ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『グッドナイト&グッドラック』

2006-02-14 21:48:26 | 新作映画
----この映画アカデミー賞6部門ノミネートニャんだって?
えっ、監督がジョージ・クルーニー。本当?
「うん。共同脚本に出演も兼ねている。
で、製作総指揮が今や彼の盟友スティーブン・ソダーバーグ」

----いつの時代のお話なの?
「1950年代のアメリカ。
そこではマッカーシー上院議員による“赤狩り”旋風が吹き荒れていたんだ。
この後遺症は今でも残っていて
エリア・カザン監督はアカデミー名誉賞を授与されながら、
授賞式での反応は賛否に分かれてしまった。
当時、彼が赤狩りに協力的だったというのがその理由だ。
あの時代、根拠の有無にかかわらず嫌疑がかけられた者は、
共産党やその新派でないことを示すために
他の誰かを告発することを強いられ、
拒否すると職や地位を追われたんだ」

----先進国アメリカとは思えない話だね。
「この赤狩りは映画界にも及び、
映画でも描かれたことあるから
前から知っていたけど、
それがどうやって終結したかまではぼくも知らなかった。
ここでは国民的ニュースキャスター、エド・マローと
若き記者たちがその言葉を武器に、
マッカーシー議員と戦う姿が描かれる。
当時、上院議員への批判は、
世論の糾弾の的になるだけではなく
反逆罪にも問われない行為だったと言う。
それだけにこれは相当に勇気のいった行為。
映画は、彼らの戦いと同時に、
議員側からの圧力、
さらには最初は『今夜も明日も私は君の味方だ』と言っていた
経営のトップが社を取り巻く状況の変化に応じて
圧力を加えていくさまがシャープなモノクロ映像で描かれる」

----へぇ~っ、カラーじゃニャいんだ。
「うん。まるで50年代の映画を観ているみたい。
キャメラはもちろんだけど、
当時の雰囲気をディテールまで再現した美術やコスチューム、
そしてそれを完璧に着こなした俳優の力も大きい」

----ふむふむ。総合点も高いってワケね。
アカデミー賞の可能性はありそう?
「ノミネートされた映画全部を観たわけじゃないから
なんとも言えないけど、
エド・マローを演じる主演のデヴィッド・ストラーザンは
アカデミー賞が好む演技だろうね。
昨年の『Ray/レイ』もそうだけど、
実在の人物に限りなく近く演じた場合は、
オスカーにも限りなく近くなる」

----ニャるほどね。
しかし最近は社会派映画が多いね。
「それだけ社会が病んでいるということ。
映画人たちは危機感を持っているってわけだ。
この映画だって、
社会の風潮が一色に染まりやすい
日本にとっては他人事じゃないと思う。
映画は、そのためにジャーナリストはどうあるべきかを問うている。
小さな規模での公開だけど、
『ホテル・ルワンダ』みたいな広がりを見せてほしいな」


          (byえいwithフォーン)

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※こちらはマッカーシズムを寓話的に。
フランク・ダラボン(『ショーシャンクの空に』)監督作品。主演ジム・キャリー。

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