ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ティム・バートンのコープスブライド』

2005-09-20 19:10:46 | 新作映画
----これって『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』以来の
ティム・バートンのストップモーション・アニメだよね?
「それはそうなんだけど、
正確に言えば彼にとっては初監督作品。
『ナイトメアー』の監督はヘレン・セリックで、
バートンは原案・製作のみの担当なんだ」

----そう言えば、そうだったね。
バートンと言えば『チャーリーとチョコレート工場』が公開されたばかり。
精力的だよね。あれっ、そうは言ってもこの映画77分しかない…。
「それは仕方ないだろうね。
このストップモーション・アニメ方式だと、
1、2秒撮影するのに12時間を要するらしい」

----実写でもなくCGでもなく、
そのストップモーション・アニメを選んだ理由ってあるのかな?
「バートンは『コンピュータやCGでは作り出せない味わいがある』と言っている。
セットが作られ、演出が施され、照明が当てられ、カメラに収められる…
この過程だけ見ると、実写と変わりはない。
でも、自分の描きたいイメージに忠実に再現するには、
実写より、このストップモーション・アニメの方が勝ってるのかも。
特にそれがファンタジーである場合は、
背景となる世界観やキャラクターも創り出しやすい」

----たとえば?
「縦に二つに割れた胴体の間を人が通り抜けたりとか、
頭の中に生息するウジ虫が喋ったリとか、
微妙に開いた頭蓋骨の蓋をポリポリ掻いたりとか…ね」

----うわあ、強烈。お話はどういうものなの。
トレーラー観ても、イマイチ分からニャイんだけど。
「舞台は19世紀ヨーロッパのとある村。
親同士が欲得ずくで決めた結婚に戸惑いながらも、
初めて出会った瞬間に惹かれあった
富豪の息子ビクターと、落ちぶれ貴族の娘ビクトリア。
結婚式の前日、森の中で式の練習をしていたビクターは、
誓いの言葉とともに結婚指輪を枯れ枝にはめてしまう。
ところがそれは、地中深く埋もれながら
花婿の訪れをずっと待ち続けていた“コープス ブライド(死体の花嫁)”の
朽ちかけた薬指だった。
かくして、生者と死者の三角関係が始まる...」

----ニャるほど。そういう話か。
あっ『チョコレート工場』に引き続き、
ジョニー・デップが主人公をやっている。
「この映画の場合、日本のアニメによく見られるようなアフレコ方式じゃない。
パペットが作られるよりも前に俳優たちのセリフを収録。
つまり、俳優の声の演技がキャラクターの性格を形成していくわけだ。
『ナイトメアー』では、いくつもの交換用の頭部を作って
それを繋げることによって
キャラクターの感情と表情を引き出したらしい。
でも、この『コープス ブライド』では頭部に複雑なギア装置を埋め込み、
いろいろなアクセス・ポイントから動かし、表情を微妙に変化させたんだって」

----へぇ~っ。ストップモーション・アニメなんて
すっかり過去の遺物と思っていた。
「撮影はデジタル・スチール・カメラを使っているし、
自分の表現したい世界を生み出すには、
こだわりを捨てて、いいところは積極的に取り入れていこうと言うことだろうね」

----そのバートンの表現したい世界って?
「一言で言えばダークファンタジーとなるんだろうけど、
そこには、ある<価値の逆転>が横たわっている気がする。
生者の世界は生気がなく陰鬱なのに対し、死者の世界は活気に溢れて陽気。
そのため前者はモノトーン、後者はカラフルと言う形で表現される。
まあ、このあたりはまだ想像つかないでもないけど、
ビクター、ビクトリア、コープスブライドの3人が、
いずれもやさしい善人であるのにはまいったね」

----それはまたどうして?
「ビクターがどっちと結ばれるのか、いや結ばれた方がいいのか?
観客の思いは、ビクトリア、コープスブライド
どちらにも幸せになってほしいと言う方向へと向かっていく---。
こんな映画もなかなかないと思う。
三角関係だと、観客が感情移入しやすいように、
登場人物の間に優劣が作られているのが普通だからね。
そうそう、骨だけになった、かつての子犬が出てくるんだけど、
これが実にキュート。
死んだ後も、あんな形で会えるんだったらいいだろうな。
あそこは少し、グッときたね…」

----いやだなあ。変な目で見ないでよ。
      (byえいwithフォーン)

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25 コメント

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コープス ブライド (rambler)
2005-09-27 00:28:30
TBいつもありがとうございます。コメントには初めて登場致します。



『ティム・バートンのコープス ブライド』、待ちに待ちすぎて期待過剰(笑)になっていたのですが、期待を裏切らない出来で、月曜になった今でもどきどきしています。



是非この製作チームには早めに次回作に取り組んで欲しいですね。





バートンらしい映画。 (えい)
2005-09-27 23:30:53
■ramblerさん。



こんばんは。

『チャーリーとチョコレート工場』のようなポップな色遣いも魅力ですが、

こちらのダークな色彩の方が、よりバートンらしい気がします。

私も、この映画は予想以上の作品でした。
Unknown (いやぁ)
2005-10-03 20:22:57
主人公が「ヴィクター」で犬もやっぱり「スパーキー」。

こういうところが大好きです。
■いやぁさん (えい)
2005-10-04 00:19:36
こんばんは。



ティム・バートン、お好きな方なんですね。

『フランケンウィニー』はぼくも好きです。

『フランケンウィニー』の

車に轢かれて亡くなった犬がスパーキー、

スパーキーを蘇らせようとするのがヴィクターでしたね。

この映画『コープス ブライド』のスパーキーは、

骨だけなのに、本当にかわいいです。
Unknown (ヘーゼルナッツ)
2005-10-15 14:39:19
TBありがとうございました。

三角関係だけども、皆に幸せになってもらいたいってホント珍しいですよね^^

スクラップスは可愛かったです。

またお邪魔させていただきますm(_ _)m
■ヘーゼルナッツさん (えい)
2005-10-16 18:14:13
こんばんは。



この映画『ナイトメアー~』のような派手さには欠けますが、

かえって手作り感が出ている気がして、ぼくは好きです。

こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

スパーキー→スクラップ (えい)
2005-10-17 10:00:48
『コープス ブライド』の犬の名前は

「スクラップ」でしたね。

スパーキーが死んで

あの世でスクラップになった。

ん?無理があるかな。
フォーンが^^; (にゃんこ)
2005-10-23 07:42:16
そんな目でみないでよって言ってくれてるけど

やっぱりスクラップみたいによみがえってくれたら

ちょっとうりしいですよねぇ(笑)えいさんとしては

コメントで”スパーキー”って残してくれたコメント見たときに

そっかぁ吹替えだとそーなってるのかな?っと

勝手に思い込みそうになりました(爆)

あ、でもそれもちょっとバートンファンにはうれしいかなぁ~とも

今度は吹替えで観ちゃおうかなぁ~

果たして どうかしら?
■にゃんこさん (えい)
2005-10-23 14:40:39
『まだまだあぶない刑事』に比べて、

こちらの人気は高いですね。

ティム・バートン、いまや裏スピルバーグですね。

スパーキー、

骨だけなのに生きているように見える。

いやあ、スゴいですわ。
はじめまして (じゅんぺー)
2005-10-24 14:50:05
TBさせていただきました。

しかし間違って2件重複してしまいました・・・

お手数ですがはじめの一件は削除していただけないでしょうか?



コープスブライド、その精巧な作りに感動しました~。

ほんと、ティムすごいですよね!

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