ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『トゥモロー・ワールド』

2006-10-08 12:42:32 | 新作映画
(原題:Children of men)

----これってアルフォンソ・キュアロンの新作だよね。
彼のフィルモグラフィって、どこか変わってるよね
「うん。今度は近未来SFだしね。
しかも赤ちゃんが生まれなくなって
ついに人類に明日への希望がなくなった世界」

---でも、そういうのって安っぽくなりそう。
「いや、ところがね。
実にリアルなんだ。
町の風景もきている服も今の時代とそう変わりはしないし、
差別もあればゲリラもいる。
そんな中、エネルギー省のセオ(クライヴ・オーエン)は
彼の元妻(ジュリアン・ムーア)の一味ににさらわれる。
いまや反政府組織のリーダーである
彼女の目的は<通行証>を手に入れること。
最初は拒否していた彼だが、結局は求めに応じる。
で、ここからが目を見張るんだ。
セオたち5人を乗せてアジトに向かう車が突如襲撃を受ける。
目の前に火がついた車が飛び出すんだ。
慌てて車をバックで逃げ出すセオたち。
と、そこに今度はバイクの若者が追ってくる。
この車の外と中が12分のワンショット……と思いきや、
これはそう見えるような撮影手法を駆使したらしい、
窓の外も含め360度撮影できてカットつなぎが
まったくないように見える。
プレスにあった『8分を超えるクライマックスにワンショット撮影』とは
まさにこれかと思ったけど、それが違うんだね」

----まだ何かあるの?
「紛争が
続く路上から、
主人公たちがビルの中に入っていき、
自由の戦士とともに外の攻撃から身を守り反撃する。
部屋から部屋、フロアからフロアへのワンショット。
『THE 有頂天ホテル』『ブレーキング・ニュース』も目じゃないね」

----ふうん。それってゲリラ戦?
「後半は、ほとんどシネマヴェリテ風。
セリフも少なくドキュメンタリーを観ているかのよう。
そこにゲリラだからまるで60年代ゴダールみたい」

----なんだかアルフォンソ・キュアロンらしくないね。
うん。彼ってもっと耽美的な作家と思っていた。
もっと緑の色に固執していたし。
でもヴェネチア国際映画祭でオゼッラ賞を受賞というから、
エマニュエル・ルベッキの撮影がスゴいってことかな。
「あと、音楽がオモシロくて。
キング・クリムゾンの『クリムゾンキングの宮殿』が流れ、
セリのヒッピー崩れの長髪の友人(マイケル・ケイン)は
『ルビー・チューズ・デイ』がお気に入り曲。
なんだか親しみを感じてしまった。
とはいうもの、この映画のタッチは、なかなか野心的。
主人公が最初にいたオフィスとの関係なんて
途中から全く描かれなくなって、
彼は仕事を捨て戦いの中に身を投じていく。
ただ、それだけに日劇1に向いているかははなはだ疑問だけどね」

----しかしなぜセオは政府からも追われるの?
反政府組織の目的は?
「それは映画を観てね」
                                      (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「猫さんは生まれているのかニャ?」複雑だニャ


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