ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ロード・オブ・ウォー』

2005-10-28 18:55:10 | 新作映画
----この映画、最初『アメリカン・ビジネス』という
タイトルで公開される予定だったよね。
結局、原題に戻っちゃったね。
「うん。なぜだろう?あまりにも生々しいからかな。
旧ソ連のウクライナから家族とともに
移民としてアメリカに渡ったユーリー(ニコラス・ケイジ)。
武器の密売に手を染め始めた彼を
インターポールの刑事バレンタイン(イーサン・ホーク)が追いつめていく…」

----ということはアクション映画なの?
「いやいや。それが違うんだ。
監督がアンドリュー・ニコルだけあって、
冒頭のタイトルバックからして意表を突いている。
一発の銃弾が作られ、紛争国に運ばれ、実際に使われるまでを
その銃弾を常にフレームの中心に据えたショットで繋いでいくんだ」

----へぇ~。凝ってるニャあ。
「ユーリーには
憧れの美女エヴァ(ブリジット・モイナハン)がいるんだけど、
彼が彼女に接近しモノにするまでもスケールがでかい。
運命の出会いを演出するべく、孤島のホテルを借り切るばかりか、
エヴァを島から送り届けるために、
自家用機に見せかけたジェット機のレンタルまでやってしまう。
さすが『トゥルーマン・ショー』という
とてつもないホラ話を作り上げた監督だけある」

----そう言えばあの映画って風刺が効いてたよね。
この『ロード・オブ・ウォー』もそんな感じなのかな?
あっ、内容が内容だけにそうか。
世界を股にかけ、紛争国のトップやゲリラ相手に
武器を売りつける武器商人の話だものね。
「うん。
現代の世界の状況がその矛盾とともに克明に描き出される。
砂漠の真ん中で、相手は軍服や戦闘服なのに、
ユーリーはいつもスーツ姿と言うのも皮肉が利いている」

----でも、そんなあくどい商売に手を出しながら
なかなか捕まらないってのも不思議。
「まあ、それが彼の才覚と言うことかな。
捕まらない決定的理由が最後の最後に明らかとなるんだけど、
実はそのことこそが
最初決まりかけた邦題『アメリカン・ビジネス』の由来ともなっている」

-----うん?どういうこと?
「つまり彼ら武器商人は国によって保護されていると言うわけだ。
彼はお金さえ払ってくれれば商売の相手を選ばない。
敵の敵=味方にも武器を売るわけだから、
アメリカとしては大歓迎と言うことになる。
これって直球勝負でいけば社会派映画の極となるテーマだけど、
そこはアンドリュー・ニコル、変化球でブラックに攻めたわけだ。
それでも脚本提出がアメリカのイラク侵攻一週間前。
周囲は難色を示し、結局アメリカでの資金調達はゼロだったらしい」

----ふうん。そう言えばこういう問題作の常連となった
ジャレッド・レトが出ているね。
「彼はユーリーの弟役。
途中でドラッグ中毒になってしまう。
『レクイエム・フォー・ドリーム』のイメージを引き継いでいるのかも。
ジャレッド・レトって美形なのに作品のセレクトが通好み。
ジョニー・デップの路線を歩もうと思っているのかもね」

                   (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「人間ってひどいニャ」身を乗り出す
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