褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 愛の風景(1992) ベルイマンらいしい、家庭の崩壊と再生を描く

2010年06月28日 | 映画(あ行)
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 現在南アフリカ共和国でのサッカーW杯もいよいよ佳境に入っている我らが日本代表の予想外の活躍もあり熱戦が続いている
 そんな南アフリカ共和国を語る上で、重要な人物が南アフリカにおける世界史上最も最悪なアパルト政策を撤廃したネルソン・マンデラ元大統領の名前を挙げることが出来るだろう
 そんな彼のアパルトヘイト時代におけるおよそ27年間の監獄生活が描かれたマンデラの名もなき看守と言う映画があった
 マンデラと当時彼の看守であった白人との交流を描いた映画だが、マンデラが大統領となった後に、白人に対し撤廃路線を取らずに白人との協調路線を取ろうとした理由がわかる映画である
 その"マンデラの名もなき看守”の監督がデンマーク人のビレ・アウグスト
 彼はペレという圧倒的な北欧の自然、そしてその厳しい自然、差別に屈することなく成長していく少年の物語を雄大に描いた
 デンマークからハリウッドに活動の拠点を移してからも、ある一家の愛憎劇を超豪華キャストで描いた愛と精霊の家、そしてリーアム・ニーソンとジェフリー・ラッシュの二大演技派スター競演によるレ・ミゼラブルなど、人間の過酷な運命を描かせたらピカイチの監督だ
 そんなビレ・アウグスト監督がハリウッドに渡る前にスウェーデンを舞台にして撮ったのが映画が愛の風景ですしかし、この"愛の風景”で興味深いのが脚本がスウェーデンの世界的巨匠である映画監督のイングマール・ベルイマンだということ
 まさにベルイマン的要素がたくさん散りばめられている第七の封印、沈黙、秋のソナタ等で挙げられる宗教、家族の葛藤と言うテーマがこの映画においてベルイマンの脚本らしさが色濃く出ている
 ヨーロッパ独特の身分階級、神に対する考え方の相違、そんな価値観の違いから生まれる夫婦の崩壊を冷徹なまでに描いた愛の風景を紹介・・・
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 神学校に学ぶヘンリク(サミュエル・フレイル)はおじいさんから、死に際のおばあさんが最後に会いたがっていると言うことを告げるが、母親と貧しい生活を長く続けていたヘンリク(フレイル)は、おじいさんのお願いに断固拒否してしまう
 ヘンリク(フレイル)は富豪の息子の友人のエルンスト(ビヨルン・シェルマン)の誘いで彼の家のパーティーに行くが、そこで出会ったエルンスト(シェルマン)の妹のアンナ(ベルニラ・アウグスト)と出会う彼は彼女に心を奪われそうになるが、ヘンリク(フレイル)にはレストランのウェイターをしていて一緒に貧しい暮らしをしているフリーダ(レナ・エンドレ)が居た
 しかし、ヘンリク(フレイル)はアンナ(アウグスト)と付き合うようになってしましヘンリク(フレイル)は度々、アンナ(アウグスト)の家に訪れる
 しかし、アンナ(アウグスト)の父ヨハン(マックス・フォン・シドー)と母のカリン(キタ・ノーヴィ)はヘンリク(フレイル)とアンナ(アウグスト)が付き合う事に反対していた
 特にアンナ(アウグスト)の母のカリン(ノーヴィ)は2人の身分の違い、ヘンリケ(フレイル)の宗教に対する考えが真面目すぎるためにアンナ(アウグスト)とは性格も合わないであろうことを言われ、それ以来ヘンリク(フレイル)はアンナ(アウグスト)と出会わなくなるが、それ以来ヘンリク(フレイル)はフリーダ(エンドレ)と一緒に暮らすがヘンリク(フレイル)の心はアンナ(アウグスト)を忘れられないでいる
 フリーダ(エンドレ)はアンナ(アウグスト)とこっそり会い、アンナ(アウグスト)にヘンリケ(フレイル)を助けてくれるように頼みごとをしてフリーダ(エンドレ)はヘンリク(フレイル)から離れるが、アンナ(アウグスト)は結核に罹りスイスへ療養に出て行ってしまう

 アンナ(アウグスト)は療養中もヘンリク(フレイル)に手紙を出し続けるが、その手紙はいつも母のカリン(ノーヴィー)が見つけては、燃やしていた
 アンナ(アウグスト)は体調も戻り、母のカリン(ノーヴィー)とイタリアを旅行するがその最中に父のヨハン(シドー)が死んだとの報告が入る
 その時母のカリン(ノーヴィー)はアンナ(アウグスト)に、彼女がヘンリケ(フレイル)に宛てた手紙は全部自分が燃やしてしまったことを告白するが、アンナ(アウグスト)はそんな母親を殺したいほど憎むが・・・
 スウェーデンに戻ったアンナ(アウグスト)はヘンリケ(フレイム)と出会う

 ヘンリケ(フレイム)とアンナ(アウグスト)は婚約し、ヘンリク(フレイム)はスウェーデンの北部の寒村の教区へ司教として行くようになるが、派手な生活を好まず、何でも質素な生活を望むヘンリケ(フレイム)とアンナ(アウグスト)の性格は相容れず、しかも地元の工場主と争いごとを起こしてしまい、寒村で孤独な生活に耐えられないアンナ(アウグスト)は子供を連れて、実家へ帰るが・・・ヘンリケとアンナの夫婦の激しい葛藤は映画を観てください

 いかにも家族の葛藤と宗教というテーマを盛り込んだベルイマンらしい映画ヘンリケとアンナの2人の人間関係の葛藤が凄い迫力で描かれている
 大富豪である両親が娘が、貧乏人の神学生と婚約しようとすることに反対するも2人の愛の力の強さを感じたのに、最後の方はボロボロになってしまう夫婦関係
 あまりにも宗教というものにこだわり続ける夫の質素に生きようとし、質素に生きることこそ司教の生き様だと言うばかりのストイックさは、日本人には想像できない宗教的な恐ろしさを感じる
 いかにもラストはベルイマンらしい悲しみが覆う映画全体の中で、一筋の希望の光が見える映画です

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