<Gimell>
CDGIM 992 \2080
GIMSA 592(SACD-Hybrid) \2850
エリザベス王朝の調べ-タリス・スコラーズ、ウィリアム・バードを歌う
ウィリアム・バード(1542/43-1623):
目覚めていよ/悲しみと不安が/怒りたもうな/導きたまえ、おお主よ/
おお主よ、御身のしもべエリザベスが/マニフィカト(大典礼曲)/4声の
ミサ曲/アヴェ・ヴェルム・コルプス
ピーター・フィリップス(指揮)、タリス・スコラーズ
1973年にピーター・フィリップスによって創設されて以来、世界最高のア・
カペラ・グループとして古楽界に君臨し続けるタリス・スコラーズ。グルー
プ名に冠しているタリスをはじめ、ジョスカン、パレストリーナ、アレグリ、
ビクトリア、グレーロ、そしてバードなどルネサンス時代の作品の演奏への
評価は絶大であり、世界中のファンに大きな感動を与えている。今回の新譜
は、先だってDVD-Videoとしてリリースされた「エリザベス王朝の調べ
(GIMDN 902)」を多くのリクエストに答える形でCD化されたものであり、
イギリスのテュークスベリー大聖堂で行われたコンサートを収めた待望の
1枚なのである!テュークスベリー大聖堂でのウィリアム・バードの作品に
おける演奏の素晴らしさはDVD-Videoで既に証明済みなだけに、ファンにとっ
て嬉しいリリースとなること間違いなし!
<CCn'C>
CCn'C 00702 \2080
アブソリュート・ミックス ――
P・ヒンデミット:小管弦楽のための室内音楽第1番Op.24-1
マイケル・ドアティ(1954-):
デッド・エルヴィス、シング・シング・ジョン・エドガー・フーヴァー
ジェームズ・マクミラン(1959-):...as others see us...
チャールズ・コールマン(1968-):ヤング・ワーズ
コンロン・ナンカロウ(1912-1997):ス
タディ第2番(イヴァ・ミカショフ編曲)
ジョン・アダムズ(1947-):《室内交響曲》より ロードランナー
C・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(ベンノ・ザックス編曲)
クリスチャン・ヤルヴィ(指揮)、
アブソリュート・アンサンブル
「CCn'C」の製作統括を行うクリスチャン・ヤルヴィは、その名の通り父は
ネーメ・ヤルヴィでありエストニアの音楽一家ヤルヴィ一族の次男である。
アブソリュート・アンサンブルはクリスチャンが1993年に創設し自ら音楽監
督を務めるアンサンブル。コンサートのライヴを収録した「アブソリュート
・ミックス」にはヒンデミットやドアティ、ナンカロウ、アダムズなど近代
&現代音楽ファンにとって魅惑の面々による作品がズラリと並んでいる。ド
イツ・レコード批評家賞を受賞した「アブソリュート・ミックス」。炸裂す
るクリスチャンのタクトとアブソリュート・アンサンブルのパフォーマンス
は圧巻!
CCn'C 01712 \2080
セレスティアルス ――
ペーテル・ヴァヒ(1955-):
フルートと弦楽オーケストラのための協奏曲ニ長調《Chant Of the
Celestial Lake》
ウルマス・シサスク(1960-):
レオニダス、フルートと弦楽オーケストラのための協奏曲Op.78
マーリカ・ヤルヴィ(フルート)、
クリスチャン・ヤルヴィ(指揮)、タリン室内管弦楽団
マーリカ・ヤルヴィは、パーヴォやクリスチャンと同じくエストニアの巨匠
ネーメ・ヤルヴィを父に持つヤルヴィ一族の女流フルート奏者である。ヴァ
ヒ、シサスクの両人とも現代エストニアを代表する作曲家として様々な作品
を発表している。クリスチャン率いるタリン室内管のサポートを得たマーリ
カのフルートからは迸る感情を存分に聴き取ることが出来るだろう。
CCn'C 02022 \2080
トレイン・ソングス ――
J・ボン・ジョヴィ:ホームバウンド・トレイン
ゲルノット・ウォルフガング:ユーゴスラヴィアン・レイルロード・ソング
トム・ウェイツ:ダウンタウン・トレイン、トレイン・ソング
ミヒャエル・ラダノヴィッチ:
モンドライン、ザ・トレイン・ウィル・ブリング・ハー・バック・トゥー・
ミー、アバウト・トレイン
ビリー・ストレイホーン:A列車で行こう
トーマス・マンデル:トレイン・フロム・オッシア
ジョン・コルトレーン:グランド・セントラル
イアン・アンダーソン:ロコモティフ・ブレス
J・シュトラウス(ラダノヴィッチ編曲):トレイン・デ・プレジール
パット・メセニー:ジャコ
スプリング・ストリング・クヮルテット
Extraplatteのブルー・スモーク・オン・ヨハン・シュトラウス(EX 601-2)
では、シュトラウスとディープ・パープルの作品を組み合わせるという仰天
の演奏を聴かせてくれたスプリング・ストリング・クヮルテット。電車に関
する作品を集めた今回のアルバムでもスプリング・ストリング・クヮルテッ
トの超絶技巧が爆発する!
<Anleut>
A 034 \2180
C・P・E・バッハ:
ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタハ長調WQ.136
同ニ長調WQ.137
チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ ト短調Wq.88
ローレンツ・デュフトシュミット(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
ボブ・ファン・アスペレン(チェンバロ)
ヴィオラ・ダ・ガンバの権威デュフシュミットと、オランダを代表する鍵盤
楽器奏者アスペレンの強力タッグによるアルバムが登場!デュフトシュミッ
トはスイスのバーゼル音楽院で学び、25歳という若さでグラーツ音大の客員
教授に就任。同時に2つの音楽祭の芸術監督にも任命され、古楽器アンサン
ブルのアルモニコ・トリビュート・オーストリアの音楽監督としても活躍中。
オランダの生んだ鍵盤楽器、特にチェンバロの重鎮として世界に名高いアス
ペレンの正確なタッチと多彩な表現に満ちた演奏がデュフシュミットのヴィ
オラ・ダ・ガンバを更に際立たせている。ちなみにデュフトシュミットは
今回の録音では、ヤコブ・スタイナー1679年製のヴィオラダ・ガンバを使用
している。
<Extraplatte>
EX 647-2 \2180
ウィーン・クラリネット・コネクション-Cafe Europa ――
F・メンデルスゾーン:《真夏の夜の夢》序曲
H・サルムホッファー:O bijav
P・グレインジャー:岸辺のモリー
A・クケルカ:Czernowitzer Skizzen
H・ヘードル:四重奏曲第2番、Out of Love、Itchy Fingers
F・シューベルト:即興曲第2番
T・タイシンク:Duna Lied
伝承曲:美しきミンカよ
M・カーティス:クレツマー・ウェディング
J・コスマ:枯葉
ウィーン・クラリネット・コネクション
「ウィーン・クラリネット・コネクション」はウィーン・クラリネット界の
巨星、オッテンザマー&シュミードルにクラリネットを学んだヘルムート・
ヘードルを中心に結成されたクラリネット四重奏団。コンサートのライヴを
収録した「Cafe Europa」には、メンデルスゾーンやシューベルトといった
クラシック作品の編曲版からメンバー自作の作品、コスマの「枯葉」など幅
広いレパートリーを収録。楽器を存分に鳴らした重厚なクラリネットの響き
は見事!
EX 662-2 \2180
エグザイル ――
アレクサンドル・ツェムリンスキー(1871-1942):Walzergesange Op.6
エゴン・ヴェレス(1885-1974):
Wie ein Bild Op.3、Lieder der Madchen Op.7a、
Kirschblutenlieder Op.8、Einsamkeit
フランツ・ミトラー(1893-1970):5つの歌
ヴィクトル・ウルバンチチ(1903-1958):
Der Traum、Die Elfe、Lustwandelnd schritt ein Madchen、
O Suse Mutter!、Fruhling、Vision der Schonheit
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897-1957):3つの歌Op.22
ジュディス・コペツキー(ソプラノ)、
ユリア・ティンホフ(ピアノ)
ナチスの台頭によって祖国から逃れなければならなかった作曲家たちの歌曲
を集めた作品集。ウィーンのソプラノ奏者であるジュディス・コペツキーは、
ウィーン・フィルやウィーン国立歌劇場、プラハ国立歌劇場などで活躍し、
プレートル、ギーレン、シルマー、ハーゼルベックなどの指揮者とも共演を
重ねている。
<Pepperland>
PEP 97201 \2180
イェネー・タカーチ(1902-):
小さなソナタOp.51/私のためにOp.76/ちょっと新しいことOp.116
ソナチネお嬢ちゃんOp.118
アイマ・マリア・ラブラ=マック(ピアノ)
エジプトのカイロではアラビア音楽、フィリピンのルソンでは民族音楽の研
究を行うなど音楽学者としての1面を持ち、自らの作品にその特色を反映さ
せるなどしたオーストリアの現代作曲家タカーチのピアノ作品集。ピアノの
ラブラ=マックはフィリピンの女流奏者である。
PEP 03026 \2180
コダーイとハンガリアン・スクール ――
Z・コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲Op.7
ゾルタン・セーケイ(1903-2001):Polyphon et Homophon Op.2
イストヴァン・セレニィ(1904-1972):3つのディアローグ
ヤーノシュ・ジュライ・ガール(1924-):
ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲
クララ・フリーデル(ヴァイオリン)、
クリストフ・パンティロン(チェロ)
ハンガリーの大作曲家コダーイや世界的ヴァイオリニストとして名を馳せた
ゾルタン・セーケイなど、20世紀ハンガリーの音楽家たちによるヴァイオリ
ンとチェロのための二重奏曲を集めた民族色に満ちたアルバム。
EX 550-2 \2180
77分で巡る世界一周-
アンダルシアのガスパチョ/ルーアンのジョン・ダウランド/シャルトル/
ラデッキー行進曲/ソフィアからイスタンブールへ/ヴォルガのポルカ/
冬の城/タンゴ/他 全20曲
トリロジー
2本のヴァイオリンとチェロで世界中の様々なスタイルの音楽を77分に渡っ
て演奏。ラデツキー行進曲のパロディーが飛び出すなど予測不能の展開で
音楽による世界一周を実現させた好企画盤!
EX 251-2 \2180
ギターとピアノのための新しい音楽 ――
クラウス・オーベルマイアー&ロベルト・スポール:
ボックス・ミュージック、ガッファ、デライ
トム・ジョンソン:ラショナル・メロディーズIII&IV
クラウス・オーベルマイアー:コーズ
ジョン・ケージ:2声のためのソナタ
クラウス・オーベルマイアー(ギター)、
ロベルト・スポール(ピアノ)、
ディトマール・ヴィスナー(フルート)
<M&A>
M&ACD1187 12枚組 \15800
プラド・カザルス・フェスティヴァル・ライヴ第2集
収録内容(全てモノラル録音)
CD1=メニューイン(Vn)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調(1956年7月7日)
バッハ:パルティータ第2番ニ短調(1955年7月9日)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調(1955年7月8日)
CD2=メニューイン(Vn)、カザルス(チェロ)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調(1955年7月8日)、
バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番(1955年7月2日)、
バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番(1956年7月3日)
CD3=ゼルキン(P)、ケンプ(P)*
バッハ:イタリア協奏曲(1956年7月11日)、
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番(1954年6月20日)、
シューマン:交響的練習曲(1956年7月12日)、
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番(ケンプ、1959年7月15日)
CD4=ホルショフスキ(P)
バッハ:平均律より前奏曲とフーガ第14,15,24,17番(1956年7月17日)
モーツァルト:幻想曲(1962年8月1日)、ソナタハ短調(1962年8月1日)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番ハ短調(1954年6月9日)
CD5=ホルショフスキ(P)
シューマン:クライスレリアーナ(1962年8月1日)、
ブラームス:幻想曲作品116(1958年7月11日)、
モーツァルト:
ヴァイオリン・ソナタ第32番(Vn=メニューイン1956年7月7日)、
カザルス:鳥の歌(Vc=カザルス、1956年7月18日)
CD6
シューベルト:
六つの歌曲(Soprano=ロス・アン・ヘレスP=ホルショフスキ、Vc=カザルス
1956年7月8日)、
ブラームス:
チェロ・ソナタ第1番(Vc=カザルス、P=ホルショフスキ 1958年7月19日)、
ベートーヴェン:
ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」(Vn=フェラス、P=ケンプ
1959年7月15日)
CD7
モーツァルト:
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのためのディヴェルティメント(Vn=ヨゼ
フ・フックス、Va=リリアン・フックス、Vc=トルトウリエ 1953年6月16日)
メンデルスゾーン:
ピアノ・トリオ第2番(Vn=フェラス、Vc=カザルス、P=ケンプ 1959年7月15日)
CD8=ヴェーグSQ
モーツァルト:
弦楽五重奏曲ト短調(Va=ウォールフィッシュ 1956年7月11日?)、
ブラームス:弦楽四重奏曲作品51
CD9
バッハ:
カンタータとミサ曲の抜粋(バッハ・アリア・グループ=スティーバー、
スミス、ピアース、ファロウ他)
CD10=カザルス指揮祝祭管
バッハ:
結婚カンタータ「今ぞ去れ、悲しみの影よ」(Soprano=シュターダー
1953年6月19日)、
バッハブランデンブルク協奏曲第3番(1953年6月19日)、
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第4番(1953年6月24日)、
モーツァルト:
「どうしてあなたが忘れられましょう」(Soprano=ロス・アン・ヘレス、
コレギウム・ムジクム・ロンドン1959年7月9日)、
モーツァルト:ディヴェルティメントニ短調(ヴェーグ室内管)
CD11=カザルス指揮祝祭管+
ホルショフスキ(P)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番(1953年6月24日)、
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番(1959年7月9日)
CD12=カザルス指揮
モーツァルト:
協奏交響曲(Vn=ヨゼフ・フックス、Va=リリアン・フックス+祝祭管
1953年7月19日)、
ベートーヴェン:交響曲第4番(コレギウム・ムジクム・ロンドン
1959年7月8日)
<DELTA CLASSICS>
DCCA-0024 \2575
1チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
2.チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」(*)
(1869年オリジナル版)
日本初演、国内初録音(*)
曽我大介(指揮)
東京ニューシティ管弦楽団
「劇的なドラマを生み出し、形式の異なった音楽に個性を与える能力を持って
いる」-コンドラシンコンクール優勝時の審査員のコメント
というように、曽我の指揮には人々を魅了する何かがある。それは、技術的
なものだけではなく心に訴えかける音楽を作り出す才能が本質的にあるとい
う事でもある。
チャイコフスキー「悲愴」終演後、東京ニューシティ管事務局には電話やメー
ルなどで「悲愴」の演奏についての賛辞が多く寄せられたというから、会場の
お客さんの感動は最高潮だったのであろうそれを証明するのは、「悲愴」3楽
章である。「悲愴」の中でも一番の盛り上がりを見せるこの楽章極稀に3楽章
終了後にぱらぱらと拍手が入る事はあるが、会場全体で大拍手が巻き起こるの
はあまりなく、この大拍手こそ会場全体が曽我の演奏に酔いしれた証拠といえ
よう。
曽我は様々なコンクールに優勝・入賞をする実力者であり、ヨーロッパ(主に
ルーマニアなど)で活躍しているが、国内では2001年から2003年末まで大阪シ
ンフォニカーの音楽監督を勤め、その就任は日本で一番若い音楽監督として注
目を浴び、プログラムも曽我らしい内容でシンフォニカーとのコンビで関西楽
壇を席巻した。今年4月に東京ニューシティ管の首席指揮者に就任、東京圏で
も彼の演奏を聞く機会が増えた事は喜ばしい事でもあり、意外にも純クラシッ
ク作品のアルバムは、今回が初であり大変意欲的な内容である。
「悲愴」のカップリングに選ばれたのが「ロメオとジュリエット」であるが、
今回収録したのは普段私たちが慣れ親しんでる「ロメジュリ」ではなく、チャ
イコフスキー若書きの1869年の初版(オリジナル版)である。
このオリジナル版はコンサートでの演奏も珍しいが、録音も珍しく僅か一種類
しか録音がなくこの曽我盤が一番入手しやすい盤かもしれない。曲を比較する
と、違いが多い事にまず驚かされる。出だしからすでに違う。中間部で現行版
にも使われているメロディーが顔を出すが、その後の展開も大きく違い、終わ
り近くにティンパニーのソロが入っているなど、かなりチャイコフスキーとし
ては試行錯誤したようであり曲の完成度では現行版に譲るとしても、チャイコ
フスキー独特の管弦楽法が味わえる曲であることは確かである。
曽我大介と聞いてあまり「ピン」とこない方には「題名のない音楽会21」であ
の青島広志氏とたびたび共演しているのでTVなどで見たこともある方も多いの
では?青島氏と、のりつっこみができる、唯一の指揮者かもしれない(?)
<日本フィルハーモニー交響楽団>
JPCD-1007 \2100
モーツァルト:
フィガロの結婚序曲(18,Oct,98)
魔笛序曲(26,May,92)
アイネ・クライネ・ナハトムジーク(18,Aug,91)
交響曲39番より3,4楽章(27July,2000)
交響曲40番より1楽章(24,June,94)
交響曲41番より1,3,4楽章(13July,97)
ディヴェルティメントK.136より3楽章
オッコ・カム(フィガロ)
広上淳一(魔笛、アイネ・クライネ、交響曲41番)
山下一史(交響曲40番)
ルカーチ・エルヴィン(交響曲39番、ディヴェルティメント)
今年50周年を迎えた日本フィル。4月には毎年恒例となっている自主制作盤
の新譜をご案内したばかりだが、今年はメモリアル・イヤーということで間
髪いれずに異例の速さで新譜をしかも2タイトル発表してきた。
まずは今年生誕250年で注目されているモーツァルトの名曲を集めた名演集。
この曲目からすれば2枚組みにはなろうかという内容だが、より多くの人に
モーツァルトの名曲を聴いてもらいたいという配慮だろうか、美味しいとこ
ろをぎゅっと詰めた日本フィル自主制作ならではの企画で商業ベースを意識
していたらとても真似のできない事である。
日本フィルに保管されている膨大な音源から、それぞれ一つ一つ吟味しただ
上手いという演奏ではなく、少し傷があってもより熱演のものだったり、指
揮者とオケそして会場が一体となってる演奏だったり音源を選択したスタッ
フはかなり厳しい目で選んだだけあり、どの演奏も秀逸で単なる自主盤の枠
を超えて50年間日本フィルが発信し続けているテーマがこの一枚に凝縮され
ている。これは必聴!
JPCD-1008 \2300
1.メンデルスゾーン:結婚行進曲、
2.ヴェルディ:アイーダより凱旋行進曲、
3.ボロディン:イーゴリ公よりだったん人の踊り、
4.チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギンよりポロネーズ。
5.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
6.チャイコフスキー:白鳥の湖よりワルツ、
7.チャイコフスキー:眠りの森の美女よりワルツ、
8.チャウコフスキー:くるみ割り人形より花のワルツ、
9.ストラヴィンスキー:火の鳥1919年版全曲
下野竜也(1)、飯森泰次郎(2)、小林研一郎(3、5、8)、渡邊暁雄(6)
オッコ・カム(7)ルカーチ・エルヴィン(4、9)
最近のオムニバス盤の主流は、フェードアウトしてでも収録曲が多くかつ、
値段もお手頃という物がクラシック初心者には買いやすいらしい。
しかし、今から20年前位のレコード全盛期はその様なフェードアウトしてま
で曲数を増やすなど、到底無理だったが一曲まるまる聞く事ができ、それが
初心者の手引書みたいな役割を果たしていた。と言う点では、この管弦楽名
曲集は願ってもない内容である。どの曲も全部を聴き通すのはいくら有名曲
でも初心者では厳しいだろう。しかし、この選曲なら一度はCMなどで聞いた
事はある(火の鳥は?だが)はずなので耳あたりも良いのでは?
演奏はいまさら解説する必要が無いと思われるものばかりで、指揮者も創立
指揮者の渡邊暁雄をはじめ、現音楽監督の小林研一郎、関東・関西で活躍し
ている飯森泰次郎、注目度No.1の下野竜也、そして日本フィルとゆかり深い
オッコ・カムにルカーチ・エルヴィンという面々。どの曲もたっぷり聞かせ
ます。今後も日本フィルの自主制作盤からは目が離せません!
CDGIM 992 \2080
GIMSA 592(SACD-Hybrid) \2850
エリザベス王朝の調べ-タリス・スコラーズ、ウィリアム・バードを歌う
ウィリアム・バード(1542/43-1623):
目覚めていよ/悲しみと不安が/怒りたもうな/導きたまえ、おお主よ/
おお主よ、御身のしもべエリザベスが/マニフィカト(大典礼曲)/4声の
ミサ曲/アヴェ・ヴェルム・コルプス
ピーター・フィリップス(指揮)、タリス・スコラーズ
1973年にピーター・フィリップスによって創設されて以来、世界最高のア・
カペラ・グループとして古楽界に君臨し続けるタリス・スコラーズ。グルー
プ名に冠しているタリスをはじめ、ジョスカン、パレストリーナ、アレグリ、
ビクトリア、グレーロ、そしてバードなどルネサンス時代の作品の演奏への
評価は絶大であり、世界中のファンに大きな感動を与えている。今回の新譜
は、先だってDVD-Videoとしてリリースされた「エリザベス王朝の調べ
(GIMDN 902)」を多くのリクエストに答える形でCD化されたものであり、
イギリスのテュークスベリー大聖堂で行われたコンサートを収めた待望の
1枚なのである!テュークスベリー大聖堂でのウィリアム・バードの作品に
おける演奏の素晴らしさはDVD-Videoで既に証明済みなだけに、ファンにとっ
て嬉しいリリースとなること間違いなし!
<CCn'C>
CCn'C 00702 \2080
アブソリュート・ミックス ――
P・ヒンデミット:小管弦楽のための室内音楽第1番Op.24-1
マイケル・ドアティ(1954-):
デッド・エルヴィス、シング・シング・ジョン・エドガー・フーヴァー
ジェームズ・マクミラン(1959-):...as others see us...
チャールズ・コールマン(1968-):ヤング・ワーズ
コンロン・ナンカロウ(1912-1997):ス
タディ第2番(イヴァ・ミカショフ編曲)
ジョン・アダムズ(1947-):《室内交響曲》より ロードランナー
C・ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲(ベンノ・ザックス編曲)
クリスチャン・ヤルヴィ(指揮)、
アブソリュート・アンサンブル
「CCn'C」の製作統括を行うクリスチャン・ヤルヴィは、その名の通り父は
ネーメ・ヤルヴィでありエストニアの音楽一家ヤルヴィ一族の次男である。
アブソリュート・アンサンブルはクリスチャンが1993年に創設し自ら音楽監
督を務めるアンサンブル。コンサートのライヴを収録した「アブソリュート
・ミックス」にはヒンデミットやドアティ、ナンカロウ、アダムズなど近代
&現代音楽ファンにとって魅惑の面々による作品がズラリと並んでいる。ド
イツ・レコード批評家賞を受賞した「アブソリュート・ミックス」。炸裂す
るクリスチャンのタクトとアブソリュート・アンサンブルのパフォーマンス
は圧巻!
CCn'C 01712 \2080
セレスティアルス ――
ペーテル・ヴァヒ(1955-):
フルートと弦楽オーケストラのための協奏曲ニ長調《Chant Of the
Celestial Lake》
ウルマス・シサスク(1960-):
レオニダス、フルートと弦楽オーケストラのための協奏曲Op.78
マーリカ・ヤルヴィ(フルート)、
クリスチャン・ヤルヴィ(指揮)、タリン室内管弦楽団
マーリカ・ヤルヴィは、パーヴォやクリスチャンと同じくエストニアの巨匠
ネーメ・ヤルヴィを父に持つヤルヴィ一族の女流フルート奏者である。ヴァ
ヒ、シサスクの両人とも現代エストニアを代表する作曲家として様々な作品
を発表している。クリスチャン率いるタリン室内管のサポートを得たマーリ
カのフルートからは迸る感情を存分に聴き取ることが出来るだろう。
CCn'C 02022 \2080
トレイン・ソングス ――
J・ボン・ジョヴィ:ホームバウンド・トレイン
ゲルノット・ウォルフガング:ユーゴスラヴィアン・レイルロード・ソング
トム・ウェイツ:ダウンタウン・トレイン、トレイン・ソング
ミヒャエル・ラダノヴィッチ:
モンドライン、ザ・トレイン・ウィル・ブリング・ハー・バック・トゥー・
ミー、アバウト・トレイン
ビリー・ストレイホーン:A列車で行こう
トーマス・マンデル:トレイン・フロム・オッシア
ジョン・コルトレーン:グランド・セントラル
イアン・アンダーソン:ロコモティフ・ブレス
J・シュトラウス(ラダノヴィッチ編曲):トレイン・デ・プレジール
パット・メセニー:ジャコ
スプリング・ストリング・クヮルテット
Extraplatteのブルー・スモーク・オン・ヨハン・シュトラウス(EX 601-2)
では、シュトラウスとディープ・パープルの作品を組み合わせるという仰天
の演奏を聴かせてくれたスプリング・ストリング・クヮルテット。電車に関
する作品を集めた今回のアルバムでもスプリング・ストリング・クヮルテッ
トの超絶技巧が爆発する!
<Anleut>
A 034 \2180
C・P・E・バッハ:
ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタハ長調WQ.136
同ニ長調WQ.137
チェンバロとヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタ ト短調Wq.88
ローレンツ・デュフトシュミット(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、
ボブ・ファン・アスペレン(チェンバロ)
ヴィオラ・ダ・ガンバの権威デュフシュミットと、オランダを代表する鍵盤
楽器奏者アスペレンの強力タッグによるアルバムが登場!デュフトシュミッ
トはスイスのバーゼル音楽院で学び、25歳という若さでグラーツ音大の客員
教授に就任。同時に2つの音楽祭の芸術監督にも任命され、古楽器アンサン
ブルのアルモニコ・トリビュート・オーストリアの音楽監督としても活躍中。
オランダの生んだ鍵盤楽器、特にチェンバロの重鎮として世界に名高いアス
ペレンの正確なタッチと多彩な表現に満ちた演奏がデュフシュミットのヴィ
オラ・ダ・ガンバを更に際立たせている。ちなみにデュフトシュミットは
今回の録音では、ヤコブ・スタイナー1679年製のヴィオラダ・ガンバを使用
している。
<Extraplatte>
EX 647-2 \2180
ウィーン・クラリネット・コネクション-Cafe Europa ――
F・メンデルスゾーン:《真夏の夜の夢》序曲
H・サルムホッファー:O bijav
P・グレインジャー:岸辺のモリー
A・クケルカ:Czernowitzer Skizzen
H・ヘードル:四重奏曲第2番、Out of Love、Itchy Fingers
F・シューベルト:即興曲第2番
T・タイシンク:Duna Lied
伝承曲:美しきミンカよ
M・カーティス:クレツマー・ウェディング
J・コスマ:枯葉
ウィーン・クラリネット・コネクション
「ウィーン・クラリネット・コネクション」はウィーン・クラリネット界の
巨星、オッテンザマー&シュミードルにクラリネットを学んだヘルムート・
ヘードルを中心に結成されたクラリネット四重奏団。コンサートのライヴを
収録した「Cafe Europa」には、メンデルスゾーンやシューベルトといった
クラシック作品の編曲版からメンバー自作の作品、コスマの「枯葉」など幅
広いレパートリーを収録。楽器を存分に鳴らした重厚なクラリネットの響き
は見事!
EX 662-2 \2180
エグザイル ――
アレクサンドル・ツェムリンスキー(1871-1942):Walzergesange Op.6
エゴン・ヴェレス(1885-1974):
Wie ein Bild Op.3、Lieder der Madchen Op.7a、
Kirschblutenlieder Op.8、Einsamkeit
フランツ・ミトラー(1893-1970):5つの歌
ヴィクトル・ウルバンチチ(1903-1958):
Der Traum、Die Elfe、Lustwandelnd schritt ein Madchen、
O Suse Mutter!、Fruhling、Vision der Schonheit
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897-1957):3つの歌Op.22
ジュディス・コペツキー(ソプラノ)、
ユリア・ティンホフ(ピアノ)
ナチスの台頭によって祖国から逃れなければならなかった作曲家たちの歌曲
を集めた作品集。ウィーンのソプラノ奏者であるジュディス・コペツキーは、
ウィーン・フィルやウィーン国立歌劇場、プラハ国立歌劇場などで活躍し、
プレートル、ギーレン、シルマー、ハーゼルベックなどの指揮者とも共演を
重ねている。
<Pepperland>
PEP 97201 \2180
イェネー・タカーチ(1902-):
小さなソナタOp.51/私のためにOp.76/ちょっと新しいことOp.116
ソナチネお嬢ちゃんOp.118
アイマ・マリア・ラブラ=マック(ピアノ)
エジプトのカイロではアラビア音楽、フィリピンのルソンでは民族音楽の研
究を行うなど音楽学者としての1面を持ち、自らの作品にその特色を反映さ
せるなどしたオーストリアの現代作曲家タカーチのピアノ作品集。ピアノの
ラブラ=マックはフィリピンの女流奏者である。
PEP 03026 \2180
コダーイとハンガリアン・スクール ――
Z・コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲Op.7
ゾルタン・セーケイ(1903-2001):Polyphon et Homophon Op.2
イストヴァン・セレニィ(1904-1972):3つのディアローグ
ヤーノシュ・ジュライ・ガール(1924-):
ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲
クララ・フリーデル(ヴァイオリン)、
クリストフ・パンティロン(チェロ)
ハンガリーの大作曲家コダーイや世界的ヴァイオリニストとして名を馳せた
ゾルタン・セーケイなど、20世紀ハンガリーの音楽家たちによるヴァイオリ
ンとチェロのための二重奏曲を集めた民族色に満ちたアルバム。
EX 550-2 \2180
77分で巡る世界一周-
アンダルシアのガスパチョ/ルーアンのジョン・ダウランド/シャルトル/
ラデッキー行進曲/ソフィアからイスタンブールへ/ヴォルガのポルカ/
冬の城/タンゴ/他 全20曲
トリロジー
2本のヴァイオリンとチェロで世界中の様々なスタイルの音楽を77分に渡っ
て演奏。ラデツキー行進曲のパロディーが飛び出すなど予測不能の展開で
音楽による世界一周を実現させた好企画盤!
EX 251-2 \2180
ギターとピアノのための新しい音楽 ――
クラウス・オーベルマイアー&ロベルト・スポール:
ボックス・ミュージック、ガッファ、デライ
トム・ジョンソン:ラショナル・メロディーズIII&IV
クラウス・オーベルマイアー:コーズ
ジョン・ケージ:2声のためのソナタ
クラウス・オーベルマイアー(ギター)、
ロベルト・スポール(ピアノ)、
ディトマール・ヴィスナー(フルート)
<M&A>
M&ACD1187 12枚組 \15800
プラド・カザルス・フェスティヴァル・ライヴ第2集
収録内容(全てモノラル録音)
CD1=メニューイン(Vn)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調(1956年7月7日)
バッハ:パルティータ第2番ニ短調(1955年7月9日)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番ハ長調(1955年7月8日)
CD2=メニューイン(Vn)、カザルス(チェロ)
バッハ:ヴァイオリン・ソナタ第3番ホ長調(1955年7月8日)、
バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番(1955年7月2日)、
バッハ:無伴奏チェロ組曲第5番(1956年7月3日)
CD3=ゼルキン(P)、ケンプ(P)*
バッハ:イタリア協奏曲(1956年7月11日)、
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番(1954年6月20日)、
シューマン:交響的練習曲(1956年7月12日)、
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番(ケンプ、1959年7月15日)
CD4=ホルショフスキ(P)
バッハ:平均律より前奏曲とフーガ第14,15,24,17番(1956年7月17日)
モーツァルト:幻想曲(1962年8月1日)、ソナタハ短調(1962年8月1日)
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番ハ短調(1954年6月9日)
CD5=ホルショフスキ(P)
シューマン:クライスレリアーナ(1962年8月1日)、
ブラームス:幻想曲作品116(1958年7月11日)、
モーツァルト:
ヴァイオリン・ソナタ第32番(Vn=メニューイン1956年7月7日)、
カザルス:鳥の歌(Vc=カザルス、1956年7月18日)
CD6
シューベルト:
六つの歌曲(Soprano=ロス・アン・ヘレスP=ホルショフスキ、Vc=カザルス
1956年7月8日)、
ブラームス:
チェロ・ソナタ第1番(Vc=カザルス、P=ホルショフスキ 1958年7月19日)、
ベートーヴェン:
ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」(Vn=フェラス、P=ケンプ
1959年7月15日)
CD7
モーツァルト:
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロのためのディヴェルティメント(Vn=ヨゼ
フ・フックス、Va=リリアン・フックス、Vc=トルトウリエ 1953年6月16日)
メンデルスゾーン:
ピアノ・トリオ第2番(Vn=フェラス、Vc=カザルス、P=ケンプ 1959年7月15日)
CD8=ヴェーグSQ
モーツァルト:
弦楽五重奏曲ト短調(Va=ウォールフィッシュ 1956年7月11日?)、
ブラームス:弦楽四重奏曲作品51
CD9
バッハ:
カンタータとミサ曲の抜粋(バッハ・アリア・グループ=スティーバー、
スミス、ピアース、ファロウ他)
CD10=カザルス指揮祝祭管
バッハ:
結婚カンタータ「今ぞ去れ、悲しみの影よ」(Soprano=シュターダー
1953年6月19日)、
バッハブランデンブルク協奏曲第3番(1953年6月19日)、
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第4番(1953年6月24日)、
モーツァルト:
「どうしてあなたが忘れられましょう」(Soprano=ロス・アン・ヘレス、
コレギウム・ムジクム・ロンドン1959年7月9日)、
モーツァルト:ディヴェルティメントニ短調(ヴェーグ室内管)
CD11=カザルス指揮祝祭管+
ホルショフスキ(P)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番(1953年6月24日)、
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番(1959年7月9日)
CD12=カザルス指揮
モーツァルト:
協奏交響曲(Vn=ヨゼフ・フックス、Va=リリアン・フックス+祝祭管
1953年7月19日)、
ベートーヴェン:交響曲第4番(コレギウム・ムジクム・ロンドン
1959年7月8日)
<DELTA CLASSICS>
DCCA-0024 \2575
1チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
2.チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」(*)
(1869年オリジナル版)
日本初演、国内初録音(*)
曽我大介(指揮)
東京ニューシティ管弦楽団
「劇的なドラマを生み出し、形式の異なった音楽に個性を与える能力を持って
いる」-コンドラシンコンクール優勝時の審査員のコメント
というように、曽我の指揮には人々を魅了する何かがある。それは、技術的
なものだけではなく心に訴えかける音楽を作り出す才能が本質的にあるとい
う事でもある。
チャイコフスキー「悲愴」終演後、東京ニューシティ管事務局には電話やメー
ルなどで「悲愴」の演奏についての賛辞が多く寄せられたというから、会場の
お客さんの感動は最高潮だったのであろうそれを証明するのは、「悲愴」3楽
章である。「悲愴」の中でも一番の盛り上がりを見せるこの楽章極稀に3楽章
終了後にぱらぱらと拍手が入る事はあるが、会場全体で大拍手が巻き起こるの
はあまりなく、この大拍手こそ会場全体が曽我の演奏に酔いしれた証拠といえ
よう。
曽我は様々なコンクールに優勝・入賞をする実力者であり、ヨーロッパ(主に
ルーマニアなど)で活躍しているが、国内では2001年から2003年末まで大阪シ
ンフォニカーの音楽監督を勤め、その就任は日本で一番若い音楽監督として注
目を浴び、プログラムも曽我らしい内容でシンフォニカーとのコンビで関西楽
壇を席巻した。今年4月に東京ニューシティ管の首席指揮者に就任、東京圏で
も彼の演奏を聞く機会が増えた事は喜ばしい事でもあり、意外にも純クラシッ
ク作品のアルバムは、今回が初であり大変意欲的な内容である。
「悲愴」のカップリングに選ばれたのが「ロメオとジュリエット」であるが、
今回収録したのは普段私たちが慣れ親しんでる「ロメジュリ」ではなく、チャ
イコフスキー若書きの1869年の初版(オリジナル版)である。
このオリジナル版はコンサートでの演奏も珍しいが、録音も珍しく僅か一種類
しか録音がなくこの曽我盤が一番入手しやすい盤かもしれない。曲を比較する
と、違いが多い事にまず驚かされる。出だしからすでに違う。中間部で現行版
にも使われているメロディーが顔を出すが、その後の展開も大きく違い、終わ
り近くにティンパニーのソロが入っているなど、かなりチャイコフスキーとし
ては試行錯誤したようであり曲の完成度では現行版に譲るとしても、チャイコ
フスキー独特の管弦楽法が味わえる曲であることは確かである。
曽我大介と聞いてあまり「ピン」とこない方には「題名のない音楽会21」であ
の青島広志氏とたびたび共演しているのでTVなどで見たこともある方も多いの
では?青島氏と、のりつっこみができる、唯一の指揮者かもしれない(?)
<日本フィルハーモニー交響楽団>
JPCD-1007 \2100
モーツァルト:
フィガロの結婚序曲(18,Oct,98)
魔笛序曲(26,May,92)
アイネ・クライネ・ナハトムジーク(18,Aug,91)
交響曲39番より3,4楽章(27July,2000)
交響曲40番より1楽章(24,June,94)
交響曲41番より1,3,4楽章(13July,97)
ディヴェルティメントK.136より3楽章
オッコ・カム(フィガロ)
広上淳一(魔笛、アイネ・クライネ、交響曲41番)
山下一史(交響曲40番)
ルカーチ・エルヴィン(交響曲39番、ディヴェルティメント)
今年50周年を迎えた日本フィル。4月には毎年恒例となっている自主制作盤
の新譜をご案内したばかりだが、今年はメモリアル・イヤーということで間
髪いれずに異例の速さで新譜をしかも2タイトル発表してきた。
まずは今年生誕250年で注目されているモーツァルトの名曲を集めた名演集。
この曲目からすれば2枚組みにはなろうかという内容だが、より多くの人に
モーツァルトの名曲を聴いてもらいたいという配慮だろうか、美味しいとこ
ろをぎゅっと詰めた日本フィル自主制作ならではの企画で商業ベースを意識
していたらとても真似のできない事である。
日本フィルに保管されている膨大な音源から、それぞれ一つ一つ吟味しただ
上手いという演奏ではなく、少し傷があってもより熱演のものだったり、指
揮者とオケそして会場が一体となってる演奏だったり音源を選択したスタッ
フはかなり厳しい目で選んだだけあり、どの演奏も秀逸で単なる自主盤の枠
を超えて50年間日本フィルが発信し続けているテーマがこの一枚に凝縮され
ている。これは必聴!
JPCD-1008 \2300
1.メンデルスゾーン:結婚行進曲、
2.ヴェルディ:アイーダより凱旋行進曲、
3.ボロディン:イーゴリ公よりだったん人の踊り、
4.チャイコフスキー:エフゲニー・オネーギンよりポロネーズ。
5.ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
6.チャイコフスキー:白鳥の湖よりワルツ、
7.チャイコフスキー:眠りの森の美女よりワルツ、
8.チャウコフスキー:くるみ割り人形より花のワルツ、
9.ストラヴィンスキー:火の鳥1919年版全曲
下野竜也(1)、飯森泰次郎(2)、小林研一郎(3、5、8)、渡邊暁雄(6)
オッコ・カム(7)ルカーチ・エルヴィン(4、9)
最近のオムニバス盤の主流は、フェードアウトしてでも収録曲が多くかつ、
値段もお手頃という物がクラシック初心者には買いやすいらしい。
しかし、今から20年前位のレコード全盛期はその様なフェードアウトしてま
で曲数を増やすなど、到底無理だったが一曲まるまる聞く事ができ、それが
初心者の手引書みたいな役割を果たしていた。と言う点では、この管弦楽名
曲集は願ってもない内容である。どの曲も全部を聴き通すのはいくら有名曲
でも初心者では厳しいだろう。しかし、この選曲なら一度はCMなどで聞いた
事はある(火の鳥は?だが)はずなので耳あたりも良いのでは?
演奏はいまさら解説する必要が無いと思われるものばかりで、指揮者も創立
指揮者の渡邊暁雄をはじめ、現音楽監督の小林研一郎、関東・関西で活躍し
ている飯森泰次郎、注目度No.1の下野竜也、そして日本フィルとゆかり深い
オッコ・カムにルカーチ・エルヴィンという面々。どの曲もたっぷり聞かせ
ます。今後も日本フィルの自主制作盤からは目が離せません!