ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ポエトリー アグネスの詩』

2012-01-28 18:58:48 | 新作映画
(英題:POETRY)



----これ、昨年の最初の試写で観たんだよね?
「うん。
すっかりここで喋っていた気になっていた。
結論から言うと、
今年ここまでに公開された映画の中では
頭抜けて好きな作品だね。
とにかく、スクリーンを見つめている間、
“映画を観ている”という気にさせてくれる」

----アグネスと言うと、
アグネス・チャンを連想するけど、
ここに写っているのは
かなり年配の人みたい。
どんなお話ニャの?
「う~ん。
これはあんまり、
中身を知らずに観た方がいいんだけどね。
主演は16年ぶりに映画に出演という韓国の名優ユン・ジョンヒ
脚本・監督はイ・チャンドン
『ペパーミント・キャンディ』『シークレット・サンシャイン』が人気だけど、
個人的には『オアシス』の衝撃が大きい。
さて、簡単にシノプシスを離すと…。
主人公は、遠く釜山で働く母親に代わって
中学生の孫息子ジョンウクを育てている初老の女性ミジャ(ユン・ジョンヒ)。
詩作の教室に通い、言葉を探す穏やかな日々を過ごしてきた彼女が、
孫息子の事件によって、その日常を脅かされるというお話」

----へえ~っ。
なんてことのないお話に見えるけど…。
その孫息子の事件というのが問題なんだニャ…。
「そう。
彼を含む仲間6人は、
少し前に自殺した少女ヒジンの事件にかかわっていたんだ。
他の5人の親たちはお金で解決しようとする。
だが、ミジャにはそんなお金はない。
しかも、なんと彼女はアルツハイマーの初期症状が出始めていた…」

----うわっ。一気に悲惨な話になっちゃった。
「うん。でも人生って、
たとえ、今はいいように見えていたとしても、
どこでどんな落とし穴が待ち構えているか分からない。
しかも、それは
いくら自分がそれまで正しくつつましく生きていたからと言って
世の中が、まあまあと見過ごしてくれるわけじゃない。
その厳しい試練が
ピュアの塊のような彼女ミジャに襲いかかるんだ。
この残酷な事実――。
もう、それだけで心揺さぶられてしまう」

----う~ん。
「さて、それを軸としながら
この映画が映画としてもぼくの心を鷲掴みにしたのは、
やはり映像だね。
まず観てほしいのがミジャの服装。
ふだんから彼女がきる服は少女のような色遣い。
初老の女性が着るには目立ちすぎる。
韓国版『下妻物語』と言っては言いすぎかもしれないけど…。
ここにはいくつかの意味がある。
ミジャがおしゃれが好きで
自分の人生を楽しんできたこと、
他の人とは違っているという、その特異性を見せること、
落ち着いたトーンの田園風景の中での観た目の効果を出すこと、
そして、それによって映像、物語の両方を弾ませること…」

----服だけでそんなにも?
「うん。その効果が最大限に発揮されるのが、
ミジャが他の人たちを代表して
被害者の母親の元に謝罪に向かうところ。
その母親は野良仕事をしている。
そこに、謝罪には似つかわしくない姿で彼女が現れる。
さて…?
ここは言わない方がいいだろうな。
と、この映画にはこのシーンに代表されるように、
心をざわつかせるシーンが随所に散りばめられている。
まあ、後は何も言わないから
とにかく観て観ることをおススメするね。
エンディングひとつをとっても
人によっていろんな解釈がある、
そんな深みを持った映画だよ」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ところでアグネスというのは誰なのニャ」小首ニャ

※ヒジンの洗礼名だ度

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猫ニュー

画像はアメリカ・オフィシャルより。