ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『こわれゆく世界の中で』

2007-02-08 11:10:07 | 新作映画
(原題:Breaking and Entering)

----アンソニー・ミンゲラ監督と言うと
確か『イングリッシュ・ペイシェント』の監督だよね。
『コールド マウンテン』もそうじゃなかった?
「うん。
『リプリー』もね。
この映画は、その『イングリッシュ・ペイシェント』のジュリエット・ビノシュと
『コールド マウンテン』『リプリー』のジュード・ロウが共演。
そこにロビン・ライト・ペンも加わって、
現代に生きる男女の、それぞれの愛の姿が描かれる」

----ニャんだか、
味も素っ気もないニャあ。
よくある話って感じ……。
「ただね。
この映画を観ると、
いまやだれも
自分の<性>としての<愛>のみに生きることができない。
みんなが<人生>の問題を抱えている……
そういうことを感じずにはいられなかったね。
その意味では、アンゲラ監督が設定を現代としたのもよく分かる。
男女の愛と言う普遍的なテーマを扱いつつも、
これはきわめて今日な映画だと思うよ」

----あっ、そうか。
ミンゲラ監督にしては久しぶりに現代の話ニャんだ。
「うん。主人公はロンドンのキング・クロス再開発地区で
そのプロジェクトを担う建築家ウィル(ジュード・ロウ)。
彼は美しい恋人リヴ(ロビン・ライト・ペン)と
彼女の娘で13歳のビーと一緒に暮らしている。
ビーは、心のバランスを崩して学校へは通わず、
夜も眠らずに執拗に体操の練習を繰り返している。
リヴは娘の病は、彼女の父親と別れてウィルと一緒に暮らす自分のせいだと
自責の念にとらわれていて、心のどこかでウィルを拒んでいた。
そんなある日、ウィルのオフィスで窃盗事件が起こる。
事件が度重なることから、オフィスを見張っていたウィルは、
犯人の少年を追いかけてその身辺を探る。
少年はボスニアから戦火を逃れてきた未亡人アミラ(ジュリエット・ビノシュ)の息子ミロ。
ウィルは、事情を隠してアミラに近づくが……」

----ニャるほど。
リヴは娘、アミラは息子。
それぞれに子供の問題を抱えているわけだ。
「そう言うこと。
愛情の示し方の違いはあるにせよ、
母親である彼女らは、
我が子に対する思いの深さでは一緒だ。
<女性>としての自分の愛にばかり
かまけるわけにはいかない。
そんな中でふたりの女性の間を行き来するウィルは、
いくら、閉塞的なリヴとの日々の中、
心が空虚とは言え、
チャイルディッシュに見えてくる。
やがて、彼はアミラに自分とミロの関係を知られてしまう。
そこで人生の厳しい局面に立たされるアミラ。
まあ、このあとは言わない方がいいだろうね」

----ということは、ドンデン返しとかあるの?
「(笑)いや。
さすがにそれはないけど、
息子ミロを愛するアミラの大胆な行動、
あるいはそのミロを助けるためにウィルが取った行動、
そしてウィルとアミラとの関係を知ったリヴの取った行動…と、
映画はスリリングに展開してゆく。
ちょっと、作られすぎてはいるけどね。
でも、これが原作ものではなく
ミンゲラ監督のオリジナル脚本と聞けば納得。
まるでヤマカシばりの危険なスタント、
ガブリエル・ヤレドとアンダーグラウンドのコラボなど、
見どころはいっぱい。
ただ、これまでのような叙事詩的世界ではないので
ミンゲラ節を期待している向きには少しガッカリかも」

----このキービジュアルを見たら、
だれもそうは思わないんじゃニャい?
「それはそうだ(笑)。
そうそう。ベッドシーンもちょっと驚き。
厳密に言うと、ベドシーン前だけどね」

----ニャにニャに?ドキドキ。
「言えるわけないじゃない(笑)」

  (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「う~ん。大人だニャあ」悲しい

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6 コメント

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ワタシも見ましたこれ (プリシラ)
2007-02-11 20:54:38
こんにちは、えいさん。

そうなんですよね、ジュード演じるウィルがどうしてもコドモに見えてしまう というか 「お前 イライラする!」って見てて思ったのですが ジュードだから 仕方ないよなぁ・・・と そのうち 許してしまいましたw

でも 実は エンディングはあまり 買っていません。どうも 都合がよすぎて・・・。ミンゲラなので 仕方ないかもしれませんが。
返信する
■プリシラさん (えい)
2007-02-11 22:33:26
こんばんは。

あのエンディングはどうなんでしょうね。
後半、ウィルの感情の動きによって、
すべてがあたふたと動いて行く。
そのことを知ってしまった時の
リヴの微妙な表情が瞼に焼き付いて離れません。
あれはロビン・ライト・ペン、一世一代の演技だと思います。

(※ここから少しネタバレ。ご覧になっていない方は
その後に読んでいただけると幸いです)

あらら、ウィルのためにそこまでやっちゃうの?
と思ったら、車から降りて……。
この後も二転三転。
ウィルに抱きついた時には、
頭をポカっと叩いたような気がしたのは、
自分の気のせいかなあ。

いろいろあったけど、
ぼくたち大丈夫だよね……って感じで、
人種問題も格差社会もボスニアも
雲散霧消したような。
見かけは新しくとも
そこがアンソニー・ミンゲラ。
クラシックな作家ですね。


返信する
終わり方 (april_foop)
2007-04-07 03:15:07
こんばんは。

「壊れゆく世界」の中の希望を描いたってことで、あの終わり方は嫌いではありませんでした。
結局、ウィルに都合よく終わってしまった感じはありますけれど。

映画の終わり方ってホント難しいですよね。
返信する
■april_foopさん (えい)
2007-04-07 11:14:23
おはようございます。

ぼくも一般的には
あのような収め方は好ましく思うのですが、
ただ、ウィルがあまりにも調子よすぎて
「この色男め~」って…。

まあ、これはモテない男のやっかみですかね(笑)。
返信する
ラストが明るいのは好きです。 (あかん隊)
2007-05-01 01:53:36
こんばんは。
久しぶりに、映画に日参しています。この映画は、情報なしだったので「いいものを拾った」感じでした。
テーマが重いと、ラストでは、更にずっしりと重たいものを貰って帰路につく…というような映画が、多くなっていたりしたので、これは(多少作為的ではあっても)なんだかさっぱりした気分になりました。ロビン・ライト・ペンの「証言」から後の演技は、実に魅力的で、シンパシーを覚えます。
返信する
■あかん隊さん (えい)
2007-05-02 00:35:52
こんばんは。

お久しぶりです。
ぼくも、ラストは明るい
前向きな作品の方が好きです。
この映画の場合、
覆水盆に戻ったわけで、
その功労者は、ロビン・ライト・ペン。
彼女の度量の大きさが光る分、
ジュード・ロウが甘ったれに見えてしまいました。
ある種、さわやかなのですが、
どこか引っかかってしまったのでした。
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