雑記帳

日常の出来事や、読んだ本のあらすじや感想など書いています。

風にもまけず粗茶一服

2012-09-10 21:44:46 | 

松村栄子著"風にもまけず粗茶一服"を読みました。
"雨にもまけず粗茶一服"の続編です。
こちらの方がだんぜんおもしろいです。
でも読むのでしたら順番に読まないと内容がわから
ないと思いますので雨、風と読んでください。

東京の坂東巴流の次期家元候補の長男 友衛遊馬は
京都の比叡山延暦寺の天鏡寺へ修行へ出かけました。
寺は寂しい山の中でさびれた建物です。
紫門老師が住んでいます。
好きに呼べといわれてクソジジイと呼んでいます。
この老師夜中に起きて山を駆け巡る修行を毎日行って
いるすごい人です。
修行といっても何か教えてくれるとかこれをしろと
言われるではありません。
ただ山の中で不便な生活を送るのみです。
2、30分離れたところにある如来堂を守っている五郎
という人が畑仕事をしながら暮らしています。
野菜を分けてもらったりいろいろ助けてもらいます。
肉食を嫌い匂いさえ嫌がる老師ですので肉を食べたいと
いう時には五郎のところへ行って庭で野性味ある
食事をさせてもらいます。
山門に落書きをして叱り飛ばされた峰男が弟子になりたいと
しばらく寺に住み着きます。
我慢できたらという一月を過ぎましたが、寝たきりの祖母を
見送ってから来いと里へ帰されます。

二十歳になって三十三間堂で行われる弓の射会に参加
することにします。
山を降りて久しぶりに家族や恋人に会います。
大会ではたくましくなった姿を人々に見せます。

坂東巴流の内弟子のカンナは今井出川幸麿と婚約しました。
宗家巴流家元の長女奈彌子は弟子の鶴了と結婚すること
になりました。
子供ができてしまってやむなく許されました。
遊馬の弟行馬は宗家巴流家元の家に下宿して次期家元
になるのだと言っていました。
奈彌子に子供が出来たらこの子に継がせようとなり
行馬の立場は微妙になります。
といっても行馬はまだ中学生で結婚したいという次女は
小学生です。まだまだ未来はわかりません。
でも行馬の心はゆれています。

山での生活で烏天狗と呼ぶ人がいるのに気がつきます。
洞穴で生活して木の実など山で手に入るものを食べて
目立たないよう生きています。
実は遊馬は命を助けられています。
山に来た最初の日に五郎の家に使いに出されましたが
迷って倒れてしまいました。
気づかせてくれたり五郎のすいかを食べさせてくれたのは
この人だったのだと気づきます。
弓矢の稽古で弓を川に落としても戻ってきています。
彼が探してくれていたのです。
冬の間だけ老師の命令で彼を捕まえてきて家の中で
住まわせます。

この人の正体書いてしまいますからご注意を。
やがて遊馬はこの人が誰だか気がつきました。
宗家巴流では長男の比呂希が事故で亡くなっています。
番頭の宣が辞める日にお茶をたててやろうとおいしいと
いわれる湧き水を汲みに行き事故に会いました。
宣は自分が殺したと姿を消してしまいました。
それから5、6年が過ぎています。
烏天狗といわれている人が宣だと気づきます。
死にたいと思ってさまよっているのに死ねないのです。
遊馬に茶を教えて欲しいといわれますが受け入れません。
老師が彼にそれは人に何か与えることがあるから
死ねないのだといわれます。

老師はお茶嫌いです。
しかし寺の中に茶室を作ることを許してくれました。
大工の勉強中の峰男が仲間を連れて手伝ってくれました。
畳は前巻で下宿していた畳屋さんが作ってくれました。
炉壇は不動産屋の哲哉がもらってきてくれました。
遊馬が宣から手ほどきを受けるつもりでしたが流派が
違います。
そこで宗家巴流の家で暮らしていこうとしている弟の
行馬を無理やり連れてきて弟子にしてもらいます。
こうして遊馬は山を去り東京へ帰ることにしました。

山でのサバイバル生活といっていい生活部分面白いです。
登場する老師、五郎、峰男、宣もそれぞれ味があって
いいです。
特に何を教えてくれるわけでもない老師のことを
両親はどうして知って何を目的に遊馬を送り込んだ
のでしょね。
教えてくれなくても見ていれば教わることは多いのです。
天狗といわれる宣も興味深い人です。
この人のせいではないにしても死んでしまいたい気持ちは
わかる気がします。
畳の上で寝ていても死んでいい年なのに野山で生きていて
死ねないのはまだやらなければいけないことがあるのだと
話す老師の言葉いいですね。
遊馬は格段に進歩しました。
まだ読み続けていきたいけどもう話題はないのかな。

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