A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

ACID MOTHERS TEMPLE & SPACE PARANOID@秋葉原Club Goodman 2014.3.15(sat)

2014年03月17日 00時44分44秒 | 素晴らしき変態音楽


Bloody Parinirvana Day(血まみれの涅槃会)
ACID MOTHERS TEMPLE & SPACE PARANOID
ワンマン in 帝都


【出演】
ACID MOTHERS TEMPLE & SPACE PARANOID :
河端一 : guitar
東洋之 : electronics, harmonica
田畑満 : bass, voice
岡野太 : drums

2013年にスペインのブッキングエージェントより「Acid Mothers Temple play Black Sabbath」なるコンセプトの下、イベリア半島ツアーの依頼を受け結成されたAMT新ユニット「Acid Mothers Temple & Space Paradoid」が、満を持して遂に帝都侵攻!今回はBlack Sabbathの所謂ストーナー~ブラックメタルへの系譜とは全く一線を画する、暗黒ヘヴィーサイケデリックなカヴァーに加え、超重量級オリジナル曲やブラックホール直行インプロパートも交えつつ、一大暗黒サイケデリック曼荼羅を表出させる。
1stアルバム「Black Magic Satori」は、Chaotic Noise Recordingsより6ページ紙ジャケット仕様CDにて絶賛発売中!米Safety Meeting Recordsよりリリースされた限定500枚LPは、既にソールドアウト、現在は店頭在庫のみ。しかし今回会場に設営されるShopzoneにて、在庫売り尽くし大放出!仏イラストレーターMartial Brouteによる1stアルバム表ジャケット原画をあしらったオフィシャル限定Tシャツも販売予定!



酸母寺院(Acid Mothers Temple)の深い森の中には、無数の巨木が林立し、生い茂る枝の先の熟れ過ぎた果実からサイキの蜜が滴り落ちて、水溜まりになり、やがて沼となる。のどを潤す為に沼を訪れた動物が、汚染された水を飲んで命を落とし、腐乱した内臓から滲み出た血が流れ込む。濁り錆び付いた沼の水は夕陽に照らされ血色に染まり、酸味がかった異臭を放つ。その畔に立つ長髪黒衣の女が、不敵な笑みを浮かべてそれを眺めて、恋人たちの愛の誓い(Valentine)は安息(Sabbath)と涅槃(Nirvana)の白日(White Day)夢であると呟いた途端、破壊の炎(Subvert Blaze)がその光景を焼き払った。


(写真・動画の撮影・掲載については出演者の許可を得ています。以下同)

アンドロイドがそんな夢を見るかどうかは知らないが、アシッド・マザーズ・テンプル(以下AMT)に元サバート・ブレイズ/現・非常階段のドラマー岡野太が参加する涅槃会のことを思えば、こんな妄想も許されるかもしれない。岡野はAMT&The Cosmic InfernoやAMT&The Melting Paradiso UFOに参加したこともあるから、AMTの準メンバーといえるが、ブラック・サバスの曲を叩くとはとびきり特別な一夜になるはず。サバート・ブレイズのデビュー作『サバート・アート』の中ジャケはライヴ機材の写真で、中央にセットされたツーバスのドラムがステージの大半を占領している。大阪の奇蹟と呼ばれたこのバンドを特徴付けた大きな要因のひとつはまさしく岡野のドラムであった。生演奏は非常階段でしか観たことのない岡野のドラムが、サバスの曲をどう破壊(Subvert)するか楽しみでならない。



いまやアングラロックの聖地でもあるアキバのグッドマンは一癖ある客層で満員。80%が男性、20%が外国人。この比率は昼間のアキバ電気街とさほど変わらないかもしれない。物販ではAMT関係の音源とグッズ(コーヒーが酸っぱくなりそうなメンバー写真入りマグカップもある)の他に、河端一の私物の中古レコードも販売されている。辺境サイケもあり興味深かったが、ライヴ続きで金欠のためく断念。



メンバー全員長髪は不失者やBO NINGENと同じだが、AMTはヒゲもじゃなので、より浮浪感が強い。25年前にストーンヘンジを訪れたとき、岩の周りにたむろしていたトラベラーたちを思い出す。サバスの特徴である地を這うようなヘヴィなリフがギターがら流れ出る。手数の多いドラムとディストーションベースが加わり、その上にスペーシーな電子音が前後左右に飛び交う。大方の予想通りサバスの曲がホークウィンドにワープする。



田端のヴォーカルは荒削りだが、AMTの演奏にはオジー・オズボーンより適任。ワンコーラス歌うとすぐにMAINLINERで聴かせた河端の常軌を逸したファズギターソロに突入。岡野と田端が賛同して激烈なインタープレイが延々と続く。クリームのギターがジミ・ヘンドリックスだったさもあらん、という風情。ただし東はティム・ブレイクにオマージュを捧げる。この演奏がサバスの完コピならオジーは必要ない。メタル色が一切ないことに加え、サバスがダンスミュージックだという事実が判明。昭和元禄のゴーゴー喫茶で演奏しても苦情は少なかろう。その際はバナナの皮を乾燥させてタバコ状に巻いておくこと。



サバスについては詳しくないので、何処がどう違うとは指摘出来ないが、少なくとも勿体ぶった悪魔や恐怖映画のゴシック趣味が払拭され、曲の本質を曲解したアレンジによりAMTのオリジナルと化していることは間違いない。インストパートを聴いて曲名を当てるのは、トニー・アイオミ本人でも至難の業だろう。AMTの森に咲く悪の華から吹き出す花粉に触れたが最後、あらゆる物体・事象が、酸母寺院への貢ぎ物として奉納される運命なのである。



Set List [注1]
1.鉄の男(Iron Man)
2.甘いハッパ(Sweet Leaf)
3.魔法使い(The Wizard)
4.戦争の豚野郎ども(War Pigs)
5.内なる悪魔(Devil Inside)
6.明日の夢 (Tomorrow's Dream)
7.黒い安息日(Black Sabbath)
8. 偏執狂(Paranoid)
-Encore-
9.「暗黒降臨」或は「血文字名」実は「ペン先」(N.I.B.) [注2]

注1:邦題の幾つかは筆者による捏造である。
注2:「N.I.B.」は"Nativity In Black" あるいは"Name In Blood"の略であると思われてるが、オジーの自伝によると、ドラマーのビル・ワードのペン先(pen-nib)のようなヤギひげをネタにしただけとのこと。

鯖酢も
アシッドも
どちらも酸っぱい



[3/18追記]
3月16日がブログ開設から3333日という記念すべき日だったことに今気づいた。悪魔の番号は「666」だが、「3333」はエンジェルナンバーと呼ばれるらしい。AMT meets Black Sabbathの記事を書いた日が天使の番号に当たるとは、何とも因縁深いものを感じる。
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