ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『任侠ヘルパー』

2012-11-02 22:54:02 | 新作映画
----この映画、
『任侠ヘルパー』って、
草剛主演の連続ドラマを映画化したものだよね。
「うん。
相変わらず、テレビや芸能界に疎いもので、
なぜ、東宝の映画に“任侠”?って、
もうそれだけでビックリ。
観てみて分かったけど、
これは、“介護ビジネス”に携わる裏社会の男、翼彦一(草剛)が、
その仕事に携わる中で
介護の在り方に対して目覚めていくというもの。
もっと、ヒューマンでほんわかした作品だと思っていただけに、
そのギャップは大きかったね」

----へぇ~っ。
その介護ビジネスって?
「自分で判断ができなくなった、
いわゆる認知症の(あるいはそれに近い)老人を騙しての闇金稼業。
しかも、その闇金で破産した老人たちを
最悪の老人介護施設に入れ、
生活保護や年金をせしめるんだ」

----そ、それは…。
いくらなんでも、主人公がそんなあくどいことやるなんて?
「でしょ。
ほんと、東宝映画らしくない。
しかも、ご丁寧にも彼に憧れる成次(風間俊介)は、
カラオケで『唐獅子牡丹』を歌う。
主人公は、その老人から
『あんた、市川雷蔵に似ているね』と言われる」

----。東映、大映、両方を織り込んじゃってる(笑)。
「そう。
それだけじゃないんだ。
この映画が、東宝にしては珍しいと思ったのは、
いわゆるスターを中心に押し出した映画ながら、
ここに出てくる施設が
冗談抜きに、スクリーンのこちらまで臭ってきそうなほど
不潔に描かれていること」

----リアリティに徹しているんだニャ。
「そういうこと。
なんでもここの撮影のために
熱海郊外の空き地にオープンセットを作り上げたらしい。
普通なら、外観だけを外で撮って
部屋の中はスタジオにセットを作り撮影…ということが多いんだけど、
これは、最近の映画では異例と言えるだろうね」

----でもそれ分かるニャ。
感情の流れが途切れないですむもの。
「ただそれに引き換え
施設の改革に彦一が目覚めてからが
あまりにも巧くいきすぎているというのは
どうかと思うけどね。
なにせ、主人公は
それまでほとんど寝たきりだった老人たちを動かし、
彼ら自身の手で施設を作り変えちゃうんだから。
とは言っても
この映画、認知症、虐待、施設不足といった
現代の“高齢化”日本が抱えている問題を
このようなエンターテイメントの形で打ち出したのは
評価されてもいいんじゃないかと思う。
映画の舞台となるこの街を
『観光福祉都市』に変えようと提唱する
市議会議員・八代(香川照之)の絡み方もオモシロい。
彼は弁護士ながら
父の地盤を受け継ぐためにやむなく議員に立候補。
その土地をしきる極朋会と対立している。
で、その極朋会を頼ってきたのが彦一。
彼は、
コンビニで働いているとき、
コンビニ強盗の蔦井雄三(堺正章)と出会う。
彼、蔦井は極朋会の元組員幹部。
一方、八代は
その蔦井の娘・葉子(安田成美)に
昔から片思いしているという構造」

----ニャるほど。
このふたりが物語に大きく関与してくるんだニャ。
「そう。
極道は人の弱いところを見つけ、
そこを巧みに突いてくるからね。
蔦井が口利きで葉子の母親を
優先的に特別養護老人ホームに入れたことから
話はスリリングにふくらみ始める。
監督は。
『県庁の星』『容疑者Xの献身』など手堅い演出が魅力の西谷弘。
今回は、夏帆、杉本哲太、宇崎竜童など
キャスティングもよかったと思うよ」


フォーンの一言「ラストがいいらしいのニャ」身を乗り出す
※映画的カタルシスに満ちた、このシーンを撮ろうとしたその熱意だけでも星ひとつアップする度

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