折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

3種類の「驚き」=「手紙」~親愛なる子供たちへ~を聴いて

2008-11-18 | 音楽
購読している新聞の夕刊に毎月1回色々なジャンルの新譜を紹介するページがあり、CDを購入する際の参考にしている。

先日、先月の新譜で紹介された「手紙」~親愛なる子供たちへ~というシングルCDを購入した。

早速、聴いて見たところ、幾つか性質の異なる驚きがあったので、そのことについてコメントして見たい。


驚き その1 新鮮な驚き~CDジャケット

レコードを聴いていた頃は、ジャケットのデザインにも凝ったものがあり、結構楽しめたものだが、CDになってからは面白味がなくなったと常日頃思っていたが、このCDのジャケットには意表を突かれた。


工夫を凝らしたCD・「手紙」~親愛なる子供たちへ~のジャケット

タイトルの「手紙」にあわせて、デザインも「手紙」を入れる封筒を模したものとなっていて、定型サイズの大きさの長封筒の表面には宛名としてタイトルの「手紙」という文字が、裏面の発信人には作曲者樋口了一の名前が印刷され、歌詞カードも縦書きの手紙形式になっているのだ。


見る人が「なるほど」と思わずうなずいてしまう、そんな製作者の「思い入れ」が感じられるデザインで、新鮮な驚きを感じた。


驚き その2 予期せぬ驚き~歌詞の内容

テーマは、生きとし生けるもの誰しもが、いつかは、必ず迎える「老い」である。

先ずは、672字という歌詞の「長さ」に驚いた。(歌の方も8分24秒とこれまた長い)

次に、歌詞の中身に驚いた。

「服の上に食べ物をこぼす」、「同じ話しを何度も何度も繰り返す」、「下着を濡らす」、「歯も弱り 飲み込む事さえ出来なくなる」、「足も衰えて立ち上がる事すら出来ない」
「旅立ちの前の準備」、「私の人生の終わり」

と言った、ドキッとさせられ、身につまされるような言葉や表現が多く使われているのである。

年老いた親が子供に贈るメッセージというイメージからすると、これらの言葉が使われていることに予期せぬ驚きを感じたのであった。


驚き その3  予想を超える驚き~歌唱・演奏

そういうこの歌詞の持つシリアスな雰囲気をやわらげているのが、「手紙」という曲の「美しさ」である。

ソロの樋口了一という歌手の歌を初めて聴いたが、想いを内に秘めてゆったりとしたテンポで、温かな声で、一言、一言語りかけるような歌唱を聴いていると心が和んでくる。

そして、曲の前半のギター、後半のストリングスがソロと絶妙に溶け合って、えも言われぬ美しい楽曲の世界、癒しの世界へと誘ってくれるのである。

特に、後半ストリングスが入ってくると曲の美しさはいや増し、まるで魂が浄化されるような感覚であった。

予期せぬ驚きの言葉が次々に出てくる歌詞をどう歌と演奏で表現するのか、大いに興味をそそられたが、予想を超える驚きの歌唱と演奏であった。



手紙~親愛なる子供たちへ~
原作詞 不詳/日本語訳詞 角 智織/日本語補足詞 樋口了一
作曲・歌 樋口了一/ストリングス・アレンジ 本田優一郎