<Ondine>
ODE 1099(SACD-Hybrid) \2300
ベートーヴェン:
ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15、ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19
オッリ・ムストネン(P、指) タピオラ・シンフォニエッタ
[カデンツァ (第1番) ムストネン]
ピアニストで作曲家。オッリ・ムストネンは、ベートーヴェンをはじめとする
スタンダードなレパートリーの作品を斬新な、音楽の構成を見通したアプロー
チにより聴かせることで知られます。「そこにあることを他のピアニストが知
らなかった、表現の障壁。それを突破した、ピアニズムの正夢」 サンデー・
タイムズはムストネンの音楽をこう讃えました。そのムストネンと、彼が共演
を重ねてきたタピオラ・シンフォニエッタがベートーヴェンのピアノ協奏曲を
録音するシリーズが始まります。5曲のピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲の
ピアノ版。シリーズ第1作は、1795年、ベートーヴェンがピアニストとしてウィ
ーンでコンサート・デビューするために作曲した第2番、そして、その3年後プ
ラハで演奏した第1番。微笑み、優雅なベートーヴェンが人気の2作品です。
第1番のカデンツァはムストネン自身の作曲。
ODE 1102 \2080
A Due (ア・ドゥエ) - クラリネットとチェロのための現代二重奏曲集
ユッカ・ティエンスー:(1948-)Plus II (プラス II) (1992)
オッリ・コルテカンガス:
(1955-)Iscrizione (イスクリツィオーネ) (登録、記録) (1990)
カイヤ・サーリアホ:(1952-)おお、月よ (Oi Kuu) (1990)
マグヌス・リンドベリ:
(1958-)Steamboat Bill Junior (キートンの蒸気船) (1990)
ウスコ・メリライネン:(1930-2004)Unes (ウネス) (1990)
エルッキ・ヨキネン:(1941-)Pros (プロス) (1990)
エーリク・ベリマン:(1911-2006)カランッシ (Karanssi) 作品114 (1990)
タパニ・ランシオ:
(1953-)A Due (ア・ドゥエ)(1991) (バスクラリネットとチェロのための)
パーヴォ・ヘイニネン:(1938-)Short I (ショート I) 作品58 (1990)
キンモ・ハコラ:(1958-)Capriole (カプリオール) (1991)
カリ・クリーク(Cl、BassCl) アンッシ・カルットゥネン(Vc)
録音:1992年-2005年 フィンランド放送 (YLE) スタジオM2]
[制作:ヘイッキ・ヴァルスタ/録音;ペンッティ・マンニッコ]
フィンランドを代表するミュージシャンふたり、クラリネットのカリ・クリー
ク(1960-) とチェロのアンッシ・カルットゥネン1960-) のデュオ。音楽以外
の文化にモデルを求めるとすれば、バレエのパ・ド・ドゥ、情熱のタンゴを踊
るカップル、息のあったゲームを展開するテニスのペア。サイレント映画の
ファンは、コメディ・コンビのローレル&ハーディを思い出すかもしれません。
クラシカル音楽にはめずらしいクラリネットとチェロのデュオのためクリーク
とカルットゥネンは、ベリマン、ヘイニネン、マグヌス・リンドベリ、サーリ
アホ、ハコラら20世紀フィンランドの作曲家たちに作品を委嘱。新しい奏法の
アイデアも提案しました。デュオの聴かせる小品はウィットに富み、ユニーク
です。
バスター・キートンの喜劇映画「キートンの蒸気船」にちなむマグヌス・リン
ドベリの曲は、グレゴリー・バレットとヘレン・リンデーンが録音していまし
た(ABCD126)。パーヴォ・ヘイニネンの〈Short I〉は、独奏クラリネットのた
めの作品58a (グレゴリー・バレットが録音) と独奏チェロのための作品58bを
一緒に演奏するという、作曲者のオプション指示に従って演奏されています
(作品58)。
<Alba>
ABCD 236 \2080
ユッカ・リンコラ(1955-):ミュージカル「ホテル・アストリア」
マルッティ・ペイッポ (指) ラハティ市立劇場管弦楽団・合唱団
ピルヨ・アイットンマキ、ニナ・タピオ、アリ=マッティ・ヘードマン、
パーヴォ・ホンキマキ、ヤリ・レッパネン、カリ・マッティラ
録音:2005年 オリマッティラ・インスティテュート
(ラハティ、フィンランド)
[制作:ティピ・トゥオヴィネン/録音:ペッカ・ミッコラ/
歌詞:フィンランド語]
現代のブダペスト。ホテル・アストリアのカフェで男と女が出逢う。ドイツ人
警察官トムと博物館に務めるヘレナ。舞台は変わり第二次世界大戦時、ドイツ
占領下のブダペスト。ホテル・アストリアの玄関から入ってくるナチの将校た
ち。裏口では、極秘のメッセージがレジスタンスの手に渡される。恋に落ちた
アンナとヘルマン……。詩人ユッカ・イトコネンの台本に、ジャズ・ミュージ
シャンからスタートしたユッカ・リンコラが音楽を書きました。《アカシアの
木立ち》のもの悲しくノスタルジックな歌からミュージカルは始まります。
ピルヨ・アイットンマキ、ニナ・タピオ、アリ=マッティ・ヘードマン。フィ
ンランドで上演された「レ・ミゼラブル」「アスペクツ・オブ・ラブ」「グリ
ース」などで主役を歌った歌手と俳優たちです。フィンランドのミュージカル!
ABCD 237 \2080
エストニア宗教的民俗コラールとオケゲムのミサ曲
マルゴ・コラル(T、指) ヘイナヴァンケル
録音:2002年-2006年 フィンランド、デンマーク、ドイツの教会
[制作:オレヴ・ポル/録音:マルゴ・コラル]
キリスト教黎明期のエストニアで書かれた宗教的民謡とコラールはエストニア
音楽のルーツのひとつ。ルター派賛美歌集を主なテクストとする作者不詳の歌
が、口伝により受け継がれてきました。このアルバムでは7曲が、即興を交えた
編曲により歌われます。伝承のコラールの合間にオケゲム(c.1410-1497) のミ
サ曲の4章をはさみ、最後に歌うのが〈天地創造〉。キリスト教が伝わる以前
に作られた歌です。マルゴ・コラルが音楽監督を務めるヘイナヴァンケルは、
古い教会音楽をレパートリーとするエストニアのヴォーカルアンサンブル。
高度の技巧を求められる曲を立体感のある音楽として聞かせます。グループ名
の元になったのは、ネーデルランドの画家、ヒエロニムス・ボス(1450?-1516)
の代表作のひとつ、「干し草車」。俗世を押しつぶす大きな干し草車。祈り
を捧げる天使と二枚舌の悪魔。そばで奏でられる美しい音楽。ボスの寓意的
絵画の今日性と、ヘイナヴァンケルの時を超えた音楽表現には共通するとこ
ろがありそうです。
<Simax>
PSC 1297 \2280
クロード・ドビュッシー:独奏ピアノ作品全集 第3集
ボヘミア舞曲、マズルカ、2つのアラベスク、夢想、ロマンティックなワルツ、
ベルガマスク組曲、バラード、舞曲、夜想曲、ピアノのために
ホーコン・アウストボー(P)
録音:2006年2月21日-23日 ソフィエンベルグ教会 (オスロ)
[制作:ホーコン・アウストボー、ジェフ・マイルズ、
録音:ジェフ・マイルズ]
ノルウェーのピアニスト、ホーコン・アウストボー(1948-) によるドビュッシ
ーの独奏ピアノ作品シリーズ。アウストボーが録音したドビュッシーは、欧米
では現代ドビュッシー演奏のスタンダードのひとつに挙げられています。シリ
ーズ最後の第3集は、1880年の〈ボヘミア舞曲〉に始まり、〈2つのアラベスク〉
と〈ベルガマスク組曲〉を経て、〈ピアノのために〉で終わるプログラム。
若いドビュッシーが自分の音楽語法を大きく展開させ始めた時代の作品から構
成されています。知的、抑制の効いたアウストボーの演奏。空間の中をさまざ
まに拡散するピアノの響き。録音セッションはこれまでと同じオスロのソフィ
エンベルグ教会で行われ、ジェフ・マイルズが引きつづき共同制作と録音を担
当しました。「アウストボーは、ドビュッシーの輝かしい姿をひとつ示してい
る」。Classics Today France が第2集に寄せた賛辞はそのまま、この第3集に
も与えられるでしょう。
<Pro Musica>
PPC 9059 \2280
Chromos - フルートのための現代ノルウェー作品集
ヨースタイン・スタールハイム(1960-):
ヒドゥン・ミュージック(2003)(フルートとピアノのための)
イーヴァル・ルンネ・ジュニア(1944-):
クロモス(1999) (フルートとピアノのための)
エドヴァルド・ハーゲルプ・ブル(1922-):
バガテル(1999) (フルートとピアノのための)
ウーラヴ・ベルグ(1949-):モーメンツ(1982) (フルート独奏のための)
クヌート・ヴォーゲ(1961-):
フォルトゥナ(1996 rev.2003) (フルートとピアノのための)
グルー・サンヴィーク(Fl) アイナル・ロッティンゲン(P)
録音:2005年4月18日-21日 エドヴァルド・グリーグ博物館トロルホール
(ベルゲン)
[制作:リカルド・オドリオソーラ/録音:グンナル・ヘルライフ・ニルセン]
「少数とはいえ、特徴のある声をもった卓越した作曲家は、どの世代にもいる。
彼らは、伝統に根ざした音楽を書きながらも、"他者" を感じさせ、すばらし
く独創的な響きの音楽を生むことのできる強い表現力をもつ」 (リカルド・
オドリオソーラ) (PPC9059 ブックレットから)。オドリオソーラ(1965-) は
スペイン生まれの作曲家。ノルウェーのベルゲンに住み、ヴァイオリニスト
(ハンサ四重奏団)、プロデューサーとしても活躍しています。オドリオソー
ラが制作したアルバム。ベルゲン・フィルハーモニックの首席フルート奏者
だったグルー・サンヴィークとベルゲン大学グリーグ・アカデミーでも教え
るピアニスト、アイナル・ロッティンゲンのため、オドリオソーラは、"特徴
のある声をもった" 5人の作品を選びました。"聴きなれた音楽、未知の音楽"
がアルバムのモットーです。作曲者5人には、それぞれが優れた演奏家という
共通点があります。ヨースタイン・スタールハイム (1960-) はアコーディオ
ン奏者。イーヴァル・ルンネ・ジュニア(1944-) はオーボエ奏者としてノル
ウェー国立オペラで演奏していました。エドヴァルド・ハーゲルプ・ブル
(1922-)はピアニスト、オルガニスト。トランペット奏者のウーラヴ・ベルグ
(1949-) もオーケストラでの演奏経験があり、クヌート・ヴォーゲ(1961-)
はジャズピアニストとしてキャリアを始めました。制作者、作曲者、演奏者。
"演奏" を共有する人たちの創る音楽。"隠れた音楽" -- スタールハイムの
作品のタイトルが象徴的です。
<dB Productions>
DBCD 106 \2180
シェイクスピアを音楽で
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):
3つのシェイクスピアの歌、水底深く父は眠る、雲をいただく塔、
丘を越えて、谷を越え
スヴェン=エーリク・ユーハンソン(1919-1997):
浮気心、混声合唱とピアノのための第1集・第2集、シルヴィア、
緑の森の木陰で、吹けよ 吹け 冬の風、浮気心、おお わが愛しの人よ、
恋する者らは春を愛す、冬、挽歌、聴け 聴け ひばり
フランク・マルタン(1890-1974):
エアリエルの5つの歌(1950)-「テンペスト」 から、おいで 黄色の砂浜に、
水底深く父は眠る、「さあ行け」とあって息をつき、お前たち三人は罪人だ、
蜜蜂が吸う蜜を吸い
フランツ・シューベルト(1797-1828):
シルヴィアに D891(ラグナル・ブーリーン編)
ニルス・リンドベリ(1933-):みを夏の一日にくらべたらどうだろう
フランツ・シューベルト(1797-1828):
シルヴィアに D891(ラグナル・ブーリーン編)
ニルス・リンドベリ(1933-):みを夏の一日にくらべたらどうだろう
ラグナル・ブーリーン(指) ユーハン・ウッレーン(P)
マリア・マグダレーナ・モテット合唱団 アンニカ・ヒゥダーク(A)
録音:2004年10月 オステルハニンゲ教会
[制作・録音:ラガン・ビュヴァーク]
シェイクスピアの劇中歌とソネットをテクストとする混声合唱曲集。シュー
ベルトの歌曲〈シルヴィアに〉は指揮者みずから編曲。ジャズミュージシャ
ンで作曲家のニルス・リンドベリ(1933-) が、シェイクスピアからひとりの
青年への愛のソネットに曲をつけた《きみを夏の一日にくらべたらどうだろ
う》は、エリザベス朝の詩による曲集〈おおわが愛しの人よ〉の1曲です。
マリア・マグダレーナ・モテット合唱団は、1995年に設立されたストックホ
ルムの混声合唱団。王立音楽アカデミーの出身、エーリク・エーリクソンに
も学んだラグナル・ブーリーン(1965-) とともに、バッハの受難曲、ブラー
ムスとヴェルディのレクイエム、現代のアカペラ合唱曲などをレパートリー
として活動をつづけています。
<Anthonello Mode>
AMOE 10004 \2450
天正遣欧使節の音楽/アントネッロ
【プロログ】[1]パッサメッツォ上の五木の子守唄[2]漆黒の南蛮履
[3]とりこてあ(アロンソ)[4]夜は暗うて[5]こんけららばれ
【出航】[6]牛飼いとお針箱
【国王フェリペ 2 世謁見】[7]いと甘き覚え》(カベソン)
[8]あめまりあ(ゲレーロ)[9]川内の子守唄[10]ファンタシア(カレイラ)
【舞踏会】[11]花の舞-[12]スパニョレッタ(カローゾ)
【伊東マンショの郷愁】[13]日向木挽唄
【ローマにて】[14]馬上にて[15]らおだて[16]そなたはさながら清らなり
(バッサーノ)[17]でんでれん[18]天主のサントスは来たりて
(サカラメンタ提要)
【関白秀吉謁見】[19]-[20]こんけららばれ(カレイラ/ナルバエス)
【中浦ジュリアンの回想】[21]中浦手毬唄 [22]いと甘き覚え(オルティス)
[23]誰人が幸いなるか存じてをる(ヴェッキ)
[24]ろどりごまるちねす殿(作者不詳)
【中浦ジュリアンの殉教】[25]らだにあす [26]こんけららばれ
[27]パライゾに
アントネッロ - 濱田芳通(音楽監督/コルネタ/フラウタ)
石川かおり(ビオラ・ダルコ) 西山まりえ(アルパ/クラボ)
春日保人(歌/篠笛/一節切) 花井尚美、藤沢エリカ、岡庭弥生(歌)
わだみつひろ(タンボール) 矢野薫(クラボ)
【賛助、及び特別出演】三浦一雄、皆川達夫、大平紀之、ケント・ラフ、
鈴木克精、細川大介(歌) 中村孝志(トロンベタ)
録音:2007年3月27-28日東京・関口台スタジオ/24bit 96KHz
世界的なリコーダー&コルネット奏者、濱田芳通が10年以上構想を練りあげた
企画がついに音盤上に実現!キリスト教が伝来してから秀吉がバテレン追放令
を発するまでの数十年間は、日本人が西洋音楽に接した最初の時代であり、こ
の時期に根付いた音楽の影響は、今日想像するよりも遥かに大きかったと考え
られます。今日に至るまで日本人の精神に根付いたこの時代の音楽を、天正遣
欧使節の歩みを通じて多角的に検証する大企画です。
天正使節の生い立ちを描くプロログからはじまり、ヨーロッパでの謁見(スペ
イン国王フェリペ二世、ローマ教皇グレゴリオ13世)、関白秀吉の御前演奏の
再現と続き、フィナーレではキリシタン禁止令後も地下に潜伏して布教を続け
た中浦ジュリアンの悲劇的な最期(10ヶ月の投獄の後、穴吊りの刑に処せられ
死亡)までを音楽として描いています。アントネッロのリーダー濱田芳通は、
足かけ10年以上、現在まで残っている記録・資料を可能な限り参照した上、こ
の時代の作品を通り一遍に再現するのではなく、独自のアレンジを施して、こ
の時代に天正使節によってもたらされた西洋音楽の影響が、21世紀のわれわれ
現代人にまで及んでいることを知らしめるべく精魂を傾けた渾身の一枚。
とにかく聴き所満載のこのアルバムですが、フィナーレ「中浦ジュリアンの殉
教」は、マタイ受難曲の逮捕=裁判のシーンにも匹敵するといってもいいほど
の感動的な音楽。司祭と信者たちによる重厚な応答からはじまり、やがて声が
減っていき、(キリスト教の迫害によりどんどん信者が減っていく様子を表現
している。)ついに呼応者が誰もいなくなる…。それは隠れキリシタンの時代
となったことを表現し、ここで日本人先唱者として一節歌うのは「洋楽渡来
考」で知られる皆川達夫氏(立教大学名誉教授)。最後のアンティフォナ《ぱ
らいぞに》は、皆が天国へ行きますように…という願いが込められています。
今回もジャケット・アートワークはさそうあきら氏(漫画家-現在公開中の映
画「神童」の原作者)によるもの。西洋絵画をあしらったありがちな古楽ジャ
ケットとは一線を画するものに仕上がっています。
*アントネッロは目白バ・ロック音楽祭(6月1日-6月24日)に主要キャストと
して出演します。
<ORFEO>
ORFEO 693071 \2250
J.S.バッハ:
3つのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ
第1番 ト長調 BWV 1027、第2番 ニ長調 BWV 1028、第3番ト短調 BWV 1029
C.P.E.バッハ:
ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ニ長調 H 559
ダニエル・ミュラー=ショット(Vc)
アンジェラ・ヒューヒット(P)
録音:2006年7月18-21日
若手注目NO.1チェリスト、ダニエル・ミュラー=ショットと当代随一のバッハ
弾きとしてますます評価が高まっているアンジェラ・ヒューヒットによるバッ
ハ・アルバム。バッハをあれほど弾き込んでいるヒューイットですら、このガ
ンバ・ソナタを録音し新たなバッハを発見したというほど、この3つのソナタ
はバッハの他の作品と異なる風合いが展開されます。また重要となるのがここ
で演奏されている楽器ですが、ダニエル・ミュラー=ショットが愛用している
名器1727年製マッテオ・ゴッフリラーとヒューイットが好んで使用している
ファツィオーリはともにヴェネツィア出身。音色の柔らかさはこの2つの組み
合わせに勝るものはないでしょう。またカップリングのC.P.E.バッハのソナタ
も旋律の美しさ親しみやすさを強調した作品。そして彼の次のリリースはショ
スタコーヴィッチの協奏曲。
またダニエル・ミュラー=ショットは2007年6月に来日が予定されており、初
の本格的なリサイタルも開かれます。今後の活躍にも大いに期待がかかります。
ODE 1099(SACD-Hybrid) \2300
ベートーヴェン:
ピアノ協奏曲第1番 ハ長調 作品15、ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19
オッリ・ムストネン(P、指) タピオラ・シンフォニエッタ
[カデンツァ (第1番) ムストネン]
ピアニストで作曲家。オッリ・ムストネンは、ベートーヴェンをはじめとする
スタンダードなレパートリーの作品を斬新な、音楽の構成を見通したアプロー
チにより聴かせることで知られます。「そこにあることを他のピアニストが知
らなかった、表現の障壁。それを突破した、ピアニズムの正夢」 サンデー・
タイムズはムストネンの音楽をこう讃えました。そのムストネンと、彼が共演
を重ねてきたタピオラ・シンフォニエッタがベートーヴェンのピアノ協奏曲を
録音するシリーズが始まります。5曲のピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲の
ピアノ版。シリーズ第1作は、1795年、ベートーヴェンがピアニストとしてウィ
ーンでコンサート・デビューするために作曲した第2番、そして、その3年後プ
ラハで演奏した第1番。微笑み、優雅なベートーヴェンが人気の2作品です。
第1番のカデンツァはムストネン自身の作曲。
ODE 1102 \2080
A Due (ア・ドゥエ) - クラリネットとチェロのための現代二重奏曲集
ユッカ・ティエンスー:(1948-)Plus II (プラス II) (1992)
オッリ・コルテカンガス:
(1955-)Iscrizione (イスクリツィオーネ) (登録、記録) (1990)
カイヤ・サーリアホ:(1952-)おお、月よ (Oi Kuu) (1990)
マグヌス・リンドベリ:
(1958-)Steamboat Bill Junior (キートンの蒸気船) (1990)
ウスコ・メリライネン:(1930-2004)Unes (ウネス) (1990)
エルッキ・ヨキネン:(1941-)Pros (プロス) (1990)
エーリク・ベリマン:(1911-2006)カランッシ (Karanssi) 作品114 (1990)
タパニ・ランシオ:
(1953-)A Due (ア・ドゥエ)(1991) (バスクラリネットとチェロのための)
パーヴォ・ヘイニネン:(1938-)Short I (ショート I) 作品58 (1990)
キンモ・ハコラ:(1958-)Capriole (カプリオール) (1991)
カリ・クリーク(Cl、BassCl) アンッシ・カルットゥネン(Vc)
録音:1992年-2005年 フィンランド放送 (YLE) スタジオM2]
[制作:ヘイッキ・ヴァルスタ/録音;ペンッティ・マンニッコ]
フィンランドを代表するミュージシャンふたり、クラリネットのカリ・クリー
ク(1960-) とチェロのアンッシ・カルットゥネン1960-) のデュオ。音楽以外
の文化にモデルを求めるとすれば、バレエのパ・ド・ドゥ、情熱のタンゴを踊
るカップル、息のあったゲームを展開するテニスのペア。サイレント映画の
ファンは、コメディ・コンビのローレル&ハーディを思い出すかもしれません。
クラシカル音楽にはめずらしいクラリネットとチェロのデュオのためクリーク
とカルットゥネンは、ベリマン、ヘイニネン、マグヌス・リンドベリ、サーリ
アホ、ハコラら20世紀フィンランドの作曲家たちに作品を委嘱。新しい奏法の
アイデアも提案しました。デュオの聴かせる小品はウィットに富み、ユニーク
です。
バスター・キートンの喜劇映画「キートンの蒸気船」にちなむマグヌス・リン
ドベリの曲は、グレゴリー・バレットとヘレン・リンデーンが録音していまし
た(ABCD126)。パーヴォ・ヘイニネンの〈Short I〉は、独奏クラリネットのた
めの作品58a (グレゴリー・バレットが録音) と独奏チェロのための作品58bを
一緒に演奏するという、作曲者のオプション指示に従って演奏されています
(作品58)。
<Alba>
ABCD 236 \2080
ユッカ・リンコラ(1955-):ミュージカル「ホテル・アストリア」
マルッティ・ペイッポ (指) ラハティ市立劇場管弦楽団・合唱団
ピルヨ・アイットンマキ、ニナ・タピオ、アリ=マッティ・ヘードマン、
パーヴォ・ホンキマキ、ヤリ・レッパネン、カリ・マッティラ
録音:2005年 オリマッティラ・インスティテュート
(ラハティ、フィンランド)
[制作:ティピ・トゥオヴィネン/録音:ペッカ・ミッコラ/
歌詞:フィンランド語]
現代のブダペスト。ホテル・アストリアのカフェで男と女が出逢う。ドイツ人
警察官トムと博物館に務めるヘレナ。舞台は変わり第二次世界大戦時、ドイツ
占領下のブダペスト。ホテル・アストリアの玄関から入ってくるナチの将校た
ち。裏口では、極秘のメッセージがレジスタンスの手に渡される。恋に落ちた
アンナとヘルマン……。詩人ユッカ・イトコネンの台本に、ジャズ・ミュージ
シャンからスタートしたユッカ・リンコラが音楽を書きました。《アカシアの
木立ち》のもの悲しくノスタルジックな歌からミュージカルは始まります。
ピルヨ・アイットンマキ、ニナ・タピオ、アリ=マッティ・ヘードマン。フィ
ンランドで上演された「レ・ミゼラブル」「アスペクツ・オブ・ラブ」「グリ
ース」などで主役を歌った歌手と俳優たちです。フィンランドのミュージカル!
ABCD 237 \2080
エストニア宗教的民俗コラールとオケゲムのミサ曲
マルゴ・コラル(T、指) ヘイナヴァンケル
録音:2002年-2006年 フィンランド、デンマーク、ドイツの教会
[制作:オレヴ・ポル/録音:マルゴ・コラル]
キリスト教黎明期のエストニアで書かれた宗教的民謡とコラールはエストニア
音楽のルーツのひとつ。ルター派賛美歌集を主なテクストとする作者不詳の歌
が、口伝により受け継がれてきました。このアルバムでは7曲が、即興を交えた
編曲により歌われます。伝承のコラールの合間にオケゲム(c.1410-1497) のミ
サ曲の4章をはさみ、最後に歌うのが〈天地創造〉。キリスト教が伝わる以前
に作られた歌です。マルゴ・コラルが音楽監督を務めるヘイナヴァンケルは、
古い教会音楽をレパートリーとするエストニアのヴォーカルアンサンブル。
高度の技巧を求められる曲を立体感のある音楽として聞かせます。グループ名
の元になったのは、ネーデルランドの画家、ヒエロニムス・ボス(1450?-1516)
の代表作のひとつ、「干し草車」。俗世を押しつぶす大きな干し草車。祈り
を捧げる天使と二枚舌の悪魔。そばで奏でられる美しい音楽。ボスの寓意的
絵画の今日性と、ヘイナヴァンケルの時を超えた音楽表現には共通するとこ
ろがありそうです。
<Simax>
PSC 1297 \2280
クロード・ドビュッシー:独奏ピアノ作品全集 第3集
ボヘミア舞曲、マズルカ、2つのアラベスク、夢想、ロマンティックなワルツ、
ベルガマスク組曲、バラード、舞曲、夜想曲、ピアノのために
ホーコン・アウストボー(P)
録音:2006年2月21日-23日 ソフィエンベルグ教会 (オスロ)
[制作:ホーコン・アウストボー、ジェフ・マイルズ、
録音:ジェフ・マイルズ]
ノルウェーのピアニスト、ホーコン・アウストボー(1948-) によるドビュッシ
ーの独奏ピアノ作品シリーズ。アウストボーが録音したドビュッシーは、欧米
では現代ドビュッシー演奏のスタンダードのひとつに挙げられています。シリ
ーズ最後の第3集は、1880年の〈ボヘミア舞曲〉に始まり、〈2つのアラベスク〉
と〈ベルガマスク組曲〉を経て、〈ピアノのために〉で終わるプログラム。
若いドビュッシーが自分の音楽語法を大きく展開させ始めた時代の作品から構
成されています。知的、抑制の効いたアウストボーの演奏。空間の中をさまざ
まに拡散するピアノの響き。録音セッションはこれまでと同じオスロのソフィ
エンベルグ教会で行われ、ジェフ・マイルズが引きつづき共同制作と録音を担
当しました。「アウストボーは、ドビュッシーの輝かしい姿をひとつ示してい
る」。Classics Today France が第2集に寄せた賛辞はそのまま、この第3集に
も与えられるでしょう。
<Pro Musica>
PPC 9059 \2280
Chromos - フルートのための現代ノルウェー作品集
ヨースタイン・スタールハイム(1960-):
ヒドゥン・ミュージック(2003)(フルートとピアノのための)
イーヴァル・ルンネ・ジュニア(1944-):
クロモス(1999) (フルートとピアノのための)
エドヴァルド・ハーゲルプ・ブル(1922-):
バガテル(1999) (フルートとピアノのための)
ウーラヴ・ベルグ(1949-):モーメンツ(1982) (フルート独奏のための)
クヌート・ヴォーゲ(1961-):
フォルトゥナ(1996 rev.2003) (フルートとピアノのための)
グルー・サンヴィーク(Fl) アイナル・ロッティンゲン(P)
録音:2005年4月18日-21日 エドヴァルド・グリーグ博物館トロルホール
(ベルゲン)
[制作:リカルド・オドリオソーラ/録音:グンナル・ヘルライフ・ニルセン]
「少数とはいえ、特徴のある声をもった卓越した作曲家は、どの世代にもいる。
彼らは、伝統に根ざした音楽を書きながらも、"他者" を感じさせ、すばらし
く独創的な響きの音楽を生むことのできる強い表現力をもつ」 (リカルド・
オドリオソーラ) (PPC9059 ブックレットから)。オドリオソーラ(1965-) は
スペイン生まれの作曲家。ノルウェーのベルゲンに住み、ヴァイオリニスト
(ハンサ四重奏団)、プロデューサーとしても活躍しています。オドリオソー
ラが制作したアルバム。ベルゲン・フィルハーモニックの首席フルート奏者
だったグルー・サンヴィークとベルゲン大学グリーグ・アカデミーでも教え
るピアニスト、アイナル・ロッティンゲンのため、オドリオソーラは、"特徴
のある声をもった" 5人の作品を選びました。"聴きなれた音楽、未知の音楽"
がアルバムのモットーです。作曲者5人には、それぞれが優れた演奏家という
共通点があります。ヨースタイン・スタールハイム (1960-) はアコーディオ
ン奏者。イーヴァル・ルンネ・ジュニア(1944-) はオーボエ奏者としてノル
ウェー国立オペラで演奏していました。エドヴァルド・ハーゲルプ・ブル
(1922-)はピアニスト、オルガニスト。トランペット奏者のウーラヴ・ベルグ
(1949-) もオーケストラでの演奏経験があり、クヌート・ヴォーゲ(1961-)
はジャズピアニストとしてキャリアを始めました。制作者、作曲者、演奏者。
"演奏" を共有する人たちの創る音楽。"隠れた音楽" -- スタールハイムの
作品のタイトルが象徴的です。
<dB Productions>
DBCD 106 \2180
シェイクスピアを音楽で
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958):
3つのシェイクスピアの歌、水底深く父は眠る、雲をいただく塔、
丘を越えて、谷を越え
スヴェン=エーリク・ユーハンソン(1919-1997):
浮気心、混声合唱とピアノのための第1集・第2集、シルヴィア、
緑の森の木陰で、吹けよ 吹け 冬の風、浮気心、おお わが愛しの人よ、
恋する者らは春を愛す、冬、挽歌、聴け 聴け ひばり
フランク・マルタン(1890-1974):
エアリエルの5つの歌(1950)-「テンペスト」 から、おいで 黄色の砂浜に、
水底深く父は眠る、「さあ行け」とあって息をつき、お前たち三人は罪人だ、
蜜蜂が吸う蜜を吸い
フランツ・シューベルト(1797-1828):
シルヴィアに D891(ラグナル・ブーリーン編)
ニルス・リンドベリ(1933-):みを夏の一日にくらべたらどうだろう
フランツ・シューベルト(1797-1828):
シルヴィアに D891(ラグナル・ブーリーン編)
ニルス・リンドベリ(1933-):みを夏の一日にくらべたらどうだろう
ラグナル・ブーリーン(指) ユーハン・ウッレーン(P)
マリア・マグダレーナ・モテット合唱団 アンニカ・ヒゥダーク(A)
録音:2004年10月 オステルハニンゲ教会
[制作・録音:ラガン・ビュヴァーク]
シェイクスピアの劇中歌とソネットをテクストとする混声合唱曲集。シュー
ベルトの歌曲〈シルヴィアに〉は指揮者みずから編曲。ジャズミュージシャ
ンで作曲家のニルス・リンドベリ(1933-) が、シェイクスピアからひとりの
青年への愛のソネットに曲をつけた《きみを夏の一日にくらべたらどうだろ
う》は、エリザベス朝の詩による曲集〈おおわが愛しの人よ〉の1曲です。
マリア・マグダレーナ・モテット合唱団は、1995年に設立されたストックホ
ルムの混声合唱団。王立音楽アカデミーの出身、エーリク・エーリクソンに
も学んだラグナル・ブーリーン(1965-) とともに、バッハの受難曲、ブラー
ムスとヴェルディのレクイエム、現代のアカペラ合唱曲などをレパートリー
として活動をつづけています。
<Anthonello Mode>
AMOE 10004 \2450
天正遣欧使節の音楽/アントネッロ
【プロログ】[1]パッサメッツォ上の五木の子守唄[2]漆黒の南蛮履
[3]とりこてあ(アロンソ)[4]夜は暗うて[5]こんけららばれ
【出航】[6]牛飼いとお針箱
【国王フェリペ 2 世謁見】[7]いと甘き覚え》(カベソン)
[8]あめまりあ(ゲレーロ)[9]川内の子守唄[10]ファンタシア(カレイラ)
【舞踏会】[11]花の舞-[12]スパニョレッタ(カローゾ)
【伊東マンショの郷愁】[13]日向木挽唄
【ローマにて】[14]馬上にて[15]らおだて[16]そなたはさながら清らなり
(バッサーノ)[17]でんでれん[18]天主のサントスは来たりて
(サカラメンタ提要)
【関白秀吉謁見】[19]-[20]こんけららばれ(カレイラ/ナルバエス)
【中浦ジュリアンの回想】[21]中浦手毬唄 [22]いと甘き覚え(オルティス)
[23]誰人が幸いなるか存じてをる(ヴェッキ)
[24]ろどりごまるちねす殿(作者不詳)
【中浦ジュリアンの殉教】[25]らだにあす [26]こんけららばれ
[27]パライゾに
アントネッロ - 濱田芳通(音楽監督/コルネタ/フラウタ)
石川かおり(ビオラ・ダルコ) 西山まりえ(アルパ/クラボ)
春日保人(歌/篠笛/一節切) 花井尚美、藤沢エリカ、岡庭弥生(歌)
わだみつひろ(タンボール) 矢野薫(クラボ)
【賛助、及び特別出演】三浦一雄、皆川達夫、大平紀之、ケント・ラフ、
鈴木克精、細川大介(歌) 中村孝志(トロンベタ)
録音:2007年3月27-28日東京・関口台スタジオ/24bit 96KHz
世界的なリコーダー&コルネット奏者、濱田芳通が10年以上構想を練りあげた
企画がついに音盤上に実現!キリスト教が伝来してから秀吉がバテレン追放令
を発するまでの数十年間は、日本人が西洋音楽に接した最初の時代であり、こ
の時期に根付いた音楽の影響は、今日想像するよりも遥かに大きかったと考え
られます。今日に至るまで日本人の精神に根付いたこの時代の音楽を、天正遣
欧使節の歩みを通じて多角的に検証する大企画です。
天正使節の生い立ちを描くプロログからはじまり、ヨーロッパでの謁見(スペ
イン国王フェリペ二世、ローマ教皇グレゴリオ13世)、関白秀吉の御前演奏の
再現と続き、フィナーレではキリシタン禁止令後も地下に潜伏して布教を続け
た中浦ジュリアンの悲劇的な最期(10ヶ月の投獄の後、穴吊りの刑に処せられ
死亡)までを音楽として描いています。アントネッロのリーダー濱田芳通は、
足かけ10年以上、現在まで残っている記録・資料を可能な限り参照した上、こ
の時代の作品を通り一遍に再現するのではなく、独自のアレンジを施して、こ
の時代に天正使節によってもたらされた西洋音楽の影響が、21世紀のわれわれ
現代人にまで及んでいることを知らしめるべく精魂を傾けた渾身の一枚。
とにかく聴き所満載のこのアルバムですが、フィナーレ「中浦ジュリアンの殉
教」は、マタイ受難曲の逮捕=裁判のシーンにも匹敵するといってもいいほど
の感動的な音楽。司祭と信者たちによる重厚な応答からはじまり、やがて声が
減っていき、(キリスト教の迫害によりどんどん信者が減っていく様子を表現
している。)ついに呼応者が誰もいなくなる…。それは隠れキリシタンの時代
となったことを表現し、ここで日本人先唱者として一節歌うのは「洋楽渡来
考」で知られる皆川達夫氏(立教大学名誉教授)。最後のアンティフォナ《ぱ
らいぞに》は、皆が天国へ行きますように…という願いが込められています。
今回もジャケット・アートワークはさそうあきら氏(漫画家-現在公開中の映
画「神童」の原作者)によるもの。西洋絵画をあしらったありがちな古楽ジャ
ケットとは一線を画するものに仕上がっています。
*アントネッロは目白バ・ロック音楽祭(6月1日-6月24日)に主要キャストと
して出演します。
<ORFEO>
ORFEO 693071 \2250
J.S.バッハ:
3つのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタ
第1番 ト長調 BWV 1027、第2番 ニ長調 BWV 1028、第3番ト短調 BWV 1029
C.P.E.バッハ:
ヴィオラ・ダ・ガンバと通奏低音のためのソナタ ニ長調 H 559
ダニエル・ミュラー=ショット(Vc)
アンジェラ・ヒューヒット(P)
録音:2006年7月18-21日
若手注目NO.1チェリスト、ダニエル・ミュラー=ショットと当代随一のバッハ
弾きとしてますます評価が高まっているアンジェラ・ヒューヒットによるバッ
ハ・アルバム。バッハをあれほど弾き込んでいるヒューイットですら、このガ
ンバ・ソナタを録音し新たなバッハを発見したというほど、この3つのソナタ
はバッハの他の作品と異なる風合いが展開されます。また重要となるのがここ
で演奏されている楽器ですが、ダニエル・ミュラー=ショットが愛用している
名器1727年製マッテオ・ゴッフリラーとヒューイットが好んで使用している
ファツィオーリはともにヴェネツィア出身。音色の柔らかさはこの2つの組み
合わせに勝るものはないでしょう。またカップリングのC.P.E.バッハのソナタ
も旋律の美しさ親しみやすさを強調した作品。そして彼の次のリリースはショ
スタコーヴィッチの協奏曲。
またダニエル・ミュラー=ショットは2007年6月に来日が予定されており、初
の本格的なリサイタルも開かれます。今後の活躍にも大いに期待がかかります。