ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『ミスター・ノーバディ』

2011-03-06 22:41:52 | 新作映画
(原題:Mr. Nobody)


----ん?どこかで聞いたことがあるタイトル。
マカロニウエスタンだっけ?
「それは『ミスター・ノーボディ』
こちらは、『ミスター・ノーバディ』。
なんと、これがSF。
しかも驚くことに『トト・ザ・ヒーロー』『八日目』
ジャコ・ヴァン・ドルマル監督の作品なんだ」

----どんなお話ニャの?
「2092年。
そこでは、医学の進歩で
もはや人は死ななくなっている。
主人公のニモ(ジャレッド・レト)は118歳で、
世界最高齢で最後の“死ぬ”人間。
死を目前としたニモに世界が注目する中、
ひとりの新聞記者が質問する。
――不死となる前の世界は?」

----そ、それは、フォーンも興味が惹かれるニャあ。
「ぼくも同じ。
さて、これを映画としてどう見せるか?
そこでドルマル監督が提示したのは12通りの人生」

----どういうこと?
確か『スライディング・ドア』でも
ふたつの人生が描かれていたけど…。?
「そうだね。
もし、こちらの人生を選んだらという、
この発想はそんなにも目新しいものではない。
ただ、この映画の場合、
最初に彼が出会った3人の女性、
それぞれと結婚した場合のその後が、
そのときに口にした一言、
あるいは、相手の家へ行った時間的なタイムラグ、
そして、離婚する両親のどっちに自分がついていったかなど、
こと細かに枝分かれした形で見せてくれるんだ。
しかも、映画の中では、
そのうちのどれが事実であったかを探ったりはしない。
それどころか、ある人生が、
枝分かれの中の、
ひとつの人生を生きているニモの夢かもしれないという含みを持たせる」

----うわあ。こんがらがりそうだ。
「ところが、
これが巧く交通整理されているんだね。
たとえば、ニモの結婚相手アンナ(ダイアン・クルーガー)の着る服は赤。
彼女とは相思相愛だけど、子供の頃引き離されて
なかなか会うことができない。
エリース(サラ・ポーリー)は青。
彼女はニモを本当には愛していない。
そのこともあってか、彼女は精神的な病を抱えてしまう。
そしてジーン(リン・ダン・ファン)は黄色。
彼女はニモを愛しているけど、
ニモはジーンをエリースの代わりとしか見ていない」

----ニャるほど。
「この基本的な設定がしっかりしているから、
たとえば、そのシーンに登場する人物全員が
アーガイルチェックを着ているようなシュールな設定も、
火星に向かう宇宙船の冷凍睡眠装置のような
目を見張るビジュアル・イメージも、
いずれも身をゆだねて楽しむことができる。
映画の世界の中に入り込みやすいんだね。
人生の“もしも”を描いたこの作品、
深く考えるのもいいけれど、
まずは監督の提示した壮大なイマジネーションを
楽しむことをぼくは薦めるね」



フォーンの一言「フォーンだって、もし拾われなかったら
どんな一生送っていたか分からないのニャ」
小首ニャ

※ギクっ。それが出会いと運命だ度


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