ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『瞳の奥の秘密』

2010-07-16 23:50:45 | 新作映画
(原題:El secreto de sus ojos)


「う~ん。これは体調がいいときにもう一回、じっくりと観たい…。
そういう手合いの映画だね」

----へぇ~っ。そうニャンだ。
アカデミー賞外国語映画賞受賞とは聞いていたけど、
いったい、どんなお話ニャの?
「それは、比較的簡単に説明できる。
主人公は、長年務めた刑事裁判所を定年退職したベンハミン・エスポシスト。
残りの人生で、25年前の殺人事件を題材にした小説を書こうと決意した彼は、
当時の職場を訪ね、
彼の元上司で判事補、イレーネ・メネンデス・ヘイスティングスを訪ねる。
かくして、映画は、1974年にブエノスアイレスで起こった
結婚後間もない女性教師リリアナ・コロトが暴行された上に殺害された事件にまつわる
さまざまな物語をスクリーンに映し出していくというもの」

----ニャるほど、二重の構成になっているわけだニャ。
でも、それっていまではそう珍しくもニャいよね。
「うん。ただ、この映画の場合、
そこにアルゼンチンの当時の政治状況が重ねあわせられていく。
軍事政権が発足する直前の不穏な空気の中、
この事件でふたりの職人が逮捕される。
しかし彼らは、拷問で嘘の自白を引き出され、犯罪者に仕立て上げられていあtんだ。
それを知ったベンハミンは、独自の捜査を開始。
犯人を、リリアナに対して暗い情熱を抱くイシドロ・ゴメスとあたりをつける。
一方で、リリアナの夫モラレスは同じくゴメスに目をつけ、
毎日、曜日ごとに駅を変え、彼を探し始める」

----うわあ。それって大変。
「だよね。簡単に見つかるはずがない。
でも、これがこの映画の大きなテーマになっているんだ。
モラレスの一途な姿に深い感銘を受けたベンハミンは、
部下で友人のパブロとともにゴメスを追い続け、
ついに逮捕の日を迎える。
ところが、ゴメスはほどなく釈放されてしまう」

----えっ。それじゃモラレスとしては収まらないよ。
どうしてそんなことに?
「ゴメスはゲリラの情報等を提供することで
自由の身を獲得できたってわけ。
しかも大統領のSPに雇われる。
でも、フォーンの言うように、
確かにこれじゃモラレスは収まらない。
妻に対してあれだけの愛を持っていた男だもの。
かくして映画は、
モラレスという<男>を知る
ベンハミンの疑問と重ね合わせるように、
彼が、その昔、愛を告白できなかったイレーネとの再会と、
その愛の行方を描いていく」

----ニャるほど。
で、その背景に暗い世相があるってわけだね。
これは見ごたえありそうだ。
「そう。
ヒッチコックやデ・パルマを引き合いに出される映像も見ごたえ十分。
スタジアムでゴメスを逮捕するシーンはワンカット撮影で
いかにも映画的な躍動感がある。
かと思えば、ある重要な人物が
闇の手によって殺害されるシーンはリアルな恐怖。
パブロのコメディ・リリーフとしての使い方も観る者の笑いを誘い、
それだからこそ、あるシーンでの彼が見せるベンハミンへの友情には目頭が熱くなる。
一方で、エレーネとの別れのシーンは、
50年代イタリア映画のようにエモーショナル。
なあんて、ちょっと誉めすぎの感がないでもないけど、
いま、こうやって喋っているだけで、
やはりもう一度観たくなる、
そんな気にさせてくれる映画だよ、これは」

                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「最後の方はホラーにもなるらしいのニャ」小首ニャ



" style="line-height:160%;">※ジャンルをクロスしている映画だ度


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