A Challenge To Fate

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【私のB級サイケ完全コレクション#17】Cの最後は”田舎のジョーと魚類”~カントリー・ジョー&ザ・フィッシュ Country Joe & The Fish

2020年09月10日 00時02分15秒 | 素晴らしき変態音楽

80年代前半筆者がサイケデリックロックに興味を持ったころ60年代のサイケバンドの動く映像を観ることが出来たのは『モンタレーポップ』(67)と『ウッドストック』(69)の二本の映画だけだった。特に1967年6月にカリフォルニア州モンタレーで三日間開催されたモンタレーポップ・フェスティバル'67はデビュー前のサンフランシスコのサイケバンドが多数出演し、サマー・オブ・ラヴの幕開けを告げた象徴的なイベントだった。映画の中ではギターに火を点けるジミ・ヘンドリックスと楽器を破壊するザ・フーの過激な映像が印象的だったが、ベトナム戦争へ反対するフラワーチルドレンの祭典を象徴していたのは、ヘルメットを被って顔に花模様をペイントしたサングラスのシンガーの姿だった。それがサンフランシスコのサイケ・シーンの第1世代カントリー・ジョー&ザ・フィッシュを率いるカントリー・ジョー・マクドナルドだった。映画で演奏された曲「Section 43」はアシッド・ギターとオルガンが不思議に絡み合うインストゥルメンタル・ナンバーで、ジミヘンやザ・フー、ジャニス・ジョプリンらの強烈さとは違った、シュールな美しさを持っていた。

メンバーはCountry Joe McDonald (vo,g), Barry "The Fish" Melton (vo,g),  Gary "Chicken" Hirsh (ds), David Bennett Cohen (g,org), Bruce Barthol (b)。1942年ワシントンDC生まれのジョー・マクドナルドは60年代にカリフォルニア州バークレーでバスキングをはじめ、出会ったバリー・メルトンとデュオとして65年半ばにCountry Joe & The Fishを結成。フォーク・シーンで活動しながら自主制作でレコードをリリースし、左翼的な言動で支持を受ける。メンバーチェンジにより演奏面が充実するとともにサイケデリック・ロックに変貌する。

●Country Joe & The Fish / Electric Music For The Mind And Body


1967 / US: Vanguard ‎– VSD-79244 / 1986.8.29 お茶の水Disk Union3 ¥980

67年5月にヴァンガードレコードからリリースされた1stアルバム。『心と身体の為の電子音楽』というタイトルとサイケデリック・ライトショーのジャケットが示す通りサイケデリック時代を象徴するアルバムである。全曲アシッドロックの傑作だが、特にA1. Flying Highのなまめかしいヴォーカル、B4. Bass Stringsの幻想的なサウンドが素晴らしい。

Country Joe & The Fish "Flying High"



●Country Joe And The Fish ‎/ I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Die


1967 / US: Vanguard ‎– VSD-79266 / 1987.8.7 新宿Disk Union ¥1,200

67年11月リリースの2ndアルバム。「ヴェトナム・ソング」としても知られるA1. I-Feel-Like-I'm-Fixin'-To-Dieの軽やかなジャグ・サウンドからスタートし、刺激的なアシッドロック、ドリーミーなフォーク、政治的なステイトメントが交錯するヴァラエティに富んだアルバムになっている。時代との共鳴を模索したジャケットの仮装姿の風刺精神に注目したい。

Country Joe&The Fish-Pat'sSong



●Country Joe And The Fish ‎/ Together


1968 / US: Vanguard ‎– VSD-79277 / 1986.11.25 お茶の水Disk Union3 ¥900

68年8月リリースの3rdアルバム。レコーディング直前にジョー・マクドナルドが短期間バンドを離れバンド名をThe Fishとして活動した時期があった。全11曲中マクドナルド以外のメンバーの曲が半数を占め、リード・ヴォーカルもメンバーが担当している。ジェームズ・ブラウンに捧げたA1. Rock and Soul Music、哀愁サイケのB3. Waltzing in the Moonlight、反戦ドローン・サイケ B6. An Untitled Protest等名演もあるが、マクドナルドの艶めいた歌声が少ないことが物足りなく感じる。

Country Joe & The Fish "Waltzing In The Moonlight"



●Country Joe & The Fish / Here We Are Again


1969 / US: Vanguard ‎– VSD-79299 / 1986.12.28 吉祥寺PARCOバーゲン ¥1,400

69年7月リリースの4thアルバム。ウッドストック・フェスティバル(69年8月15-17日)出演直前だが、マクドナルドとメルトン以外のメンバーは流動的だった。アルバムにはメンバー・クレジットは載ってないが、オリジナルメンバーのチキン・ハーシュ(b)とデヴィッド・コーエン(g,org)は参加しているようだ。初めてストリングスやブラスを取り入れメインストリーム路線を目ざしたアルバムだが、ドノヴァンに捧げた三拍子サイケA2. Donovan‘s Reefや、演奏面では最高傑作かもしれないアシッド・ブルースA5. Crystal Bluesをはじめ良曲も多い。

Country Joe & The Fish - Crystal Blues



●Country Joe And The Fish / C.J. Fish


1970 / US: Vanguard ‎– VSD 6555 / 1998.2.13 下北沢Flash Disc Ranch ¥1,000

70年5月の5thアルバム。マクドナルドとメルトン以外のメンバーは一新。Greg Dewey (ds), Doug Metzner (b), Mark Kapner (key)。一般的には60年代の輝きを失った残り香のようなアルバムと評されるが、浮遊感たっぷりのギターをフィーチャーしたA2. She's a Bird、パワフルなA3. Maraなど聴きどころはある。何となくサイケよりもパンク的なストレートさを感じる。すでにソロ活動を始めていたマクドナルドの今後の活動への布石と言えるかもしれない。

Country Joe And The Fish "She's A Bird"



●Country Joe And The Fish / The Life And Times Of Country Joe And The Fish From Haight-Ashbury To Woodstock


1971 / US: Vanguard ‎– VSD 27/28 / 1985.8.27 下北沢レコファン ¥3,950

71年9月にリリースされた未発表ライヴを含む2枚組コンピレーション。実は筆者が最初に買ったカントリー・ジョー&ザ・フィッシュのアルバムである。Disc1はベスト盤でヴァンガード以前の初期音源2曲入。4年間の活動を駆け足で振り返るのに最適。Disc2にはFillmore EastとWest、そしてWoodstock Festivalでのライヴ音源を収録。他のサンフランシスコのサイケバンドと同様に彼らの魅力がライヴ・パフォーマンスにあることを証明するドキュメントである。特にバリー・メルトンの変幻自在のアシッド・ギターは最高すぎる。

Country Joe & the Fish - Rock and Soul Music / Love



●Country Joe And The Fish / Peter Krug / Country Joe McDonald & Grootna ‎/ Collectors Items: The First Three EPs


1980 / UK compilation: Decal ‎– LIK 8 / 1987.8.20 渋谷ディスクポート西武 ¥980

ジョー・マクドナルドが発行していたミニコミ(今でいうZINE)Rag BabyのTalking Issue(音源版)としてリリースされた自主レコードの音源を集めたコンピレーション。65年・66年の初期ヴァージョンは、粗削りな録音故に、プロテスト精神に満ちた時代の胎動を感じさせる。65年のEPのカップリングのフォーク歌手Peter Krugの弾き語りと、71年ジョー・マクドナルドとGrootnaのコラボレーションも収録。

Country Joe & the Fish - Country Joe & the Fish (1966)



●Country Joe McDonald ‎/ Paris Sessions


1973 / US: Vanguard ‎– VSD 79328 / 1987.1.17 吉祥寺ジョージ ¥800

69年からソロ・アルバムをリリースし、サイケ色のほとんどない純粋なフォーク&カントリー路線を歩むマクドナルドの73年のアルバム。南北戦争時代の将校に扮したジャケットのポートレートと、メンバーに電子サイケバンドThe United States Of AmericaのDorothy Moskowitzが入っているのに興味を惹かれ購入したのだが、やはりサイケとは程遠い王道アメリカンロックだった。唯一エレクトロニクス・フリークアウトのB1. Zombies In A House Of Madnessが異色。タイトルが意味深なB2. Sexist Pigの歌詞も面白い。

Country Joe "Fantasy"


Grateful Dead, Jefferson Airplane, Big Brother & The Holding Company, Quicksilver Messenger Service等と並ぶシスコ・サイケ第一世代のCountry Joe & The Fishであるが、再発や発掘音源、海賊盤などの数を考えるとかなり過小評価されているといわざるを得ない。特に日本での低評価はWikipediaの日本語ページがない(Big Brotherもないが)ことでも明らかだ。しかしこうして再度聴き直してみて、音楽性だけでなく政治性や思想・文化面でのユニークな個性を認識した。そして映画『モンタレーポップ』で感じたように、最大の魅力はライヴ・パフォーマンスにあることは間違いない。

以下に彼らのライヴ映像・音源をまとめてみたので、じっくりと「田舎のジョーと魚類」のサイケデリックな世界に浸っていただきたい。


Country Joe & The Fish - A Day In The Life Of Country Joe & The Fish (Film - 1967)


Country Joe & The Fish: Live at the L.A Fantasy Fayre -1967/7/16 [FULL CONCERT]


Country Joe & The Fish: Live at the Carousel Ballroom - 1968/2/14 [FULL CONCERT]


Country Joe & the Fish + Chambers Brothers (69) + Chicago (70)


Country Joe & The Fish ~ Donovan's Reef Jam

January 11, 1969 - Fillmore West, SF, CA
Country Joe McDonald: vocals, acoustic guitar, bells, tambourine
Barry Melton: electric Guitar
David Cohen: electric guitar, organ
Jack Casady: bass guitar
Gary "Chicken" Hirsh: drums
Jerry Garcia: guitar
Mickey Hart: drums
Jorma Kaukonen: guitar
Steve Miller: guitar, harp
David Getz: drums

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