「いやあ、これは折り目正しいというか
実に端正な映画だったね」
----ん、どういうこと?
「どのショットも、まったく浮つくことなく
その構図に落ち着き、安定感があるんだ。
スクリーン・サイズはスコープ。
本来ならば、このサイズは風景の広がりを見せたり、
人物と人物の関係を描くのに向いているんだけど、
なぜかアップ、もしくはバストショットが多い。
まるでスターで客を呼んでいた60年代の日活映画のようだった。
しかも登場人物のポジションは
決まってスクリーンのセンター。
青春映画と言うと、その悩みや焦燥を描くことが多いせいか、
不安定な構図が多いけど、
これはどっしりとしている」
---ふうん。それってストーリーだけ追っていたら気づかないかも。
だけど、なぜそんなことをするんだろう?
「それはこの映画が扱っているモチーフやテーマと
深く関わっているんじゃないかと思うんだ。
ストーリーはあえて言うほどのこともない青春ものの王道。
天才ピッチャー、原田巧。
過去に自らの豪速球ゆえにキャッチャーが捕球できず
サヨナラ負けを喫した痛みを持つ彼は、
父親(岸谷五朗)の転勤先で永倉豪という男と出会い、
バッテリーを組むことになる。
巧には病弱な弟・青波がいて、
母(天海祐希)は彼ばかりを気にかけている。
巧の祖父(菅原文太)は、
多くの選手を甲子園に送り出した
かつての名将。
その最後の教え子でもある戸村真(萩原聖人)は、
中学の野球部の顧問として、いま巧と向き合う…というお話だ。
この物語は大ベストセラーの原作を持つらしいんだけど、
映画を観て分かったのは、
中学生の描き方が子供目線と言うこと。
友情だの挫折だのと言う、ありきたりの青春ものでなく、
そのベースに、反抗期特有の強烈な自我が横たわっている。
先生や親に対する巧の物怖じしない態度、
巧と豪の関係も、それぞれのプライドがぶつかり合って見応え十分だ。
よくキャッチャーはピッチャーの女房役と言うけど、
自信家で嫌われやすい巧を
豪はどんなときも、その明るい笑顔で気持ちを楽にさせる。
だが、そんな豪も、
巧が過去の痛みから
豪速球を投げてこなかったことをきっかけにガタガタに。
やがてそれはバッテリー間の乱れとなっていく」
---あれれ。ストーリーを語っていない?
「もう少し待ってね。
そんな豪が巧にかける言葉、
その中でももっとも印象に残るのが『ど真ん中じゃ!』。
つまり、映画は真っ向から直球勝負する青春を描く。
そしてそれを象徴するのが
スクリーンの真ん中に構えられたキャッチャーのミットというわけだ。
だからこそ青春の主人公である彼ら少年たちも、
そのミットめがけて自分を、そして青春を投げ込んでゆく。
野球を初めて体験した巧の父親が言う。
『野球は気持ちを伝えるスポーツだ』と…。
この映画は映像でそれを語ることに成功した希有な例。
バッテリーの乱れが野球の大敗に繋がるという
野球の根本を見事に見せてくれる。
エンドクレジット前のラストショットも
これしかありえないスクエアな映像。
ほんとうに気持ちのいい映画だったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「これは本格野球映画でもあるニャ」
※このロケ地に行ってみたい度
人気blogランキングもよろしく
☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
実に端正な映画だったね」
----ん、どういうこと?
「どのショットも、まったく浮つくことなく
その構図に落ち着き、安定感があるんだ。
スクリーン・サイズはスコープ。
本来ならば、このサイズは風景の広がりを見せたり、
人物と人物の関係を描くのに向いているんだけど、
なぜかアップ、もしくはバストショットが多い。
まるでスターで客を呼んでいた60年代の日活映画のようだった。
しかも登場人物のポジションは
決まってスクリーンのセンター。
青春映画と言うと、その悩みや焦燥を描くことが多いせいか、
不安定な構図が多いけど、
これはどっしりとしている」
---ふうん。それってストーリーだけ追っていたら気づかないかも。
だけど、なぜそんなことをするんだろう?
「それはこの映画が扱っているモチーフやテーマと
深く関わっているんじゃないかと思うんだ。
ストーリーはあえて言うほどのこともない青春ものの王道。
天才ピッチャー、原田巧。
過去に自らの豪速球ゆえにキャッチャーが捕球できず
サヨナラ負けを喫した痛みを持つ彼は、
父親(岸谷五朗)の転勤先で永倉豪という男と出会い、
バッテリーを組むことになる。
巧には病弱な弟・青波がいて、
母(天海祐希)は彼ばかりを気にかけている。
巧の祖父(菅原文太)は、
多くの選手を甲子園に送り出した
かつての名将。
その最後の教え子でもある戸村真(萩原聖人)は、
中学の野球部の顧問として、いま巧と向き合う…というお話だ。
この物語は大ベストセラーの原作を持つらしいんだけど、
映画を観て分かったのは、
中学生の描き方が子供目線と言うこと。
友情だの挫折だのと言う、ありきたりの青春ものでなく、
そのベースに、反抗期特有の強烈な自我が横たわっている。
先生や親に対する巧の物怖じしない態度、
巧と豪の関係も、それぞれのプライドがぶつかり合って見応え十分だ。
よくキャッチャーはピッチャーの女房役と言うけど、
自信家で嫌われやすい巧を
豪はどんなときも、その明るい笑顔で気持ちを楽にさせる。
だが、そんな豪も、
巧が過去の痛みから
豪速球を投げてこなかったことをきっかけにガタガタに。
やがてそれはバッテリー間の乱れとなっていく」
---あれれ。ストーリーを語っていない?
「もう少し待ってね。
そんな豪が巧にかける言葉、
その中でももっとも印象に残るのが『ど真ん中じゃ!』。
つまり、映画は真っ向から直球勝負する青春を描く。
そしてそれを象徴するのが
スクリーンの真ん中に構えられたキャッチャーのミットというわけだ。
だからこそ青春の主人公である彼ら少年たちも、
そのミットめがけて自分を、そして青春を投げ込んでゆく。
野球を初めて体験した巧の父親が言う。
『野球は気持ちを伝えるスポーツだ』と…。
この映画は映像でそれを語ることに成功した希有な例。
バッテリーの乱れが野球の大敗に繋がるという
野球の根本を見事に見せてくれる。
エンドクレジット前のラストショットも
これしかありえないスクエアな映像。
ほんとうに気持ちのいい映画だったね」
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「これは本格野球映画でもあるニャ」
※このロケ地に行ってみたい度
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巧役の林遣都くんの声が印象的でした。
私の勝手な妄想で声は少年っぽく高いと思ってたもので…。
スクリーンに登場してからなかなか言葉を発しないのも、巧の性格を演出する上でも効果的だし、最初の一言がとても印象に残りました。
個人的に声が好みで、一言で恋に落ちました。。。
映画初めてなのに存在感もあり、林くんの今後の活躍が楽しみです。
えいさんがおっしゃる通り、映画はまっすぐで気持ちのいい映画でした。
林遣都くんは存在感ありましたね。
プレスを後で読んだのですが、
そこで初めて彼がオーディションで選ばれた
映画初主演の少年と知り、
ほんとうに驚きました。
周りの少年たちも含めて
最近の子役(?)は巧い人が多いですよね。
でも手垢がついていなくて、
それも、気持ちのよさの一因でしょうか?
コメント、tbありがとうございました。
>気持ちのいい映画だった
本当にそんな感じでした。清清しく爽やかな気分になれる作品でした。
それに、決して熱くない。そこも又、良かったです。
これからも宜しくお願いします。
そうですね。
この映画は、いわゆるスポ根ではないところがよかったです。
初夏公開のちばあきお『キャプテン』にも
監督が室賀厚だけに大いに期待したいです。
こちらこそ、これからもよろしくお願いします。
えいさんの感想を読んで興味が湧き、鑑賞しました。
すごく良く出来た映画で感動しました。
ラストショット、本当に見事でしたね
ロケ地に行ってみたい度80%くらいです。
『キャプテン』お知らせくださって、ありがとうございました。
わくわく楽しみです...でも、重箱の隅をつつくかも...(笑)
この映画、ご覧になった方の間でとても評判いいようですね。
自分が推薦した映画が受け入れられているのを見ると、
とても嬉しくなります。
あのラストショットはまさに唯一無二だと思います。
『キャプテン』はご贔屓の室賀厚監督作品。
いつも低予算でありながらも
映画的記憶に満ちた映画作りをしてくれるだけに、
とても期待しています。
なかなか爽やかで瑞々しい青春映画でしたね。
友情・家族愛・野球の素晴らしさを改めて教えてもらった感じがしました。
確かに、野球は気持ちを伝えるスポーツかも・・・
まさに青春映画の王道ですよね。
周囲との調和をまだ見いだせずに、
自我が前面に出ている-----
こういう映画って、
久しぶりに観た気がします。