ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『フェアウェル さらば、哀しみのスパイ』

2010-06-02 20:54:10 | 新作映画
(原題:L'affaire Farewell)


----“さらば、哀しみのスパイ”か…。
『さらばベルリンの灯』を連想しちゃったけど、
どういうお話ニャの?
「う~ん。どこから説明しようかな。
これは、実話に基づいた物語。
フォーンは、かつて東西冷戦というのが存在していたことは知っているよね」

----う~ん。ニャんだったっけ?
「第二次世界大戦後、
世界はアメリカを中心とする自由主義陣営と
ソ連を中心とする共産主義陣営のふたつに分かれたんだ。
この二大国は直接ぶつかりあうことはなかったものの、
それぞれに核兵器を有して、にらみ合っていた。
つまり、ちょっと間違うと、とんでもないことになったわけだ」

----でも、いまは共産主義国ってあまりないよね。
「そう。共産主義体制は次々と消滅。
その象徴的なものがベルリンの壁とソ連の崩壊。
で、この映画は、その中のソ連の崩壊にスポットを当てているんだ。
1980年代初頭ブレジネフ政権下。
KGBのグリゴリエフ大佐は自国の極秘情報を敵陣営であるフランスに渡す。
この超大物スパイが提供した莫大な資料には、
ソ連が長年調べ上げたアメリカの軍事機密や
西側諸国に潜むソ連のスパイリストなどが含まれていた…」

----それはオモシロそうだ。
でも、それって国家機密でしょ。
いくら、その冷戦とやらが終わったからって、
映画にできるほど詳しい情報は出てくるの?
「そこなんだ。
ぼくがこの映画を好きな理由は。
いま、話したことは、それこそ事実。
だけど、そのグリゴリエフの私生活や、
彼が資料を渡した相手、
ましてやそのときグリゴリエフが何を考えていたかなんてことまでは、
すでに彼が処刑された今となっては分るすべは少ない。
だけど、それだからこそ逆に
映画としての<想像>と<創造>が入る余地が生まれてくる。
この映画では、
<フェアウェル>の妻が彼の上司と不倫をしているという設定に。
また、<フェアウェル>の息子がクイーンなど西側のロックが好きで、
ウォークマンを欲しがっているなど、
いくつものプライベートなエピソードで肉付けをしているんだ。
それは資料を受け取るフランス人技師ピエールにしてもそう。
彼は、上司からその受け渡しを頼まれただけの一般人。
やはり妻子を抱えていて、
このスリリングな“仕事”を最初は恐れながら、
次第にハマって行き、やがては“フェアウェル”との間に
絆のようなものが結ばれていく」

----ニャるほど。
「なかでも、見どころは
それまで父親を軽蔑していた<フェアウェル>の息子が
スパイ行為の発覚から拘束された父の面会に来るシーン。
これは、『ミッドナイト・エクスプレス』以来の感動の面会シーン。
ラストの思いもかけぬ展開と共に、
観る者の目を釘づけにすること間違いないよ」

----ふうん。監督は誰ニャの?
『戦場のアリア』クリスチャン・カリオン
<フェアウェル>を演じているのは、
なんとエミール・クストリッツァ
監督としての彼は、他の追随を許さぬ独自の世界を作り上げているけど、
いやあ、演技の方も息をのむ見事さ。
さっき話した面会シーンなんて、涙なくしては観られない。
一方、スパイ活動にのめり込んでいくピエールを好演しているのは
『戦場のアリア』のギョーム・カネ
実は彼もまた映画監督でもあるんだ。
いつもはキャメラの向こう側に立つ者同士の演技での共演。
こちらも見モノだよ」




                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「フランス人なのに英語のコードネームというのも理由があるのニャ」ぱっちり


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