Discover the 「風雅のブリキ缶」 written by tonkyu

科学と文芸を融合した仮説作品「風雅のブリキ缶」姉妹篇。街で撮った写真と俳句の取り合わせ。やさしい作品サンプルも追加。

茅場町で、花王不買運動のデモ行進を見る。

2011年10月22日 09時56分36秒 | Journal


 昨日、昼飯に会社から出てくると近所の坂本町公園で警察官もたくさん出動する何やら不穏な集会。手に手の日の丸に似合わぬ風体の若い人たちが整然と列をつくって行進を待ち構えている。「われわれは警察官に守られて粛々とデモをする」とか、スピーカーメガホンの演説を聞いていてもよく趣旨がよく呑み込めないので、隣に立っていた関係者らしい男に尋ねると「花王」とのみ答えた。「はあ、花王ですか」と鸚鵡返しに言ったが、なお分からない。花王の本社ビルは茅場町にあるから、花王に対する何かの抗議デモだろうとは察する。その後、配られたビラをもらって見るが、このビラが要領を得ない。「花王は偏向内容の反社会的番組を制作するテレビ局に、多額のスポンサー料を支払っています」とある。テレビ局とはフジテレビらしい。さらにビラには「花王の商品を、私たち消費者が購入すると反社会的な番組作りに協力することになります」とある。ビラの裏面には「フジテレビと韓国ブームと政治の簡単なおはなし」とも。サッカーで日韓戦を「韓日戦」として放送するとは何事か、この国難のときに韓流韓国を持ち上げるように報道するとはけしからん、という怒りが見られる。どうもこれは新種の愛国運動かと理解する。議論がもうひとつ見えてこないのは、運動に反韓国の感情的な面が強く出ているためだろう。花王のようなスポンサー企業に果たして責任が本当にあるのかが明確になっていない。今このとき、日の丸をかかげ愛国的不買運動をするのならば、節電協力などではなく東京電力からいっさい電力を買わない運動の方がまだしも理にかなっている。ただ、東電のスポンサーは国だから、やはり日本国政府に抗議するのが筋だ。
 食事をしてから、デモ隊を探して急ぎ足に、花王本社の方まで行ってみたが、デモ隊の影も形もない。本社ビルの前には警備員が入り口を死守するように立っていた。会社の方角へ戻ってくると、交差点でデモ隊を見つけた。なるほど、守られるように警察官に先導されているが、行列は花王とは反対の日本橋方面へ去って行った。極めて従順で大人しいデモ隊である。しかも、なんだかハロウィンか学生サークルの仮装行列のようで、やはり、よく分からない。折角、日本金融業界のメッカ、兜町に立地する公園で集会し行進しているのである。せめて、ニューヨークのウオルストリート集会ぐらいの知的な問題意識でデモをやってもらいたい。生活で見聞きしたささいなことを個人的に気にするのは、ちっとも悪いことではない。それを人と話し合ったり、ときには社会に訴え運動化することも市民の権利だ。しかし、こうしたテーマで特定の議論にこじつけ、攻撃のターゲットを絞り込んでバッシングを繰り返していくと、なんだか不気味で執拗な感じがする。あるいは彼らも、そのことに少しは気がついていて、「静かなデモ」をしているのかもしれないが、どうなのだろうか?
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