高田郁著"天の梯 みをつくし料理帖"を読みました。
シリーズ最終巻です。
連作短編集ですが、全編を通して流れているものもあります。
今回はすべて完結です。
"結び草 葛尽くし"
雨が降らない日が続き、野菜が手に入りません。
乾物中心の献立で気が滅入る日々です。
澪はつる屋を出る日が近づきました。
鼈甲玉を吉原の扇屋へ売り、昼間は自分の店で惣菜を売り
夜につる屋に行くことになります。
友人の美緒は小さな店から再出発しようとしています。
"張出大関 親父泣かせ"
つる屋の板前の政吉は山の芋の一番おいしく思っている
料理があります。
色が黒く見た目が悪くいままで誰も認めてくれませんでした。
料理を食べたつる屋の人々はこの料理を店で出すことに
しました。
大評判になり客が親父泣かせの料理名をつけてしまいました。
"明日香風 心許り"
牛乳から作った絡は将軍と許された店でしか販売されていません。
牛乳が横流しされ、絡を作り闇で売られています。
芳の亭主の料理屋の一柳の主人の柳吾が役人に絡を作っていた
として捕まってしまいました。
届けた客の忘れ物が絡だったのです。
芳の息子の佐兵衛の今までの行動が明かされます。
"天の梯 恋し粟おこし"
吉原の花魁になっている大阪時代の友人の野江を見受けしたい
というのが澪の願いです。
それには四千両が必要です。
澪は現代風な驚く方法でそれを行おうとします。
小松原もちょっと出てきます。
幸せに暮らしているようですがちょっとかわいそうな人物でした。
陰ながら澪を助けてくれています。
最後はあれよあれよというスピードで物事が進んでいきます。
こうなるのかとちょっとびっくりです。
新天地で新しい生活が始まります。
こんなふうに今までの人間関係を切り離して生きていくことが
いいことなのかなと思わないではないです。
今なら新幹線で数時間でも江戸時代には永遠の別れに
なるかもしれませんもの。