ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ピープルVSジョージ・ルーカス』

2012-01-25 00:08:47 | 新作映画
(英題:THE PEOPLE VS GEORGE LUCAS)


「今日はちょっとユニークな映画のお話をしよう。
タイトルは『ピープルVSジョージ・ルーカス』
“VS”となっていることからも分かるように、
これは、よくあるジョージ・ルーカス賛歌ではない。
『スター・ウォーズ』旧シリーズのファンたちからの
ルーカスに対する辛辣な疑問、不満がいっぱい詰まった、
愛憎のドキュメンタリーなんだ」

----へぇ~っ。興味津々。
でも、なぜ旧シリーズなの?
「うん。
彼らファンはこう考えている。
『オリジナルの3部作で終りにしておくべきだった』と。
ファンとルーカスの蜜月期間が終わったのは、
ルーカスが“スペシャルエディション”を発表したとき」

----あれってジャバ・ザ・ハットを登場させたり、
当時の技術ではできなかったことを
ルーカスがCGを使ってやってのけた特別篇だよね。。
「そう。
この作品は、ジャバ・ザ・ハットのシーンばかりが脚光を浴びた感もあるけど、
実は他にも細かい改変がいくつもなされている。
その一つが、ハン・ソロが銃を撃つタイミング。
お尋ね者の彼はオリジナルでは賞金稼ぎに対して自分から発砲。
ところが、これは相手が発砲して外れて
その後、ソロが発砲という風に変わっている。
それによって、ハン・ソロのキャラも変わるし、
第一、 賞金稼ぎがあんな至近距離から撃って外すわけはない…と、
彼らファンはこう見るワケだ。
実を言うと、ぼくもこのスペシャルエディションには
オリジナルを観たときほどの感動がなく、
それってなぜだろうと思っていたんだけど、
もしかしてこういうところにあったのかも…」

----でも、作品を自分の満足のいくモノにしたいというのは
作家共通の気持ちニャのでは?
「そこなんだよ、
この映画のオモシロいところは…。
ファンたちは、映画は“時代のモノ”だという。
もちろん作家のモノだけど
それを観た人たちのモノでもあると…。
だから、その時代に生まれたものを勝手に変えるなとね。
現に、その頃、ルーカス自身も
古い白黒映画をカラー化することに反対していた。
なのに、自分だけなぜ、それが許されるのかと…。
もし、ダ・ビンチが今の時代に現れて
『モナリザの口元を書きなおす』と言ったら
きっと、みんな止めるだろうとね…。
彼らの声は切実。
『オリジナルを見せてくれ』。
こういう細かい検証は、
新シリーズに対してもなされる。
社会的現象ともなった22年ぶりのスター・ウォーズ。
『エピソード1/ファントムメナス』の第一回の上映を観ようと
会社を休む人も出たほどだった。
ところが終ったときにはそれは落胆に変わる」

----ジャー・ジャー・ビンクスが悪評のヤツだね。
「ラジー賞最低男優賞(笑)。
後、フォースミディ=クロリアンという概念を持ち込んだこととかもだね。
ほかにも、ルーカスが
大実業家として成功したこと、
彼のマーチャンダイジング戦略に乗っかって
家庭を失ってまでグッズ、フィギュアを買い集めた人たちの恨みなども出てくる。
まあ、これは逆恨みに近いけど…。
と、この映画、喋り出したらキリがない。
しかし、何よりも感心したのは
ファンたちの自家製リメイク版がとんでもなく数多く存在していること。
そのこと一つとっても、
この『スター・ウォーズ』は映画史上、
右に並ぶものがないエポックメイキングな作品だったことが分かる」

----でも、それ聞いていると
『エピソード7~9』はない方がいいってことだね。
「いや、それは…(汗)。
ここがファンの複雑なところだろうね。
期待値が高いから
少しでも崩されると
もう我慢できなくなってしまう。
それにしても、いろいろと考えさせられる一本だったな」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「同じ子供向けでもイウォークは嫌われてないのニャ」
※『スター・ウォーズ』はやはり特別な映画だ度


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