マーベラスS

King Of Western-Swing!!
歌と食と酒、それに声のページ。

06.4.10  ダンナ、呑ませて頂戴ナ

2006-04-10 15:36:37 | カントリー
エノケン…おいおい、益々Western Swingと離れていくではないか…いや、てめぇの中では繋がっておる。エノケンのベースにあるのはJazzであり、その前に浅草オペラだ。バイオリンを爪弾きながら譜面を読み、楽団に指示する音楽的才もあった。なにせ、Milton Brown、Bob Willsとほぼ同い年である。

テレビ的には「♪渡辺のジュースの素です、もう一杯…」であり、「♪ウチ~のテレビにゃ色がない、隣りのテレビにゃ色がある…」昭和30年代、鶏郎メロディと共に街に流れるエノケンの歌声はどこか時代と合っていたのかもしれない。明るいのだけど、どこかペーソスが混じった、ロバのパン屋の歌みたいなそんな手触り。大人がみんな笑い転げたという映画も、パッとした華やかさよりどこか暗さが目に付いてしまって、心底笑えない。それが僕にとってのエノケン、榎本健一だった。(でも彼に「赤とんぼ」や「船頭小唄」を歌わせるのは唾棄すべきセンスだ)

だけど、歌は独壇場のうまさ!ダミ声でフラット気味だが、あのセリフのように歌う技術は歌い手には真似できない。いわばサッチモだ。歌の中でクスッと笑ったり、ちょいと隙間に捨て台詞を入れたりするのは存外難しい。実にエノケンの生まれ持つリズム感のなせる業だと思う。詩もいい。浅草カジノフォーリー時代からの仲間、サトウハチローの描いた「ダイナ」、堀口敬三訳詞の「私の青空」、二村定一との「エロ双紙」…。

ずいぶん昔、京橋のフィルムセンターで「エノケンの孫悟空(監督山本嘉次郎、昭15)」をやるってんで詰め掛けた観客の中には、色川武大、小林信彦、和田誠、筒井康隆の顔もあった。みんながニコニコと銀幕を見つめた幸せな時間。エノケンに孫悟空ほどのはまり役はない。香取慎吾ぶっ飛ぶぜ。猪八戒の岸井明もデブぶりがよかった。アノネのおっさん怪優、高瀬実との忍法合戦は見ものだった。その時に覚えた主題歌・・・

   空とび 土もぐり 水をくぐれるのは
   自慢ぢゃないけれど このオイラだけだ
   どんな時でも オイラ三人 
   力合わせりゃ なんでもない
   俺たちゃ世界で 一番強いんだぞ

 (原曲は空中ブランコの歌、そこもまたふるっている)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする