折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

「感動」と「興奮」~「久石 譲 Classics vol.1」コンサート

2009-05-26 | 音楽
サントリーホールを埋め尽くした聴衆の拍手が鳴り止まない。

そんな熱烈なカーテンコールに応じて何度もホールに姿を見せる指揮者久石 譲さん。



新鮮さ

その1
開演15分前にマイクを持ってひょっこりと現れ、曲目に対する簡明な解説と演奏会へのご自身の思いを聴衆に語りかける久石さん。

その話の中で、指揮者としての新鮮な気持ちがあせないうちに、皆さんにその心境を感じてもらえれば、と今回の演奏会を企画した目的を語る久石さん。

余り見かけないシーンだ。

その2
初々しい指揮ぶり。
楽団員、聴衆への目配り、気配り、その気さくで、飾らない人柄が「指揮者は気難しい」というイメージを払しょく。

鳴り止まぬ暖かい拍手は、演奏もさることながら久石さんの「音楽」、「楽団員」、「聴衆」に向かい合う誠実な姿勢が、聴衆に新鮮に映り、大いなる共感を呼んだ結果に違いない、小生にはそのように思えた。

ロマン性

シューベルトの交響曲第8番「未完成」は、ゆったりとしたテンポで情緒纏綿と歌う様は、小生の大好きなブルーノ・ワルターの「未完成」を彷彿とさせる、実に馥郁たる「ロマン」をたたえた演奏であった。

また、ドボルザークの交響曲第9番「新世界から」は、オーケストラがよく歌い、且つ豪快に鳴り、オーケストラの魅力を余すことなく楽しむことができた。
その演奏は、以前にCDで聴いたラファエル・クーベリックの演奏を思い起こさせる、力のこもった素晴らしいものだった。

特に、郷愁をたたえた第2楽章の演奏は、印象的で久石さんの特徴はこの「ロマン性」にあるのではなかろうかと思った。

攻守交代

「いやあ、本当に今日はありがとう。久しぶりに感動し、興奮したよ」
と、幼なじみのKくん。

サントリーホールでの「久石 譲 Classics vol.1」のコンサートが終わった直後のことである。

この一言を彼の口から聞けて、「良かった」と心からそう思った。

そして、いつも、Kくんに連れられて行く「山歩き」が終わった後に小生が口にする「セリフ」を今回はいつもと逆にKくんに言ってもらって、小生としても「まんざら」でもない気分である。


インドア派で、とかく家にこもりがちな小生を戸外に引っ張り出してくれて、自然の素晴らしさ、山歩きの楽しさを気付かせてくれたのは、他ならぬKくんである。

そして、これは以前にも書いたことだが、Kくんはどちらかと言えば「アウトドア派」。
「山歩き」は彼の得意分野、インドア派の小生の得意分野は「読書」や「音楽」など。

彼の得意分野と小生の得意分野は、お互いが「持ち合わせていない」ものだ。

だから、そんなお互いの得意分野を共有し合えれば、これからの人生もより豊かなものになっていけるかもね、と予て二人で話していた。

そして、機会があったら小生の分野の一つである「音楽」のコンサートに一緒に行こうや、と誘っていた所で、その話が今回、図らずも実現したのであった。

しかし、いくら「お互いが持ち合わせていないものを共有する」と言っても、一方的に無理強いするのでは、却って、苦痛になるだけで、決して長続きはしない。

それだけに、今回一緒に音楽を聴いて、「感動した」、「興奮した」、「ありがとう」と言う彼の言葉を聞いて、正直、内心ほっとした次第である。

これからは、「アウトドア」、「インドア」を適宜「攻守交代」しながら、楽しいひと時を過ごしていけたらと念願している。


< 久石譲 Classics vol.1>

1・場所
  
サントリーホール 大ホール

2・演奏曲目

久石 譲 :弦楽オーケストラのための新作
シューベルト :交響曲第8番ロ短調「未完成」
ドボルザーク :交響曲第9番ホ短調「新世界より」

3・演奏者

指揮:久石 譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団