ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『死霊館 エンフィールド事件』

2016-06-29 14:27:35 | 新作映画
(原題:The Conjuring 2)


『死霊館2』。
ホラーに限らずハリウッドのジャンルムービーのベースには家族の絆と夫婦愛がある。
舞台をロンドンに移した本編はその二つが悪魔と対決。
『エクソシスト』ばりのショック映像の連打なれども、
その「想い」の強さが観客にも伝わり恐怖は和らぐ。
パワフルすぎる演出と共にこれは誤算か?
(6月17日のTweetより)

----えっ? 『死霊館』 に続編ができたの?
最近はあまり、映画のお話してくれなくなったのに、
これを選ぶなんて、ほんと好きだニャあ。
「そうだね。
他にもホラーはいろんな作品が公開が待機しているけど、
なぜかこれは見逃せないなって…。
でも、ほんと観てよかった、
そう思うよ」

---怖い映画は苦手なはずのなのに
ちょっと不思議。
「うん。
決め手となったのは監督がジェイムズ・ワンということかな。
前作『ワイルド・スピード SKY MISSION』
これがまたとてつもなく面白く、
ああ、この監督はホラーだけじゃないんだなと…。
タイトルがタイトルだけにB級映画と思われがちだけど、
この『死霊館 エンフィールド事件』
なかなかの風格を兼ね備えた映画」

----確か、これって<実話>が基になっているんだよね?
「そう。
1977年に、ロンドン北部で起きた心霊現象がね。
そしてそれは報道機関が撮影した写真と映像によって
世界中に広まった…と、こういうことらしい。
この映画、何が珍しいかって、
普通、こういった超常現象は
人里離れた民家で起こることが多いのに、
これは何の変哲もない住宅街の中の一軒で発生。
ということで町の人々は、みなそれを目撃」

----うわあ。それは心強い。
いや待てよ。
周りから嫌がられるのでは…。
「さすがフォーン。
この映画はそのどちらもきちんと描き分けている。
救われるのは向かいの家の住人が
彼ら“狙われた家族”を自分の家に迎え入れ、
そして宿泊までさせていること」

----狙われた家族って?
「シングルマザー、ホギー(フランシス・オコナー)と
4人の子供たち。
その中の末娘、次女のジャネット(マディソン・ウルフ)が、
いわゆる悪魔憑き状態になるんだ。
しかも椅子やタンスが部屋を動き回り家族を攻撃。
そして、その話は前作『死霊館』 の主人公でもある
エド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ベラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻の耳に届く。
しかし、ロレインはこの事件の<解決>に現地に向かうことは及び腰」

----どうして?
「それはね。
この映画の冒頭にも出てくるアミティビル事件の交霊会、
そこで有名になった夫妻に対する世間の冷たい目がある。
彼らは、いわゆる詐欺師呼ばわりされていたんだね。
そんなこんなでふたりは心身ともに疲弊している。
そんな中、ロレインは夫エドが死ぬという悪夢を見る。
これを予知夢と思ったロレインは
もう第一線を退こう、そう思っていたわけだ。
しかし<解決>ではなく<調査>だけ…というエドに押し切られてふたりはロンドンへ。
そしてそこで彼らが遭遇したのは…?
と、これは実はプロローグなんだけどね。
話を端折ってしまうけど、
この映画のクライマックスは、ロレインが見た悪夢と同じ光景が起こる。
そのまま館に足を踏み込むと夫の命が危ない。
妻としては彼を死なせるわけにはいかない。
でも、エドは目の前で苦しんでいる少女を見捨てることができない。
ただでさえ恐怖が渦巻く館に
身の危険を顧みずに踏み込んでいくエド。
それを必死で止めようとする妻。
これはアメリカン・ヒーローの物語であり
夫婦愛の物語。
ハリウッド映画らしい大感動作。
列車のシーンもあり
ぼくは『エクソシスト2』を思いだしたね」


「時代背景もよく考えられているらしいのニャ」身を乗り出す

※プレスリーをギターで奏でるパトリック・ウィルソンに涙だ度

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『セトウツミ』

2016-06-15 14:33:59 | 新作映画


喋っているだけの映画なのに、なぜこんなにも胸に刺さるのだろう。
『セトウツミ』。池松壮亮、菅田将暉。他に代替のきかない見事なキャスティングが、
帰りこぬあの頃を暖色の中に甦らせる。
しかも猫のエピソード…。
これはズルい。つい泣かされてしまったじゃないか。
(6月14日のTweetより)

----ニャに。
珍しく観てすぐ(と言っても翌日だけど)のお喋り。
よっぽど気に入ったのかニャ。
「最近の反省として、
ブログを長く放置し、結局そのままに。
たまに喋っても。
観た直後の感動を再現できていなかったからね」

---それはそうだけど、
確かこの映画の予告編を観たときは、
『こんな映画、オモシロくなるはずがない』とまで
言っていたような…。
「いやあ、浅はかだったね。
これはほんとうに
胸に刺さる映画。
なにがそんなにいいんだろうと思ったら、
Twitterでも呟いたように、
池松壮亮、菅田将暉
この若手実力派ふたりが演じていることにある。
なにせ、ほぼ会話だけで話が進むのだから、
これは相当な演技力が要求される。
言葉のアクセント、会話の間はもちろんのこと、
微妙な、それこそ
細かい目線、口角の上げ下げによって作られる表情が
重要なファクターとなってくる。
それを観客に見せきるには
客席から遠いお芝居では無理。
アップという表現手段を持つ映画でなくてはね。
そういう意味でも、全8話からなるオムニバスの第一話に
“神妙な面持ち”を持ってきたのは正解だったと思う。
ここでまず池松壮亮の演技の幅を堪能できる」

----ニャるほど。
監督はだれだっけ?
大森立嗣
『まほろ駅前多田便利軒』がそうだったように、
彼は異なるふたつの個性をぶつけ合わせるのがほんとうにうまい」

----でもあれは、
ある程度の年齢に達した男たちの話だったよね。
これは高校生の話「うん。
逆に言えば『まほろ駅前・ビギニング』ともいえるかも。
この映画は、舞台となるのは放課後。
その中には、花火など“夜”のシーンもあるけど、
ほとんどは“夕景”。
オレンジががった暖色で画を染め上げるんだ
だからそこにおのずと
“いつかこんなことあったな”という郷愁がにじんでくる。
それが、いまは大人になった大森立嗣監督の視座なんだろうな。
音楽も、普通、この手の映画には用いられないようなタンゴ。
また、彼らの会話を常に自動車が通っているのもリアル。
で、それがほとんど軽自動車であるところが
この地域の特性を際立たせている。
なんて、こんな細かいことを喋られるのも
観た直後だから」

----ニャるほど。
ところで“猫さん”が出てくるというのは?
「ああっ、
それは言えない…」


「猫さんが出てくるだけで点数が高くなっているのニャ」身を乗り出す

※この時間にいつまでも浸っていたい度

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『日本で一番悪い奴ら』(一部『ヒメアノ~ル』)

2016-06-10 18:59:02 | 新作映画

『日本で一番悪い奴ら』。これまた最高!
ある意味『64-ロクヨン-』とは対照的、東映ならではの作品。
綾野剛という稀代の俳優に、オールスターではなく、
スクリーンだからこそ輝きを放つ異形の役者をぶつける。
製作陣が目指したという『ウルフ・オブ・ストリート』も納得の、これは悪漢コメディ。

(5月13日のTweetより)

----続くニャ。
最近の日本映画ってバイオレンスばっかり。
「確かに。
でもどの作品も、
それぞれの監督の個性を出しながら
映画にぶつかっていくから
“あれもいいけど、これはこれでオモシロい”、
そんな感じになるんだ」

---そういえば『ヒメアノ~ル』について
話してなかったよね。
確か、あの映画も「『ディストラクション・ベイビーズ』とは対極だ」とか言ってなかった?
「うん。
参考までに、『ヒメアノ~ル』を見た直後のtweetを。

『ヒメアノール』。
日本映画界はなぜ今までこんな逸材を放っておいたんだ?
森田剛。バイオレンスものに出た時のビートたけしと肩を並べる異常犯罪者ぶり。
一方、こちらは安定の(?)危うさ、佐津川愛美。声かけをためらわせる愛らしさが、
一皮剥けば経験豊富、生っぽい普通の子に。これはたまらない。

(4月26日のTweetより)

一言で言えば、その“動機”も含めて主人公の“内面”に切り込むことなく、
彼が引き起こす“理由なき暴力”をスクリーンに映し出し、
それによって観客を挑発しているのが『ディストラクション・ベイビーズ』。

対して、『ヒメアノ~ル』は、
主人公の心の闇と正対する。
その闇が生まれた背景、
それを個人の資質のみでなく背景の社会が抱える問題にまで広げてゆく。

そういう意味では、こちらはオーソドックスなつくり。
もちろん、巷間でよく言われているように、
前半の青春ラブコメ的ルックが、
後半には心も凍りつくようなホラーへと旋回するという
その構成は、真ん中にタイトルを出すギミックも含めて
ユニークではあるけどね。
でもたとえば、あの韓国映画の名作『息もできない』を引き合いに出すんだったら、
心に重くのしかかるエンディングも含めて
『ディストラクション・ベイビーズ』よりも
それはむしろ『ヒメアノ~ル』の方だと思う」

----あらあら、
いつの間にか『ヒメアノ~ル』の話になっている。
今日の本題は『日本で一番悪い奴ら』でしょ?
「ごめんごめん。
まあ、これはTwitterで呟いたことに凝縮されるんだけどね。
『64-ロクヨン-』は東宝でなくてはできない
潤沢な製作費によるオールスタームービー。
しかし東映にそれを望むのは難しい(ごめんなさい)。
でも、それならそれで他のつくり方があるのではないか?
そこから生まれたのがこの映画(なんて勝手に決めつけています)。
カメレオン俳優・綾野剛を軸に置き、
その周囲を、ユニークな個性を発揮する俳優たちで固める。
そこから生まれるケミカル。
それこそがこの映画最大の魅力。
彼ら脇役の風貌は東宝の格調高い世界とは相いれない。
ヤクザ映画やVシネの伝統を持つ東映だからこそ作り出すことのできた世界。
言葉も汚くやることなすこと欲望にまみれ下品。
しかし、それはあるエネルギーの塊となって映画を熱くさせる
もちろんそこには
上から下まで「富める者こそが善」という
金満日本への痛烈な風刺と批判もある。
でも、ぼくはそれ以前に、
彼らが金の匂いを求めて
蠢き回るその姿がとてつもなく面白かったね」

----ニャるほど。
テーマ主義ではない
えいの好みそうな観方だニャ。

綾野剛のベストの声も高いのニャ」身を乗り出す

白石和彌監督、ぼくは前作『凶悪』よりこっちを買う度

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『神様メール』

2016-05-18 13:26:32 | 新作映画

(原題:Le tout nouveau testament)


『神様メール』。
神様は初めにベルギーの街を作り、
いろんな動物を配置したもののうまくいかず最後に人間を作った…。
プロットからビジュアルまで、
これは隅々にまでドルマル監督の独創性が行き渡った映画。
神様はブリュッセルの街に住んでパソコンで人間を虐めている…
なんて、まず日本では作れない。

『神様メール』。
(この映画は)ただ無闇に驚かせようとしているわけではない。
もし自分の余命を知ってしまったら、人々はどう変わるのか?
例えば戦争なんてだれもやる気はなくなってしまう。
夫婦の片方は年内に死に、もう一方は何十年も生きると分かったら?
これらの考察が人生のさまざまな局面で行われるのだ。


(5月11日のTweetより)

----久しぶりのおしゃべりが
まさかベルギー映画でくるとは、
これにはフォーンもびっくり。
しかも、もうすぐ始まいるのでは?
「そうだね。
5月27日公開。
あいかわらず、いろいろ新作は観ているんだけど、
ちょっとこの映画には触れてみたいところがあって」

----2本のtweetを見れば
中身の方はもう想像ついちゃうけど…。
結局、意表を突いた設定と
豊かなイマジネーションの中に、
きっちりと問題提起がなされているということでしょ?
「あらら。
全部言われちゃった。
ただ、それでも言いたいのは
そのファンタジー造形の独創性
最近、誰かの呟きで
なるほどと思ったのが、
SF&ファンタジーなどで描かれる世界が
どれもワンパターン
だということ。
そう言われてみると、
確かにどこかで観たようなものばかり。
『アバター』の惑星と似たり寄ったりのものになっているんだ。
一方、そこに登場するクリーチャーは
トールキンの世界の変形版という感じ。
どうせありえないファンタジーなら、
もっと突拍子のないものであってもいいんじゃないかなと…」

----ニャるほどね。
でも、それを細かく明かしたら
観るほうの楽しみがなくなっちゃうよね?
「そこがこういう映画の紹介の難しいところだね。
でも、まあ設定くらいはいいかな。
この<世界>を生み出した神様は、
いまもブリュッセルのアパートに
妻と娘と暮らし、
パソコンで人々の暮らしをいじっている。
それも、
『お風呂に入った瞬間、電話のベルが鳴る』といったようなつまんないもの。
いわゆる、品のよくない意地悪で
人々が困るのを見て喜んでいる、
と、こういうわけだ。
そんなある日、神様の10歳になる娘がパソコンをいじり、
人々に自分の余命を知らせ、
自らも人間界へ行ってしまう」

----へぇ~っ。
でもそれって天から下界へというわけじゃないよね。
どうやって行くのかニャあ。
「これがまたとんでもない方法。
なんと洗濯機から入って
出口はコインランドリー。
そこで彼女は自分の“使徒”を見つけ、
さまざまな奇跡を引き起こしてゆく。
あわてた神様は彼女の後を追うが、
その身なりがみすぼらしく、
だれも相手にしてくれない」

----ブッ。それは…(笑)。
「正直言って、
この監督ジャコ・ヴァン・ドルマルって、
これまで
さして好きな方ではなかったんだけど、
今回のこの野心的な試みにはもう脱帽したね。
使徒、一人一人の物語も
ある意味でタブーを破ったエピソードが連なる。
そして最後に起こる奇跡。
その発想とビジュアルには、
こんなのあり?とまで思ったもの」


「神様をこんな風に扱っても罰が当たる気がしないところがいいのニャ」身を乗り出す

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画像はオフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。

『64-ロクヨン-』

2016-05-08 23:51:28 | Weblog

いまから『64 ロクヨン』の前後編を30分の休憩を挟んで一気見。
ここしばらく、
二部作の前編はテンション高く後編はユルユル、トーンダウンというケースばかりだったので、
今回はそうはならないことを切に願いながら開映の挨拶を静かに待つ。

(4月18日のTweetより)


----そうそう。
そんなこと呟いていたよニャ。
この映画、昨日から「前編」が公開されたんだよね。
あんまりタイムラインには上がってきてニャいようだけど…。
「う~ん。
テレビでやっていたというような話もあるし、
そういうのが裏目に出ているのかもね。
あの話なら、もういいや…って」

----でも、映画とテレビは違う。
それが、えいの基本的な姿勢だよニャ。
「うん。
まずは、その前編を観た直後のTweetから紹介。

『64ーロクヨンー・前編』。
もとより組織と個人の対立を描いた映画は(自分の)好みの世界ではあるが、
これはモノが違う。
なんど嗚咽が漏れそうになったことか。
二度観る勇気がない。嗚咽どころか号泣しそうだから。
誰だ?最近の日本映画はレベルが低いなんて言ったのは⁉

(4月18日のTweetより)

いやあ、
いまこうやって紹介しても、
自分の興奮が
少し恥ずかしいまでに出ているな」

----どういうところが
刺さったのかニャ?
オールスタームービーって感じだけど、
大味にはならなかったの?
「もちろん。
確かに役者は数多く出ているけど、
みんなそれぞれの味を生かした役どころ。

これもTweetから引用してみよう。

『64ーロクヨンー』。
物語構成の巧みさは原作にあるにしても、
それを「映画」としての見せ場の連続に仕立て上げたのが何よりも嬉しい。
主人公を演じる佐藤浩市が次々と日本を代表する俳優たちと対峙していく。
永瀬正敏のようなインディーズ系あり、
三浦友和のような大御所あり、瑛太のような若手あり。


『64ーロクヨンー』。佐藤浩市の対峙する相手をさらに細かく見てみよう。
吉岡秀隆は松竹、仲村トオルは東映。
そこに菅田俊、滝藤賢一、奥田瑛二、筒井道隆、赤井英和、小澤征悦、椎名桔平、綾野剛、緒形直人らが、
彼とのツーショット対決に参戦していく。これぞ日本映画の醍醐味だ。

(4月18日のTweetより)」

----ニャるほど。
これは役者を愛でる映画でもあるんだニャ。
「そういうことだね。
そしてそれゆえに、
後編も無問題。

『64ーロクヨンー・後編』。
ミステリーを二部に分けた場合、謎解きメインとなる後編は失速しがち。
だが新人キャストに頼らざるを得なかった『ソロモンの偽証』とは違って、
こちらは実力派俳優が演技の鎬を削る。
これだけの役者たちをまとめた瀬々敬久監督もさすが。これこそが演出力。

(4月18日のTweetより)」

----あらら。
いまさらだけど、
これはミステリー。
そういうことニャんだね。。
「うん。
簡単に言えば、次のようになる。
昭和の最後の年、
わずか7日間で終わった昭和64年に
ある少女の誘拐殺人事件、通称“ロクヨン”が起こる。
だが警察は犯人を捕まえるに至らず、
14年もの月日が流れてしまう。
この捜査に携っていた三上義信(佐藤浩市)は、
いまでは警務部秘書課広報室の広報官として
県警記者クラブ対策をその主な業務としていた。
映画は、この三上と“ロクヨン”の関わりを軸に、
刑事部と警務部のあつれき、
県警記者クラブとの衝突など、
重層的に物語を語っていく」

----へぇ~っ。
それじゃ、収拾がつかなさそう。
「だよね。
ところが、そこがほんとうによくまとめてあるんだ。
これにはもちろん脚本のうまさもあるけど、
それを引き受ける役者の力に追うこところが大きい。
14年間、当時の関係者たちがどんな思いで日々を生きてきたのか、
スクリーンにチラッと姿を見せただけで、
その内に秘められた思いがこちらに伝わってくるんだ。

実は“ロクヨン”では
手痛い捜査ミスが起こる。
しかし上層部はこのミスを隠ぺい。
そのことにより出世の階段を上って言った者もいれば、
自責の念に捕われ、
警察を去っていった者もいる」

----へぇ~っ。
主人公の三上は、どっちニャの?
「彼は、
そのような隠ぺい工作があったことはおろか、
ミスの存在さえも知らなかった。
そして、
異動に次ぐ異動を甘受。
いろんな部署をたらいまわしにされ、
いまは刑事部さえも離れているんだ」

----ニャんか、
佐藤浩市らしくない役だニャ。
「そう。
これにはぼくも驚いた。
彼のこれまでのフィルモグラフィからは大きく外れる。
しかも、三上の娘は彼を嫌って家出。
娘からの連絡を待つ妻の精神状態は危険領域にある」

----内憂外患。
いわゆる四面楚歌ってヤツだニャ。
「そうだね。
この複雑なストーリーラインを整理するだけでも大変なはずなのに、
どのエピソードもそこに葛藤のドラマを持たせ、、
映画は最後の最後まで緊張感をもって走り続ける。
いやあ、ほんと感服したね。
しかもそのルックが懐かしい。
これは公開前日のtweetから引用。
まとまりなくなったけど、
今回はこれで締めよう。

明日からいよいよ『64ーロクヨンー』。
この映画、昭和40年代松竹の社会派ミステリーを観ている趣(ほんとうは東宝の映画なんだけど…)。
粒子が粗く、くすんだ青のフィルム(だと思う)が、あの時代へと連れ戻してくれるのだ。
昭和の最後の1日を描いた『前編』は特に…。ヒットを祈りたい。

(5月6日のTweetより)」

----ニャるほど。
いかにも、えいの好きそうな映画。
しかし、映画と違って、
ほんとまとまらないお喋りだニャ。

『ちはやふる』くらい人気が出てほしいのニャ」身を乗り出す

※世界よ、これが日本映画が誇る監督・俳優だ度

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『アイ アム ア ヒーロー』

2016-04-24 22:14:49 | 映画
『アイ アム ア ヒーロー』、ヒット祈願。
ゾンビ映画の範疇を超えた、
これは本気のアクション・バイオレンス。(4月23日のTweetより)


『アイ アム ア ヒーロー』
ある意味、今年一番の衝撃。
ゴア描写はハンパなく、一撃必殺の銃弾の前に、次々とゾンビの頭がぶっ飛んでいく。
エンドクレジットに流れる曲も安易にタイアップに逃げはしない。
佐藤信介監督の本気度100%のゾンビ映画。
しかしこの血の海地獄、本当にシネコン大丈夫?
(3月28日のTweetより)

----これ、いまTwitterで話題になっている映画だよね。
ゾンビ映画って嫌いなはずじゃなかったっけ?
「うん。
確かにぼくの好きなジャンルとは言えない。
でも、この映画はその範疇を超えているんだ。
ゾンビという枠で観るんじゃなくって、
そのジャンルにのっとりながら、
佐藤信介監督は
従来の日本映画の壁を壊そうとしているんだ」

----それって、
血のりドバ~ッみたいなこと?
「それもある。
クライマックスでは
ゾンビ相手に100発近くの銃弾が浴びせられ、
そのたびに
ゾンビの頭が次々と破壊されていく。
あの『キングスマン』を観ても分かるように、
ハリウッド映画でさえも
流血描写を避けるべく、
いかにして他の方法に置き換えるかで苦心惨憺」

----う~ん。
分からない気がしないでもないけど、
なんか納得いかないニャあ。
「もちろん、
直截的表現さえあればいいてわけじゃない。
でもね、今の日本映画ってね、
自分で自分を縛りすぎている。
世論の突き上げを恐れて
小さく小さくまとまっていってる。
そのいい例が『風立ちぬ』に始まる“タバコ”論争」

----あ~あ。
子供たちに悪影響を及ぼすって、
禁煙団体がクレームをつけたあれ?
「うん。
それってスゴクおかしくない?
だってそれだったら、
まず“銃”規制からはじめなくちゃならない。
でもそうなると、
かっこいいガンマンなんて
もう映画では望めなくなる。
ヤクザのドスもね。
危険な刃物だからダメ(笑)。
ぼくは佐藤信介監督はこの問題に極めて意識的だと思う。
だからこそ、
闘いがすんだ後に、
長澤まさみに
おいしそうに深くタバコを喫わせるんだ。
これなんて、昔の映画では当たり前の表現。
でも、昔の映画だからよくて
今の映画じゃダメなんて言っていたら、
映画の中における伝統さえ引き継がれなくなる。
ぼくは、あの人体破壊が意識的なものであるということを
このタバコのシーンによって確信したね。
そうそう、観てすぐに
ノラネコさんの『無伴奏』でのタバコのシーンについてのtweetにコメントしたことが…。

まあ、あれはそういう時代でしたからね。
実は『アイ アム ア ヒーロー』では長澤まさみが、深々と喫うのですが、
映画≠煙草の風潮に敢えて逆らったかのような、
監督の「負けるものか精神」に痛く感服しました
(3月29日のTweetより)」

----う~ん。
「もちろん。
それだけじゃないよ。
『ブラインドネス』を想起させる
グループ内の覇権争いを始め、
物語的なオモシロさもある。
ラストワンとして登場する
モンスター・ゾンビとの死闘も、
伏線が上手く張られていて
なるほどここでこう使うかって感じ。
そしてもうひとつ、
ゾンビ映画としてのユニークさも捨てがたいものが…」

----“走るゾンビ”でしょ?
でも、それ
ザック・ズナイダーがやっているよね。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』で。
「もちろん。
でもそれだけじゃないんだ。
もうひとつのtweetを紹介。

『アイ アム ア ヒーロー』。
この映画のユニークなところは、
ZQN=ゾンビに人間時代の属性による言動、行動の差異を付けたところ。
映画はそれに応じた動き、攻撃(嚙みつき)を丁寧に描いていき、
そこに恐怖、あるいは笑いが生まれてくる。
カメラアングル、照明が決まりに決まるラストはゾクッ!


今も、このラストカットは鮮やかに瞼に残っている。
実はこれらのtweetをしたとき、
スタッフの藤原カクセイさんからコメントを頂いた。
そのお返事のtweetに
この映画に対するぼくの思いは凝縮されている。

『こちらこそありがとうございました。
特撮、カークラッシュなど、すべてにおいて、日本映画にありがちな遠慮がなく、
撮影現場を覗き見たい気持ちでいっぱいでした。
』」

----ちょっと熱すぎニャい?
後で恥ずかしくならなきゃういいけど…。

「第一、主演はだれなのニャ?」身を乗り出す

大泉洋有村架純もいい度

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『ディストラクション・ベイビーズ』(一部『シマウマ』)

2016-04-12 23:16:48 | 新作映画
通常映画は、カメラが主人公を捕えることによって骨格が固まり、土台が安定する。
ところがここでは柳楽優弥がフレームインしてくることで、
世界がざわめき落ち着かなくなってくる。
人にあらざる者がもたらす不穏な空気。そこにバイオレンスが呼応する。
それが『ディストラクション・ベイビーズ』だ。

映画『ディストラクション・ベイビーズ』(3月8日のTweetより)

----そう、これこれ。
『ディストラクション・ベイビーズ』
このツイートを聞かされたときから気になっていたのニャ。
もう少しフォーンにも分かるように説明してくれニャい?
「いやあ、
ここで言っている以上のことはないんだけどね。
この映画、最初から最後まで
主演の柳楽優弥はほとんどセリフを発することなく、
とにかく人を殴りまくる。
そこに理由があるかといえば、
『楽しければええけん』
それ以上の説明はつけようがない」

----へぇ~っ。
そんな映画のどこがいいの?
よく『ファイト・クラブ』と比べられたり、
『日本映画もようやく世界のレベルに追いついた』みたいなことまで
言われているみたいだけど?
「一言で言えば、
物語は二の次。
映画とは何か?
これは永遠の命題だけど、
なぜか文学でも語るかのように
言葉でそのテーマを解説する評論が主流。
ときにはその時代背景や政情、文化にまで言及したりしてね。
ところがこの映画はそうではない。
“主人公はなぜ暴力に走るのか”ではなく、
暴力そのもの”を描いていく」

----でも、暴力を描いた映画ってこれまでにもいっぱいあるよね。
思わず目をそむけたくなるようなものも…。
「うん。
今日観た『シマウマ』もそう。
バイオレンスの激しさ、そして残酷描写から言えば
圧倒的に『シマウマ』。
流血も半端じゃないからね。
ただ、そこには
“暴力を起こす理由”がキッチリと描かれている。
そういう意味では
こちらは従来のバイオレンス映画の枠内に収まる。
ついでだから、この『シマウマ』のtweetも紹介しよう」


映画『シマウマ』。
外の光に触れたときホッとした。
まるで韓国のバイオレンスたっぷりクライム・サスペンスを観た後のようなグッタリ感。
『花と蛇 ZERO』もそうだが、
橋本一監督は喜劇よりも、こういうアンダーグラウンド世界の方が本領を発揮する。

映画『シマウマ』(4月12日のTweetより)

----ふむふむ。
なあ~んとなく分かってきたような。
「いやいや。
こればかりは観てみないと分からないと思うよ。
それにしても瞠目すべきは柳楽優弥
映画評論家の樋口尚文さんの 3月7日のtweetに
そのすべてがある。

真利子哲也監督の『ディストラクション・ベイビーズ』は、
ふり切れてたなあ。いやーふり切れてた。


もう、これに尽きるね」


「ふむふむ。言葉では説明しづらいのだニャ」身を乗り出す

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猫ニュー

『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』

2016-04-05 22:48:44 | 新作映画
(原題:The Eichmann Show)

『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』。
アイヒマンはモンスターではなく誰もがファシストになりうるとの信念の下、
ひたすら彼の顔を映し続けるテレビ製作者フルヴィッツ。果たして?
「一度でも自分が他者より優秀だと思ったことがある者は、アイヒマンと同じ地平に立っている」の結論が重い。

(Twitterより)

----あれっ。
これって今日観たばかりの映画、それも洋画って珍しくニャい?
「うん。
原稿に一段落がついたのと、
この映画が発するメッセージを喋っておきたくなった。
そんなところかな」

----ふうん。
それにしても渋い。
これってホロコーストを推進した元ナチス幹部のアイヒマンの話でしょ?
「そう。
彼は15年にも及ぶ逃亡生活の果て、
アルゼンチンで身柄を拘束される。
そして彼がせん滅を計画したユダヤ人たちが建国した
イスラエルに移送され、エルサレムで裁判を受けるんだ」

----でも、それじゃあ、
どう転んでも有罪、それも死刑というのは
最初から決まっているような…。
「うん。
映画でもそのことは少し言及される。
ユダヤ人によるニュルンベルク裁判”とね。
この映画は、そのことや
アラブの人たちを追い出して
そこにイスラエルが建国されたことなどにも一応は言及している。
しかし、本題はそれらよりも
その裁判を世界中にテレビ中継した人たち。
彼らの葛藤にスポットがあてられる。
その中心となったのはマーティ・フリーマン演じるTVプロデューサー、
ミルトン・フルックマン
彼は、この“世紀の裁判”の撮影に当たって、
アメリカのドキュメンタリー監督レオ・フルヴィッツを招き寄せる。
ロシア移民のフルヴィッツはマルチカメラを用いたスタジオ撮影で名をあげながらも、
マッカーシズムの煽りを受け、
アメリカではブラックリストに上がっていた。
そんな彼にとって、これは大きな賭け。
さて、ここからが重要なんだけど、
彼はこの歴史的テレビ中継に当たって、
ある一つのことを自分の命題とする」

----裁判のドキュメンタリーを撮るのに、
命題なんてあるの?
「うん。
彼はスタッフの前でこう言う。
『誰もがファシストになりうる』
すると一人が激しく反応する。
『彼はモンスター。ぼくは絶対にファシストにはならない』。
しかしフルヴィッツは確信を持つ。
アイヒマンは、ひとりの人間。怪物ではない。
その瞬間をカメラに収める…と」

----ニャるほど。
それによって
カメラを向ける対象は違ってくるよね。。
「そういうこと。
プロデューサーのミルトンとしては視聴率が気になる。
初めこそキューバ危機やガガーリンの初宇宙飛行のニュースに負けていたこの裁判も
収容所を生き抜いたユダヤ人たちの衝撃的な証言により
世界の耳目を集め始める。
そういうとき、普通はその証人たちの方にカメラを向ける。
しかしフルヴィッツは、
あくまでアイヒマンの目にばかり注目し続ける。
ここに、ドキュメンタリーとは?という、
根源的な問いかけが生まれる。
あらかじめ自分の思い描くもの、それが生まれる瞬間を狙ってカメラを回すのか、
それとも先入観を捨て幅広く対象をとらえ、
その中から、真実を探り出していくのか…?」

----ニャるほど。
フォーンは、その瞬間が観てみたくなるニャあ。。
「フォーンはそっちか…。
この映画『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』、
実際のニュース映像や記録フィルムが
新たにドラマとして作られた部分と違和感なく融合。
この編集は驚異的。
そして導き出されたのが
Twitterでも紹介した最初の言葉。
繰り返し言おう。
『一度でも自分が他者より優秀だと思ったことがある者は、アイヒマンと同じ地平に立っている』

----気合入っているニャあ。

「ニャるほど。すぐにでも喋りたかったはずなのニャ」身を乗り出す

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『あやしい彼女』

2016-03-17 17:46:56 | 新作映画

多部未華子が熱唱!映画『あやしい彼女』特別映像


----えっ?ニャにニャに。
どうしてこの映画に、
あのアニメの大傑作『クレヨンしんちゃん・嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』が重なるの?
「確かに分かりにくいよね。
この映画『あやしい彼女』は、
日本でもヒットして話題になった韓国映画『怪しい彼女』のリメイク。
73歳の今なお意気軒昂な毒舌おばあちゃん瀬山カツ(倍賞美津子)が、
ある日、町の不思議な写真館で写真を撮ってもらったところ、
突然20歳に若返るという、そういうお話なんだ」

----へぇ~っ。
それっていかにも韓国映画っぽい。
その20歳を多部未華子がやるってわけだね。
あの国の映画って
バイオレンス・アクションも多いけど、
ロマンチックなファンタジーもまた多いし…。
これは、やはり若返ってロマンスが生まれるの?
「うん。それなりにね。
しかし眼目はそこにはないんだ。
カツは大島節子と名を変え、孫・翼(北村匠海)のバンドに
なんとヴォーカルとして入っちゃうんだ」

----ええっ⁉
いきなり飛んだニャあ。
その大島節子だっけ?
いくら気持ちは若くても、
さすがに現代の音楽には
ついていけないんじゃニャいの。
なんたってアイドルならぬ、なんたって73歳!(笑)
「もちろん。
でも、そこが上手く作ってあって、
彼女は、みどり(金井克子)という女性へのライバル心から
町内で行われているのど自慢に参加。
そこで『見上げてごらん夜の星を』を朗々と歌い上げ、周りを魅了。
それがたまたま近くを取り掛かった音楽プロデューサー(要潤)の耳に入る…
と、こういうわけなんだ。
さらに、その孫・翼のバンドの前で『真っ赤な太陽』を歌い、
ついにはテレビで『悲しくてやりきれない』を涙を流しながら
感情たっぷりに歌う」

----流れは分かったけど、
なぜ、涙まで流すの?
「そこがこの映画のポイント。
彼女は女手一つで娘・幸恵(小林聡美)を育てあげてきた。
そのことで、何かと恩着せがましい物言いをするため、
当の娘からは敬遠されていたんだ。
でも、カツ(節子)にとってはそのことこそが
自分が生きてきた意味でもある。
娘が生まれてからの彼女の回想が自分が歌う歌とともに甦る…
こういうわけだ」

----ニャるほど。
確かにそれは『ヒロシの回想』だ。
でも、そんな年齢の女性を演じるなんて
多部未華子には荷が重かったのでは?
倍賞美津子を見ながら研究したみたいだね。
正直言って、
声は若いのに歳のいったおばあちゃんの口調、
これには無理があった気もしたけど、
なにせ、その歌声が素晴らしい。
思わず聴きほれてしまう」

----そういえば昔から多部未華子好きだったものね。
「うん。
なんと言っても『HINOKIO』。
彼女の名が知れ渡る前にあの映画を観れたことは
ほんとうに幸運だったお思う。
(※ネタバレ注)男の子と思いこんで観ていたら
なんと女の子だったという、あの衝撃。
彼女が後に中学生になったときのロングヘアの制服姿も美しかった。
後の『青空のゆくえ』『夜のピクニック』といった青春学園モノも
その時代の彼女を刻印していた。
最近では『ピース オブ ケイク』
ちょっとここでは書きにくいようなラブシーンや
きわどいセリフまでこなしていた。
その前の『深夜食堂』も難役だったし…」

----ニャんか多部未華子の話ばかりしているけど、
監督は誰よ?
「これが観終わるまで気づかなかったんだけど、水田伸生
スラップスティックコメディのノリの銭湯のシーンとか、
なんか、これに近いのあったぞと、
偶然、『なくもんか』を思い出していたんだけど、
これで納得。
全編に、『ローマの休日』の引用が散りばめられているなど、
映画ファンの心をくすぐる遊びも満載。
久々に楽しい映画を観たって感じだったね」


おまけ*『オトナ帝国の逆襲 』ひろし回想シーン


「大島節子の名前にも意味があるらしいのニャ」身を乗り出す

オードリー・ヘプバーン+原節子だ度

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『リップヴァンウィンクルの花嫁』

2016-03-12 15:01:25 | 新作映画

----へぇ~っ。
『リップヴァンウィンクルの花嫁』
これって岩井俊二監督が
久しぶりに日本で撮ったゲキ映画ということで話題になっている作品だよね。
「9.11以降の日本が凝縮されている」とかで、
監督自身も精力的なプロモーションを行なっているよね。
主演が黒木華だっけ?
ちょっと蒼井優に似ている気がしないでもないけど…。
「そうだね。
そのタイトルやキービジュアルから受ける印象で、
これは『花とアリス』の路線かなと思って観に行ったら、
どうしてどうして、
これは黒木華演じるヒロイン、七海の地獄めぐり

----“地獄めぐり”?
それはまた穏やかじゃないニャあ。
ということは、
ヒロインにいろんな試練が襲いかかるんだニャ。
「そう。
次から次へと休む間もなくね。
なにせランニングタイムが3時間もあるからね。
でも、まったく飽きることない。
こちらもTwitterから。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』。
ありふれた言葉だけど、長さはまったく気にならない。
気がつくと、3時間が過ぎていた。
『ロード・オブ・ザ・リング』のように、
映画を観たという充足感と引き換えの、ドッと疲れるというようなこともないし…。
『ハッピーアワー』に比べれば短い短い

----ニャるほどね。
じゃあ、そのさわりだけでも教えてよ。
「物語は、
派遣教員の七海(黒木華)がSNSでひとりの男と知り合うところから始まる。
ふたりの交際は順調に進み結婚へと話は進む。
ところが七海はある大きな悩みを抱えていた。
彼女の両親はすでに離婚。おまけに親族も少ない。
そんな七海に、助け舟を出してきたのが安室(綾野剛)。
SNSでその呟きを見た彼は代理出席という手段があると持ちかけるが…」

----ニャによ。その代理出席というのは?
「うん。
ちょっと分かりにくいよね。
実は彼はネットを利用して『なんでも屋』をやっているんだ」

----「なんでも屋」?
「まほろ駅前」シリーズのふたりみたいなもの?
あれ、儲かりそうにないよニャ。
「いやいや。
これがまったく正反対。
その代理出席で知り合った人たちの間をうまく泳ぎ、
次から次へと新しい仕事を紹介。
服装も今っぽいし、
悠々と高級自動車なんかを乗り回している。
ところが、ぼくらでさえも
そんな商売のこと初めて知るくらいだし、
ましてや苦境に陥っている七海に
冷静に彼のことを見れるはずもない。
次々と彼女を襲う“不幸なできごと”に対して、
タイミングよく現れては助け舟を出す安室に
七海は次第に心を預けてゆくが…。
と、ここまでにしえおこうかな」

----あれっ。Coccoは?
「うん。
その代理出席のグループの中のひとり。
後半は、彼女との関係が中心となってくる」

----そういえば、
りりィも出ていたんだよね。
「うん。
小林政広監督が、彼女の歌を引用して
『私は泣いています』とTwitterで激賞したほどの圧巻の演技。
これについてぼくもやはりTwitterで

『リップヴァンウィンクルの花嫁』。
これはまさに「現代」の映画だ。綾野剛の役どころなど少し前では考えられない。
しかし、最後に場をさらうのは、りりィ。
その覚悟を決めた気魄の演技には思わず目頭が熱くなる。
ハスキーヴォイスを出すために酒で喉を潰したという歌姫時代の武勇伝を思い出した。


と呟いた。
まあ、このことも含めてこの映画は、
観るまでは伏せておいたほうがいいことばかり。
ある意味、書きにくい映画だね。
ただ言えるのは、役者たちがみんな素晴らしいということ
これもTwitterからになるけど。

『リップヴァンウィンクルの花嫁』。
一夜明けて考えるに、あの綾野剛は現代のメフィストフェレスみたいなものかなと…。
そして黒木華。これは今の時点における彼女の集大成と言ってもいいのでは…。
恐るべき俳優です

---ニャるほど。
岩井俊二映画といえば、
その美しい映像も高い人気を誇る理由のひとつだけど、
今回、そっちはどうにゃの?
「これは
美しいというより、安定の映像だね。
オープニング。
行きかう人々の向こうに見え隠れする黒木華
携帯で会話する彼女が待ち合わせ相手に自分を知らせるべく
片手をゆっくりあげてサインする。
そのシーンだけでグッと引き込まれたもの。
人混みの中なのにまったく構図が乱れない。
物語の進展によって
キャメラがフィックスから手持ち中心へと変わっていっても、
その安定感だけは変わらない」

---ニャるほど、
それも3時間、飽きさせない理由の一つだニャ。

<追補>
現代のメフィストフェレスで思いだした。
オダギリジョーの映画出演第2作目にあたる『プラトニック・セックス』。
飯島愛の自伝に基づくこの映画で阿部寛が演じた男がやはり得体が知れず、
社会の深い闇を感じさせた。
『リップヴァンウィンクルの花嫁』の綾野剛はその系譜なのかなとも…。
(Twitterより)


フォーンの一言「Twitterといえば『シェル・コレクター』との共通点も呟いていたよニャ」身を乗り出す

※どちらもイモガイの毒が出てくる度
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