趣味のサイクリング。 夏は原則として往路は家から南に向かう。したがって復路は
北に戻る。疲れた身体に夏の南風は心地よい。 これが冬の季節になると反対に往
きは北へ、帰りは南に走る。 夏はあまり苦にしないが、冬の上州名物「空っ風」は難
敵。 風に逆らっての走行は下手な坂よりつらい。平地はスピードに乗って快適に走
るイメージが強い。 しかし平地でも向い風に抗して進むのは大変。 登り坂は覚悟
のうえなので苦しいがいやになることはない。
グリーンドーム付近の流れ 朔太郎の詩にも登場する大渡橋
師走のある日、利根川道を渋川に向かって向かい風をまともに受けながら走り、帰
路は追い風に乗り、緩やかな下りを吉岡町の集落を縫いながら気分良く走って戻る。
背中に榛名山を意識して走れば、どの道を経由しても高崎に戻れる。 気の向くまま
右に左に曲がりながらの走行は追い風を受けているのでまことに快適。
井野川サイクリングロードまで戻った。 橋の上に高級カメラを構えた一団が居る。
多分カワセミの撮影だろう。 その通りスズメほどの大きさだが日本の野鳥で一番
きれいと言われる小鳥が川岸の藪の中に見えた。
おそらく70才を過ぎたであろう小父さんたちがこの小さな鳥を撮影すべく夢中でシャ
ッターを切る。 私もいつも持ち歩く簡単カメラで撮影してみた。 3倍ズームではこれ
が精一杯。
野鳥に向けてカメラを構える小父さんたちの顔が輝いている。 このおだやかな顔
が、かっては高度成長を支えた企業戦士だったとは思えない。 趣味を持つ人はみ
んないい顔だ。激動を潜り抜け、穏やかな生活を20年余続け、年老いて人生という
舞台から去っていく。
いい人生だったと思うだろうか? 違った生き方があったはずだと思うのだろうか?
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