折々の記

日常生活の中でのさりげない出来事、情景などを写真と五・七・五ないしは五・七・五・七・七で綴るブログ。

重なった偶然

2008-02-02 | 日常生活
かみさんが3泊4日の旅行から帰って来てから数日後のある夜のこと。


速いもので、義弟のKちゃんが逝ってから二ヶ月余が過ぎていた。(07年11月24日付ブログ『素晴らしき二人』)

その日の夜の食卓での話題も一人残されたMちゃんのことであった。

『今が、丁度寂しさが募る頃だろうね』と小生。

『そうよね、これから電話して見る。<カニ>をおばあちゃんの所に送ったことでもあるし』

とかみさん。

夕食を終えてくつろいでいると早速かみさんが電話を始めた。

『Mちゃん、どう、もう晩御飯終わった?今、何してんの。旅先で<カニ>を買って、おばあちゃんの所へ送ったんだ。明後日着くから、おばあちゃん家に食べに行って』


『一人で、お茶を飲んでたんだって。みんなで温泉にでも行くって誘ったんだけど、まだその気にならないって』

と、電話を終わったかみさんの弁。


            

            朝日新聞の投書欄「ひととき」に掲載された
            記事の一部


そんな会話を交わした翌日のこと。

勤めに行くかみさんをいつものとおり送り出して、のんびりと新聞のページを繰っていると、いつも見ている投書欄の『ひととき』に『天国の夫への手紙』というタイトルが目に飛び込んできた。

昨夜、話題になったばかりのテーマなので、興味を惹かれて読んで見る。


「ガン」が再発して亡くなったこと、まだ60台の前半と年齢も若かったこと、若い人を可愛がっていたこと、そして若い人から慕われていたこと、その若い人たちが葬儀にいっぱい来て、泣いてくれたこと、可愛がっていた愛犬がいたこと、その愛犬が今でも飼い主を探しまわっていること等、そこに書かれている内容がKちゃんと実に共通点が多いのである。

そして、その投稿者(未亡人)は、最後をこう結んでいた。

『今年は私は仕事に復帰して、自立できるように頑張ろうと思います。息子たちや友人、知人に支えられて、生きていくつもりです』と。

これを見て、義妹と同じような境遇の人が世の中にはきっといっぱいいるんだ、そして、辛いけどそれぞれみんな頑張っていこうとしているんだと思いを新たにした。

その日の夜。

職場から帰ってきたかみさんに切り取っておいた投書を手渡し、

『明日、Mちゃんの所にファックスで送ってやろうかね』

と言うと、投書をじっと読んでいたかみさんが

『いいかもね』一言、短い返事。


次の日の夕方。

職場から戻ったかみさんが、自分の携帯電話のメールを開いて小生に差し出した。

『あの投書、ファックスしたんだ、妹がありがとうって』とかみさん。

メールには、次のように記されていた。

ファックスありがとうございました。
二度「ウル、ウル」してしまいました。

一度目は、投書の中身そのものに、二度目はおにいさん(義兄)をはじめ多くの皆さんに気に掛けてもらい、支えてもらっていることに。

大丈夫、わたしも頑張ります、と。

義妹のMちゃんはメールで二度「ウル、ウル」したと書いてきたが、小生は前日の夜、話題にしていたことと同じようなことが、翌日の新聞の投書欄に掲載されていた偶然に先ずは驚き、次にその投書の内容が亡くなったKちゃんと『共通点』が多かったと言う偶然に二度目の驚きを覚えた。


そして、偶然とは本当にあるもんだなあ、とつくずく思った次第である。