(原題:SOMEWHERE)
----これってソフィア・コッポラ』監督の映画だよね。
確かヴェネチア国際映画祭金獅子賞だったような…。
「うん。
実を言うと、
あまりノレた映画じゃなくって、
いったんはスルーしようかと思っていたんだけど、
今回の地震で思うところがあって…」
----あんまり関係なさそうだけど…?
「そう思うよね。
じゃあ、まず簡単にストーリーを。
主人公はセレブ生活を送る俳優のジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)。
映画の冒頭は、彼がフェラーリを乗り回すシーンが延々と描かれる。
実は、この導入部で、
あっ、これは自分のタイプじゃないなと…」
----でも、それって意味あるんでしょ。
「まあ、最後にもきちんと繋がってくるしね。
さて先を進めると、
ジョニーは、パーティでは酒と女に溺れ、
一方では、セクシーなポールダンサーを部屋へデリバリーしたり。
なんだか、80年代の名残りって感じで、
どうでもいいや、こんな話し…って思ったころに、
前妻レイラと同居する11歳の娘クレオ(スティーヴン・ドーフ)が登場。
最初は一時預かりのはずだったのに、
レイラが突然家を空けるため、
クレオはジョニーの元で暮らさなければいけなくなる」
----ニャるほど。
これは父と娘の絆の回復のお話だニャ。
「そういうこと。
ジョニーは美形の俳優だし、女性からの誘いも多い。
そちらの方をこなしつつ、
父親としてもふるまわなくてはならない。
映画祭の授賞式に出るためにはイタリアまでも行かなくちゃならないし…。
で、そんなセレブ・スターと娘の日常が
ある意味、淡々と描かれながら、
いわゆるクライマックス、見せどころが突然やってくる」
----“淡々”は、『ロスト・イン・トランスレーション』でもやってたでしょ。
あっちは気にいっていたじゃニャい?
「そうだね。
あれとこの映画は、ある意味同根。
スターの孤独、空白を描いている。
ただ、観終わって後を引くのは、
娘の寂しさの方。
これがジワリジワリくるんだ。
それでも、まあ、
ちょっとよくできた、気取った映画という感じでしかなかった。
しかし、3月11日以降、
この映画のことを考えることが多くなった。
すごくシンプルな話なんだけど、
この映画が描いているのは
喪われた家族とその中にいる娘の寂しさ。
ぼくらは、ある程度の年齢を重ねてきている。
そしてそれぞれが経験を重ねてきた中から、
自分なりの家族観、夫婦観、親子観を語るけど、
子供たちはそうはいかない。
彼らは人生を選択できないし、
また、社会的にも無力。
そんな子供たちがいちばん望むのは、
家族で一緒にいたいということ…。
ぼくらは、そんな子供たちの声に
もっと耳を傾けなくてはいけない。
家族主義を保守的とかいう前に、
もう一度、原点に返らなくてはと…ね」
フォーンの一言「フォーンも、家族選べないのニャ」
※いえいえ、あなたはやっていける度
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----これってソフィア・コッポラ』監督の映画だよね。
確かヴェネチア国際映画祭金獅子賞だったような…。
「うん。
実を言うと、
あまりノレた映画じゃなくって、
いったんはスルーしようかと思っていたんだけど、
今回の地震で思うところがあって…」
----あんまり関係なさそうだけど…?
「そう思うよね。
じゃあ、まず簡単にストーリーを。
主人公はセレブ生活を送る俳優のジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)。
映画の冒頭は、彼がフェラーリを乗り回すシーンが延々と描かれる。
実は、この導入部で、
あっ、これは自分のタイプじゃないなと…」
----でも、それって意味あるんでしょ。
「まあ、最後にもきちんと繋がってくるしね。
さて先を進めると、
ジョニーは、パーティでは酒と女に溺れ、
一方では、セクシーなポールダンサーを部屋へデリバリーしたり。
なんだか、80年代の名残りって感じで、
どうでもいいや、こんな話し…って思ったころに、
前妻レイラと同居する11歳の娘クレオ(スティーヴン・ドーフ)が登場。
最初は一時預かりのはずだったのに、
レイラが突然家を空けるため、
クレオはジョニーの元で暮らさなければいけなくなる」
----ニャるほど。
これは父と娘の絆の回復のお話だニャ。
「そういうこと。
ジョニーは美形の俳優だし、女性からの誘いも多い。
そちらの方をこなしつつ、
父親としてもふるまわなくてはならない。
映画祭の授賞式に出るためにはイタリアまでも行かなくちゃならないし…。
で、そんなセレブ・スターと娘の日常が
ある意味、淡々と描かれながら、
いわゆるクライマックス、見せどころが突然やってくる」
----“淡々”は、『ロスト・イン・トランスレーション』でもやってたでしょ。
あっちは気にいっていたじゃニャい?
「そうだね。
あれとこの映画は、ある意味同根。
スターの孤独、空白を描いている。
ただ、観終わって後を引くのは、
娘の寂しさの方。
これがジワリジワリくるんだ。
それでも、まあ、
ちょっとよくできた、気取った映画という感じでしかなかった。
しかし、3月11日以降、
この映画のことを考えることが多くなった。
すごくシンプルな話なんだけど、
この映画が描いているのは
喪われた家族とその中にいる娘の寂しさ。
ぼくらは、ある程度の年齢を重ねてきている。
そしてそれぞれが経験を重ねてきた中から、
自分なりの家族観、夫婦観、親子観を語るけど、
子供たちはそうはいかない。
彼らは人生を選択できないし、
また、社会的にも無力。
そんな子供たちがいちばん望むのは、
家族で一緒にいたいということ…。
ぼくらは、そんな子供たちの声に
もっと耳を傾けなくてはいけない。
家族主義を保守的とかいう前に、
もう一度、原点に返らなくてはと…ね」
フォーンの一言「フォーンも、家族選べないのニャ」
※いえいえ、あなたはやっていける度
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