は詳しくわからないが、ベースを弾くのは数十年ぶりとの噂も聞いた。時代的には1981年6月非常階段が大暴れしたことで知られる慶応大学日吉校舎「the art of running」、8月日比谷野音の「天国注射の昼」、新宿LOFT「FLIGHT 7DAYS」といった伝説のイベントに出演した(と思われる)幻のトリオの演奏に期待と不安を胸に聖地・秋葉原を訪れた。

●The Silence


1990年にリリースされたGhostの1stアルバム『Ghost』は幻想的なジャケットと中世風のエキゾチックなサウンドが気に入り愛聴盤だった。そのリーダーだった馬頭将器のメインのバンドが非常階段の岡野、バリサクの吉田、鳥を見た/The Hardy Rocksの山崎怠雅を擁するThe Slience。70年代プログレサイケを継承する音楽性はGhost時代と大きく変化していない。筆者的には90年代東京アンダーグラウンドシーンのOverhang PartyやSTARSを彷彿させる懐かしくも馨しいサイケ感に陶酔するステージだった。Pearl Before Swine「Surrealist Waltz」のカバーも秀逸だった。

●不失者1981


ステージ中央にセットされた臼井のパーカッション群が目を惹く。単なるドラマーや打楽器奏者ではなく、マルチ・ミュージシャンたる所以である。トリオ演奏に於いても臼井の特異性が遺憾なく発揮され、灰野の容赦ないギターと歌、渡辺のツボを心得たベースを、非ロック/非即興音楽/非アヴァンギャルド/非ノイズな色で染める。深いリヴァーブに包まれた音響に陶酔していると、突然暴発するギターエフェクトが意識を覚醒する。緩急織り交ぜた演奏は37年ぶりの邂逅とは信じられない抑制と熟練を感じる。「黒と白のなしくずし 俺と宇宙とのなしくずし」という灰野ワールドのキーワードがいつにも増して実感できるステージだった。願わくばこの一回に終わらず、また近い将来この三者の共演を観たいものだ。


●3月21日(水・祝)東京・秋葉原クラブグッドマン


<GIGANOISE 5>
開場 12:30 / 開演 13:00
予約 ¥3500/当日¥3800(+1drink)

全国各地で話題のノイズ9時間ぶっつづけの気狂いイベントの第5弾!!!今回もメンツヤバイです!!!!!!
【出演】灰野敬二+ドラびでお/MikaTen(美川俊治+テンテンコ)/ASTRO+若林美保/Bilwa (Berlin) x DaveSkipper/APOCALYPTO(Motomu Miura+Ataraw)+Shozin Fukui/齋藤久師/maitadaisuke(青森)+妖精マリチェル(岩手)+noizu(岩手)/壊れたホテル(岡山)/野本直輝+竹下勇馬/遊神(岡山)/森田潤/ファミコン地獄(岐阜)/TENTAK(大分)/荒川淳(ReddTemple:郡山)+沼田順(doubt music)/百武和馬/緊那羅:DESILA/メメンカンチン (大阪)/丹野美紀(郡山)/Spaceship airguitars (大分)/矢儀哲也(山口)/纐纈淳也/Rubi Lopossa(濁郎+ラップ)/Outer Lung(DOMMUNE)/沖縄電子少女彩(沖縄)/宇川直宏(DOMMUNE)


現在秋葉原Club Goodmanを舞台に最も活発に活動する地下音楽オーガナイザーがドラびでおこと一楽儀光であることは間違いない。2016年12月25日主催イベント「GIGANOISE」で火災、流血、暴力等の騒ぎが起きたが、屈することなく長時間イベントを企画し続け「GIGAIDOL」「GIGADISCO」を開催。そして中国・四国で開催してきた「GIGANOISE」の第5弾を聖地・秋葉原で開催。9時間ノイズを浴びっぱなしの天国を逐一記すのは厳しいので、特に印象的だった二つのアクトについて雑感を記載する。

●沖縄電子少女彩


沖縄出身女子高生アイドル&ノイズミュージシャンとして地下音楽&地下アイドル界隈で話題の17歳を初体験。エレクトロ機材のライトに照らされ浮かび上がるJK制服姿が新鮮。思春期の繊細さや脆さをオブラードで隠したエレクトロ音響放射は地下現場が陥りがちな負のオーラを吹き飛ばすスカッと爽やかな発泡剤。来場していたT.美川によれば、観る度に成長が感じられるとのこと。今度はラウド系アイドル現場で観てみたい。

●灰野敬二+ドラびでお+宇川直宏


ソロで出演予定だった宇川が急遽灰野とドラびでおと共演することになった。19歳の頃に借金をして灰野のCD『天乃川』をリリースしたという宇川にとっては夢のような体験だと語る。ドラびでおと宇川がモジュラーシンセ、灰野がエアシンセやドラムマシーンを操る。分厚いエレクトロノイズの絨毯の上で灰野は自作曲や「Love Me Tender」「若者たち」などを歌唱。単調になりがちなノイズ演奏にバイオニックなストーリーテリングで生命を吹き込む。音の波に呑込まれる40分の演奏の最後に灰野が叫んだ言葉は「Born To Be Wild!」だった。

沖縄電子少女彩 GIGANOISE 5 AKIHABARA CLUB GOODMAN 20180321


アキバから
世界にお届け
地下音楽

Keiji Haino/Heather Leigh/Peter Brötzmann European Tour 2018


3月30日(金) PORGY & BESS, Wien, Austria 
20:30
TICKETS: Sitzplatz € 20,00

3月31日(土) Café Oto, London, England UK
SHOW ONE 6:30pm doors / 7pm start
SHOW TWO 9pm doors / 10pm start
Ticket: £22 £18 £16 ALL SOLD OUT

4月1日(日) De Studio, Antwerp, Belgium 
Doors: 19:30 / Concert: 20:00
Pre-sales: 17 € / Pre-sales -26: 12 €
Box Office: 20 € / Box Office -26: 12 € TICKETS

4月6日(金) Akademie der Künste, Berlin, Germany
4月7日(土) Akademie der Künste, Berlin, Germany
Brötzmann plus…
8:00pm
€ 13/7

Peter Brötzmann (saxophone), Heather Leigh (steel guitar), Han Bennink (drums), Alexander von Schlippenbach (piano), Keiji Haino (electric guitar), Marino Pliakas (bass), Michael Wertmüller (drums)
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