ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『椿三十郎』(森田芳光・織田裕二)

2007-11-07 22:22:02 | 新作映画
-----これって黒澤明の時代劇を
森田芳光がリメイクしたんだよね。
オリジナルがあまりにも偉大なだけに難しそう。
「いやあ、これが困ったことに意外とオモシロいんだ」
----オモシロいのに、ニャにが困るの?
「う~ん。どこから切り出したらいいんだろう。
まず最初に言えるのが、
このシナリオはほんとうによくできているということ。
今回森田監督は、オリジナルの
菊島隆三、小国英雄、黒澤明3人による脚本を
そのまま使用しているんだ。
だから、記憶の中の『椿三十郎』が次々と出てくる。
冒頭の床下の若侍たち、椿の花、そしてラストの決闘…。
実を言うと、黒澤明の『椿三十郎』は
ぼくが親に連れられて初めて二番館以外で観た日本映画。
つまり封切り館に行った映画。
それだけにインパクトは強いんだ」

-----あっ、あの血がビュ~っ!
「うん。世界で初めて血飛沫が上がるシーン。
あそこなんか、一瞬、色がついたという
間違った記憶が脳に焼き込まれたくらい鮮烈だったね。
あのシーンって、
腹に仕込んだ血糊のポンプを押す人が
誤って強く押したなんて言われている。
まあ、それが真実なのか
それとも伝説を作るための作り話なのかは知らないけど、
少なくとも脚本には血がどれだけ出るかは書いてないわけで、
そういう糊しろ部分を森田監督がどう演出したか、
これがこの映画、最大の見どころだろうね」

----で、このシーンはどうなってるの?
「まさか、それは言えないよ。
ただ、なるほどという処理はしていたけどね。
この映画、
最初のうちは、やはり織田裕二じゃ軽いなという感じ。
三船敏郎の貫禄にはとてもかなわない。
というより、ああいう俳優は今はいないんだなと再認識。
ところが、次第にその軽さに慣れてくる。
それが森田芳光の演出なのか、
それとも脚本が完璧だと、自ずと映画もオモシロくなるのか…。
演出力か脚本力かその判断に苦しむから
『困ったことに』と言ったわけさ」

-----ニャ~るほど。


         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「でもオモシロそうだニャ」ぱっちり


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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (きいた)
2007-11-08 14:59:50
私は脚本が同じでも、演出、演技のどれかが悪ければやはり映画は面白くならないと思うので、監督と俳優をもう少し評価すべきでは?と思います。
返信する
■きいたさん (えい)
2007-11-09 00:10:52
こんばんは。

貴重なご意見ありがとうございます。

この映画、カメラも音楽もよかったし、
それらは結局は、彼らの力を引き出した森田監督の力量だと思います。

でも自分としては、
観ている間、黒澤バージョンで脳内補完をしていたような気がして
傑作とは言い切る自信がなかったのでした。

それと製作総指揮の角川春樹の次の言葉も引っかかるところです。

「日本映画が生み出した傑作を今の若い世代の観客はなかなか見ることができない。
この作品を通して、こんな面白い映画があったのかと是非楽しんでほしい」

なんか微妙。
これは黒澤『椿三十郎』のことか
森田『椿三十郎』のことか分かりにくいです。

でも、この映画を観て面白いと思われる若い方は多いと思いますし、
それがいいことだと思います。

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えいさん (きいた)
2007-11-09 12:51:33
こんにちは。

角川春樹は多分黒澤版のことを言ってるのでは?

私は織田裕二さんの演技が好きで、彼が椿三十郎を
演じると知り、初めて黒澤版「椿三十郎」をレンタルしてみました。

感想はとても楽しく、昔なのに新しい感じがしました。とても素晴らしい作品だと思います。
黒澤監督の他の作品も観たくなりました。

これこそが森田監督の言ってた効果だと思います。
私も今までリメイク作品を観て不愉快な思いをしたことがありますが、今回の「椿三十郎」には期待しています。
織田裕二さんはおそらく三船敏郎さんと比較され、いろいろな事を言われると思います。
今でも観る前から三船敏郎とはイメージが違うとか、若すぎるとか好き勝手言われていますが、全く同じような印象の俳優はいないし、それがいいとも限らないと思うのです。

私はこの映画のリメイクを受けた森田監督と織田裕二さんの勇気に拍手を送りたいです。
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■きいたさん (えい)
2007-11-10 23:02:06
こんばんは。

お返事ありがとうございます。

ぼくもこの黒澤映画をリメイクした森田監督たちの勇気には敬意を表します。

きいたさんは、オリジナルをご覧になったのですね。
今回の森田ヴァージョンをご覧になったら、
またこちらにお越しいただけないでしょうか?
改めてご感想をお伺いしたいです。

返信する
こん (きいた)
2007-11-11 12:21:34
お返事ありがとうございます。

ぜひ公開されて森田版を観たら

もう一度伺いたいと思います。
返信する
三船さん (たいむ)
2007-12-01 17:44:01
オリジナルは観ていないのですけど、黒澤×三船となれば、凡その想像はつくわけで、発表時には『織田くん』が?と思った覚えがあります。
全体的に「現代風」であったことから、思いの外、織田くんの軽さも含めて上手くまとまっていましたね。
敢闘賞という感じでしょうか?(^^)
返信する
■たいむさん (えい)
2007-12-02 16:45:02
こんにちは。

『椿三十郎』は『用心棒』の姉妹編でありながら、
そのテイストはかなり違っていました。
いちばんの違いは、全編を覆うユーモアだったと思います。
その意味では、この森田監督版はかなりオリジナルに忠実。
笑いを前面に押し出した作風になっていたと思います。
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こんばんは (ノラネコ)
2007-12-05 02:03:55
かなり意地悪な視点で観たにも関わらず、結構楽しめてしまいました。
オリジナルを観ていると、どうしても借り物感は付きまといましたが。
決闘シーンは森田芳光が作家魂を見せましたよね。
どうせなら全編あのスタンスで作って欲しかったですね。
リメイクによって、オリジナルを観る人が増えるとしたら、それはそれで意味のある事なのかもしれませんが、どうも黒澤にまで手を出す企画力の無さの方が心配です。
返信する
■ノラネコさん (えい)
2007-12-05 22:54:27
こんばんは。

ね、そこそこ楽しめるでしょ。
おそらく黒澤のオリジナルを知らなければ、
もっと評価が上がっていたかも。

今の時代、オリジナルのシナリオを書ける人が
あまりにもいなくなった……
それが、携帯小説をはじめとする
ベストセラーの映画化へと繋がっているのでしょうね。
このリメイクも、その延長にあると言ったら、
森田監督に失礼かもしれませんが…。
返信する
森田監督の軽さ☆ (パフィン)
2007-12-07 22:36:00
えいさん、こんばんは♪
オリジナルを観ていなかったので、えいさんの
レヴューを参考にして感想を書かせてもらいました。

森田監督は「それから」のような叙情的でシュール、「間宮兄弟」のようなコメディ+人間ドラマのように
バランス感覚がある監督だと感じます。
織田裕二が椿三十郎に見えたので楽しめました♪

質問なのですが、佐々木蔵乃介が出てきたり
引っ込んだりするシーンはオリジナルにもあったの
でしょうか?
あまりに可笑しくて爆笑でした
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