庭の片隅でそよ風に揺れている<四季バラ>、秋の昼下がりの一こまである
その日は朝から晴れ渡り、南風が緩やかに吹いて暖かい日和であった。
そんな陽気に誘われ、窓を開けて何気なく外を眺めると、庭の梅ノ木の下で、見て下さいと言わんばかりにバラの花が二輪咲き誇っている。
「あれ、何時咲いたんだ」と独り言。
余りの見事さにスリッパをひっかけて外に出る。
ピンク色をした大きなバラの花が二輪、折からの微風に揺れている。
「このバラ、何時から咲いてるの?」
「昨日からよ、よく気が付いたわね。<四季バラ>と言うの」
「そうなんだ、それにしても大きくて実にきれいだ」
「へえ~、おとうさん、花などに関心を持つようになったんだ」
「まあね、それより明日は、天気予報では雨らしいよ」
「そう見たいね、雨で散る前に切って花瓶に挿しておこうと思ってる」
秋の日の昼下がり、たまたまその日勤めが休みだった、かみさんとこんなたわいない会話が生まれるきっかけとなった、我が家の小さな庭の片隅に咲いた、二輪のピンクのバラが本日の主役である。
バラ二輪 陽だまりの中 そよと揺れ