関与していた利用者さんが亡くなった。 お元気なころは公私共に大変お世話になっ
た方。 葬儀が終わり2週間経ったのでお線香をあげに訪問する。 2年ほど前から
毎日仏壇に唱えて、すっかり暗誦した「般若心経」を霊前に捧げる。残された未亡人
はお年で膝の痛みを訴えているが比較的お元気。 奥の亡夫のお骨の前で師走の
日差しを一杯に受けて採取した黒大豆の身を殻と選別していた。 お正月用にご自
分で黒豆を作るそうだ。
年をとっても家での役割のある人は幸せ。
この光景は懐かしい。 私の祖母が一杯着込み、手ぬぐいで姉さんかぶりで同じよう
な姿勢で何かをしている写真が残っている。 せかせかした毎日を過ごしていると何
かほっとするひととき。
我が家を含めて既製品で間に合わせてしまうのだが、このお宅は違う。 昔は普通だ
ったことがなにもかも珍しくなってしまう。 時代の変化が早すぎる。 物質的にはこれ
が時代の流れだと思うが、精神的にはこうしたゆとりを失いたくない・・・
江戸時代の人は、生まれた時と亡くなる時の時代背景に殆ど差がない。 今を生きる
われわれはどうだろうか? 生まれたときには想像もつかなかった変化が生じてい
る。 われわれは歴史上最も大きな社会変化に遭遇した世代だなといつも思う。
3Dプリンターというのが出始めた。 設計図をPCに入力すると立体的なものがたちどこ
ろに印刷(造形と言ったほうが適切か)。 これが更に進化していくとある装置に入っ
てボタンを押すと東京にいる私が、瞬時に札幌に精神的なものも含めて再現する。
同時に東京の私は消去されないと大変なことになるが。 こうなるともう交通機関は
不要になってしまう。 ドラエモンの漫画では描かれている夢。
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