ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ザ・ホークス~ハワード・ヒューズを売った男~』

2011-03-30 23:44:28 | 新作映画
(原題:The Hoax)



---- ハワード・ヒューズって、
映画のモデルになっている人だよね。
「そう。
アメリカきっての大富豪。
権力と財力を誇ったばかりでなく、
飛行機乗りで、映画もつくって、
まあ、アメリカンドリームの体現者だね。
でも、彼は人生の後半においては人前に姿を見せなくなった。
いわば、伝説の人と化していったんだね。
この映画は、そんな彼に目をつけた作家
クリフォード・アーヴィング(リチャード・ギア)が
偽りの伝記を大手出版社マグロウヒルに売りつけ、
大金を手に入れようとする…
と、こういう詐欺師のお話だ」

----そんなの無理だよ。
すぐバレるに決まっている。
「普通はそう思うよね。
ところが、なぜかこれが上手くいくんだ。
アーヴィングは、次々と自分に都合のいい理由をつけ、
しかもそれを相手に納得させるんだね」

----それって映画だからだよ。
実際にはありえない。
だって、そのハワード・ヒューズが
気がついたら、そこで終わり。
「いや。
これは実話が基になっているんだ。
もっとも最後は嘘がバレて、
アーヴィングは2年以上を刑務所で暮らしている。
実は、映画が終わるまでぼくはそのことを知らず、
なんて壮大なホラ話の映画を作ったんだろうって…。
もっとも、映画としてオモシロくなる脚色はいくつも施されている。
たとえば、実際にハワード・ヒューズと契約していることを
マグロウヒル社に信じ込ませるために、
ヘリコプターを使って彼がやってくるように見せかけるとかね…。
こういうエピソードの付加だけでなく、
映像としてもファンを楽しませる工夫が随所に見られる。
アーヴィングがヒューズの側近によって誘拐されるシーンなんか、
まるで50年代のフィルムノワールといった趣」

----フィルムノワールとはまた…。
「もっと言うなら、
この映画の基本はサスペンス。
観る方は、主人公の“悪事”に心の中で加担し、
彼の嘘が見破られないかとハラハラ見守るという構図。
アーヴィングは何度も絶体絶命に陥りながら、
そのたびに、次の手を売ってその難関を切り抜けていく。
それは、マグロウヒル社だけでなく、
妻エディス(マーシャ・ゲイ・ハーデン)に、
愛人ニーナ(ジュリー・デルピー)との関係をごまかすときや、
パートナーのディック・サスキンド(アルフレッド・モリナ)が
自分から離れていこうとするのを制止する時などに、
さまざまな形で一種の“才能”として発揮されるんだ」

----へぇ~っ。
それにしてもいろんな俳優が出ているんだね。
「うん。
他にもマグロウヒル社の社長にスタンリー・トゥッチ
ヒューズの元側近ディートリッヒにはなんとイーライ・ウォラック
そうそう、ラウル・ジュリアJr.という名前もクレジットされていたけど、
あのラウル・ジュリアの息子かなあ…」

----ところで監督はだれニャの?
「リチャード・ギアとはこの映画の後、
『HACHI 約束の犬』でも組んでいるラッセ・ハルストレム
毎回、違う作風の世界を見せてくれる彼だけど、
今回は音楽にクリ―デンス・クリアウォーター・リバイバル
たっぷり使うなど、
舞台となった70年代初頭の空気がプンプン。
まあ、それにしても、この犯罪、いまでは考えられないね。
監視の目がゆるゆる。
ファイルを体に隠して外に持ち出しちゃう。
かと思うと、ディートリッヒがプールで泳いでいる間
彼の資料を外で一枚一枚コピー。
ハラハラするけど、どこかのどかでもある。
決してスマートじゃない。
人間臭さが全編を支配する、
これは<脂汗>の映画だね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「こういう変な男は映画向きなのニャ」身を乗り出す


※リチャード・ギアが意外にハマっている度

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『127時間』

2011-03-30 00:04:35 | 新作映画
※少しネタバレもあります。
でも、すでに知ってられる方もいるかも




(原題:127 Hours)

----この映画、
今年のアカデミー賞に
何部門もノミネートされていたよね。
監督が『スラムドッグ$ミリオネア』ダニー・ボイル
「うん。
最初、そのタイトルからして
『28日後…』の流れを汲んだ
ゾンビ映画のシリーズ第3弾かと…。
でも、そうじゃないことはすぐ分かったけどね。
これは、落石に右腕を挟まれ、
谷底から一歩も動けなくなった若者アーロンの
極限状態における絶望との戦い、
その127時間を描いたもの。
登場人物は、ほぼアーロンひとり。
それだけに、この映画が成功するか否かは、
アーロンを演じる役者次第と言ってもいい」

----そのアーロンをジェームズ・フランコ
演じているんだよね。
「そう。
これがモデルとなっているアーロン・ラルストンと
どことなく似ているんだ」

----えっ。これ実話ニャの?
「そうなんだ、
それだけに、この映画のクライマックスとなる
ある

----でも、こういう時期だけに、
極限状態だの脱出だのという映画は、
延期とか公開中止とかになりそう。
「ぼくもちょっと、そこが気にはなったところ。
たとえば、途中、大洪水に見舞われるシーンとかあって…。
そのあまりの水の勢いに、
どうしても今回の津波を連想してしまう。
だけど、最期まで観ていて分かったこと。
この映画が言っているのは、
人と人の絆。
主人公アーロンは、
回想にも出てくるように、
どちらかというと、自分中心の生き方をしている。
このキャにオンにもひとりでやってきていて、
だれにも行き先を告げていない。
そんな彼を支えたのは、
多くの人の想い出。
そして、そこから彼の再生が始まる。
彼は悟るんだ。
人はひとりでは生きられないと…。
だからこそ脱出に成功した彼は、
力の全てを振り絞って人の助けを借りる。
『HELP!』とね。
これは、明日への希望と勇気を
人と人のつながりの中で描いた映画。
決して公開をためらう必要はない。
そう思うよ」



               (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「それでもあの“決断”は目を開けていられないのニャ」もう寝る

※腕を切るときの効果音が、鋭い痛みを感じさせる度

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