井上ひさし原作の舞台劇を、映画化したものである。
原爆被害者の心境、出来事の意味、生きることの意味を問う・・・素晴らしい作品である。世界中の人に見てほしいものだ。原爆を持つすべての国の為政者には、とりわけ、みてほしいし、争いがたえない地域で、また、憲法9条を変えたがる人々にもみてほしい。
戦争がどれだけ悲惨で、意味のないことか。
「国のためなら」命をすてるのもかまわない、それが、悲劇の根幹にある。国を単位に、負けると、相手国にヒドイ目に合わされる。そうなっては、ならない、個人としては、国を守るためには、命だって惜しくはない、という考え方は、自然に思えてしまう。
歴史は、それを繰り返してきた。まだまだその渦中にあって、国は、簡単にはなくなりそうもなく、したがって、根本的な解決は、できないまでも、その過程にあって、対処の仕方は、考えておく必要がある。
国を守るために、自衛隊は必要であるとして、今や、その違憲性をいう声は、それほど大きくはない。だが、憲法9条からみれば、明かに、違憲状態であると見える。
なしくずしに、今の状況がつくられてきた。世論も、周辺国の状況から、違憲とする声は、少なくなってきた。
今度は、自衛隊を合法化したい、とするのが、日本を、一人前の国家にしたい人々の次の願いである。そうなって、諸外国と一人前に渡り合えると考える。「ナメタラアカンゼヨ」と言いたいのである。
そこには、国の威信をかけて、戦争だってジサナイという構えがみえる。あるいは、戦争を起こさせない抑止力を理由にするかもしれない。
憲法9条から、どんな戦争もできない。これは、明らかである。そのおかげで、戦後66年間、戦争をしないで、日本はやってこれた。竹島しかり、北方4島しかり、尖閣問題等々、武力を背景にした、紛争解決をしてこなかった。いや、できなかった。
国家間の紛争は、最終的には、戦争である。その戦争手段を捨てた日本の生きる道は、平和を全地球上に及ぼさなければ、その術はない。
そのためにも、この映画は、相当な戦力になる。アラブで、イスラエルで、アフガンで、アメリカで、中国で、韓国で、・・・どこでもみてほしいと思う。